養子とは別モノ! 子どもに恵まれない夫婦が知るべき「里親制度」の意味
2016年2月1日 | よみもの養子とは別モノ! 子どもに恵まれない夫婦が知るべき「里親制度」の意味

こんにちは、ライターの佐原チハルです。
たとえば結婚していて、望んでいるにもかかわらず子どもを恵まれていないような場合ですと、“里親”という言葉を聞く機会があるのではと思います。
「里親になるって、養子をもらうようなもの?」と、何となくイメージしている人も少なくないのではないでしょうか。
しかし、養子縁組と里親制度とは別物です。また“里親”の中にも種類があります。
里親は“一時的に保護者になる”制度です
養子縁組は、親子関係を築くための制度です。
普通養子縁組と特別養子縁組では、関係を解消できるか否かをはじめ多くの違いがありますが、いずれにしても“親子”になるための制度である点に変わりはありません。
一方で里親制度は、基本的には“一時的”なものが想定されています。
事情があって、“実親”の家庭で育つことができない子どものために、一時的に“家庭環境”を提供するためにあるのです。
子どもは、親しい大人に見守られ、家庭的な環境の中で育つことが大切だと言われています。
里親制度は、子どもにそうした環境を提供するために、児童相談所によって措置が決定されます。
“社会的養護”のための制度ですので、基本的には、養育にかかる費用(の一部)が里親に支給されます。
また里親の場合は、子どもが“実親”との交流を持つ場合も3割程度あると言われています。

里親になる期間はさまざま、種類もあります
養子縁組制度と違い、里親制度では“期限“があります。たとえば「週末だけ」「夏休みや冬休みの間だけ」「数年間だけ」などです。
長期的に委託される場合でも「18歳まで」が原則で、関係性はいずれも“一時的な同居人”という感じです。
また、里親という枠組み自体にも種類があります。
・養子縁組里親……いずれ養子縁組を行うことを前提にした里親。
・親族里親……扶養義務のある“社会的養護の必要な児童”に、両親や他の養育者がいない場合になる里親。
・養育里親……保護者がいない、いても適切に育てられないと認められた児童を養育するケースで、養子縁組を前提にしていない里親。
・専門里親……保護が必要とされる児童のうちでも「虐待を受けたなどの理由で心身に影響を受けている」「非行などの“問題”を抱えている」「何かしらの障がいがある」などの児童を保護する里親。
里親になるにはどうしたらいいの?
里親になる条件は、どのタイプの里親になりたいのかによって、また自治体によって差があります。
ただし、多くの場合は、特別養子縁組制度などと比べてゆるやかな条件であることが多いです。
年齢制限も幅広いですし、結婚していない場合でも、養育の経験があったり、保育士・保健師・看護師などの資格があったりする場合には、里親になることができたりもします。
条件がゆるやかであったとしても、また子どもとの関係が一時的であったとしても、里親は重要な役割です。
子どもに対して与える影響も、とても大きなものになります。
軽い気持ちでなっていいものではありません。
とはいえ、里親の数は不足していますし、求めている児童は多くいます。
大切なのは、制度と子どもの状況をしっかりと知ること。
興味があるのであれば、まずは児童相談所に問い合わせをしてみることからはじめてみましょう。
●ライター/佐原チハル(フリーライター)