“卒婚”の良さって? 熟年離婚との違いと失敗しないポイント

2014.10.30

フリーライターの姫乃です。

皆さんは『卒婚』という言葉をご存じですか? あくまでも婚姻関係は解消せず、それぞれの新しい道に進んでいくライフスタイルのことです。

主に40代、50代、60代の間で「卒婚」という手段を選択する人が近年増えています。

別居をすることもありますが、同居しながら卒婚という道を進む場合もあります。

卒婚は近年注目されており、実際に卒婚をした人がブログを書いて話題にもなりました。

2018年6月には『終わった人』という卒婚をテーマにした映画も公開されたり、『今日、妻やめます』という韓国ドラマも流行しました。

今回は、そんな卒婚について、“卒婚のメリット”などを中心にご紹介したいと思います。

熟年離婚のデメリット3つ

卒婚のメリット
熟年離婚をする夫婦は年々増加傾向にありますが、デメリットがあることも事実です。

(1)介護の問題

離婚時はお互い健康でも、いつか介護が必要になる可能性があります。子供の立場から考えると、いざ介護が必要になった場合、別々にケアをすることは負担になってしまいます。

(2)お墓の問題

ご両親に万が一のことがあった場合には、避けて通れないお墓の問題があります。

現在、無縁仏の数は年々増加し、お墓はあっても墓守がいないという傾向にあります。またお墓にもさまざまな種類が登場してきていますが経済的にも決して安いお値段ではありません。

(3)後悔したときの問題

一度離婚をしてしまうと、万が一のときに助け合うことができず、子どもへの負担も大きいというのが現状です。

実際に熟年離婚後、同じ人と再婚する夫婦が増えているというデータもあります。

その理由としては、「積み重ねてきた共通の思い出の数々がある」「一人の時間を過ごしたことで、改めて相手の素晴らしいところが見える」などです。

これらの点から考えられるのは、わざわざ離婚をしなくとも、卒婚によって解決できることがあるということではないでしょうか?

熟年離婚についてのデメリットは以下の記事に詳細が書かれているのでご覧ください。

“卒婚”の由来

卒婚のメリット
“卒婚”という言葉を初めて聞いた人も多いのではないでしょうか。

「卒婚って何?」「卒婚の意味とは?」という方もいるのでは?

実はこれ、杉山由美子さんという著者が執筆した著書『卒婚のススメ』から一般的に使用されるようになった造語なんです。

熟年離婚が増加している日本で、結婚に“卒業”という概念を持ち込んだのはすごいですね。

この考え方で離婚を免れた夫婦は数多くいます。

熟年夫婦が悩むこと3つ

卒婚のメリット
そもそも熟年夫婦はどのような悩みを抱えて卒婚や離婚に踏み切るのでしょうか。熟年夫婦が抱えがちな代表的な悩みをピックアップしてみました。

(1)目的の喪失

これは男女とも同様に抱える問題です。男性であれば、これまで生き甲斐としてきた“仕事”がなくなり、人生の目的を見失ってしまうケースが多いようです。

趣味に打ち込んでいた人ならそこに没頭できますが、仕事一筋だった人は日常生活の中で宙ぶらりんの状態となってしまいます。

一方女性側の悩みとしては、“子育てが終わってしまった”ということが挙げられます。

これまで子どものためにと頑張ってきた活力が、子どもの自立とともになくなっていく感覚をおぼえる人が多いようです。

(2)夫の定年退職

これまで仕事で外に出て給料をもらっていた夫が、定年退職をして家でゴロゴロするようになると、ストレスを感じてしまう妻が多いようです。

特に、現役時代に「俺が飯を食わせてやってる」といった態度で接していた夫は、定年後も上から目線な態度でいることが多く、妻からしてみれば「給料ももらわないクセに偉そうに」と不満に感じるようになります。

それが積み重なると夫婦関係に亀裂が生じるようになり、ギスギスした生活を送るようになってしまいます。

(3)義両親の介護

ある程度年齢を重ねた夫婦に起きがちなのが、“義両親の介護”問題です。とくに女性は介護を任される割合が比較的多い傾向にあり、肉体的・精神的に大きな負担を感じてしまいます。

もともと義両親と仲が良くなかった場合などは、さらにその苦痛に拍車をかけることになります。

卒婚を望む妻の実態

卒婚のメリット
新しい住まいの形を提案する『リンクハウス』が、2014年に全国の30代~60代の既婚女性200人に実施した“「卒婚」についてのアンケート”から、卒婚に対して妻たちがどのような意識を持っているのか見ていきましょう。

将来的に卒婚したいと思う女性の割合

「夫といつか卒婚したいですか」という質問に対し、なんと56.8%の女性が「はい」と回答したそうです。

意外と多くの方が卒婚を望んでいるということがわかりますね。

なお、卒婚したいと回答した女性の割合について地域別に見ると、中部地方が65.5%で1位、九州地方が64.7%で2位、近畿地方が59.5%で3位でした。

一方、卒婚したいと回答した女性の割合が一番低かったのは四国地方で30%、次いで中国地方で33.3%でした。

地方によって大きく価値観が違うことがわかります。

女性が卒婚したいと思うタイミング

卒婚を考えている人を対象に、「何歳くらいで卒婚したいですか」という質問をしたところ、一番多かったのは「60〜64歳」(35%)、次が「65〜69歳」(24%)という回答だったということです。

60代が圧倒的に多いことがわかります。これは夫の定年退職後のタイミングと一致しますね。

離婚しそうな夫婦の別居との違い

卒婚のメリット
“別居”と聞くと、離婚寸前といったイメージを持つ方が多いと思います。

しかし、離婚寸前の別居と卒婚の別居はその目的が大きく異なります。

離婚寸前の別居は“相手と関係を断つために離れている”のを目的にしています。

反対に、卒婚は“相手と関係を保つために離れている”のです。

言い換えると、離婚寸前の別居は“自分のため”、卒婚は“相手のため”に行っているとも言えます。

卒婚をする主な理由3つ

卒婚のメリット

(1)好きなように生きるため

とくに女性に多く見られる理由ではないでしょうか。これまで育児や夫の世話で自己主張できない役割にいた女性は、子育てが終わると同時に自分の人生を見つめ直す時間が生まれます。

その結果、夫とは距離をおいて自由に生きてみたいという願望を持つようになる人も少なくないようです。

(2)相手の魅力を再確認するため

ずっと一緒に連れ添ってきた夫婦だからこそ、相手のことを客観視できなくなっていることも少なくありません。

とくに、子どもが自立した後などは二人きりの生活になりがちなので、相手の嫌な面ばかり目についてしまうということもあると思います。「相手のことを嫌いになりたくない」という理由から卒婚を選択する人もいるようです。

(3)親の介護のため

夫婦間で実家が遠く離れている場合、親の介護をするために遠出をする必要があります。

老人ホームやホームヘルパーが親を介護してくれている状況なら、頻繁に様子を見に行く必要はありませんが、在宅介護をしている場合は心配になってしまいます。

今住んでいる家に引き取る手もありますが、家が狭いなどの事情や夫婦間の意見の対立などでそれが難しい場合もあります。

そうなると、必然的に今住んでいる家と実家を往復しながら介護をすることになり、負担が大きくなってしまいます。そういった理由から、仕方なく“卒婚”という形を取る夫婦もいるようです。

卒婚後の生活の変化3つ

卒婚のメリット

(1)お金がかかるようになる

そんな卒婚ですが、実際の生活ではどのような変化があるのでしょうか。

大きな変化としてまず挙げられるのが、“お金がかかる”ことです。

家族で一緒に暮らしていたころと比べて、全体的な収入が減ってしまう上、年齢によっては働けない場合もあるので、収入源が年金のみというケースもあります。

芸能人などの経済的に余裕のある人なら、パートナーが生活費などの諸費用を負担してくれることもありますが、一般の人には難しいですよね。

「卒婚は一般人には難しい」という意見がよく聞かれるのには、このような背景があるからです。

(2)自由時間が増減する

パートナーと別居をすると、これまでの生活スタイルと違った生活を送ることになります。

女性の場合は、食事や洗濯などの家事に一日を費やす生活をしていた人が多いと思いますが、別居すると家事が自分一人だけの分量になるため、作業時間が短縮されて自由時間が伸びます。

一方、男性の場合はこれまで家事を全くしてこなかった人も多いので、家事をする時間分の自由時間が短くなることになります。

(3)介護の不安ができる

夫婦で一緒に暮らしていれば、パートナーが要介護者になった際に手助けができますが、別居するとそれができなくなります。

また、子どもに介護をしてほしいと思っている夫婦は、別居していることで子どもに大きな負担をかけてしまいます。

別居と同居、卒婚のスタイルによる違い

卒婚のメリット
卒婚は、別居というスタイルをとる場合が多いようですが、もちろん同居というスタイルをとる夫婦も少なくありません。

別居の場合は生活がそもそも別になるのでわかりやすいですが、同居の場合はどのような生活になるのでしょうか。

同居しながら卒婚をする場合、お互いに干渉せずそれぞれを尊重した生活になります。

食事も各自で用意したり、掃除などは分担を決めて行ったりするようです。夫婦というより同居人(ルームメイト)という関係性になるのかもしれません。

卒婚のルール

卒婚のメリット
卒婚は基本的に自由ではあるものの、基本的な卒婚の準備の仕方として、ルールを設けるのが良いとされています。

なぜなら卒婚は離婚とは違い結婚の形が継続されている夫婦であるためです。

第一のルールとして、浮気はしないこと。これが守られなければもう既に夫婦関係は破綻していると言えるでしょう。

また、別居というスタイルをとっている場合は、定期的に連絡を取り合うことも必要です。

さらに、お互いに自立した生活を送るため、料理などの家事や健康管理もそれぞれ自分のことは自分でやるようになります。これまで相手に依存していたことを自分でやらなければならないのです。

夫婦の関係をより良い状態へ修復していくための卒婚であれば、これらのルールは守らなければなりません。

しかし、夫婦によって卒婚の形はさまざま。お互いに納得できるのであればこれらのルールも不要ですが、いずれにせよ卒婚前に二人でじっくり話し合い、夫婦に合ったルールを決めておく必要があります。

卒婚を可能にするための条件

卒婚のメリット
卒婚を希望したからと言って、誰でも簡単に卒婚というスタイルが実現できるかというと、そうでもないようです。

まず第一に、夫婦の合意がなければできません。どちらか一方だけが卒婚したいと言っても認められません。

また、別居による卒婚スタイルを選択する場合は特に、経済的な余裕がないとまずムリです。住居がそれぞれに必要となり、生活費も2倍になるわけですから、経済的な負担は大きく増えます。

芸能人のように収入や資産があればいいですが、そうでない一般的な家庭ではなかなか難しいかもしれません。

夫の定年退職後に卒婚を希望する女性が多いのは、そうした経済的理由もあるのかもしれませんが、これからどんどん老後の年金支給額が減る可能性もありますし、定年退職金を卒婚資金として使ってしまうのはリスクがありそうです。

そのため、卒婚をするなら同居スタイルをとるのが無難と言えるのではないでしょうか。

さらに、経済的な余裕だけでなく、夫婦の強い信頼関係も必要な条件となってきます。

結婚という形を継続しながらお互いに干渉し合わない自立した関係性を維持するためには、信頼関係なくして成立はしません。

卒婚は夫以外との恋愛も自由にできると考えている方もいるようですが、それは間違いです。

卒婚で法律的に気をつけるべきこと

卒婚のメリット
卒婚で別居を続けているとき、もしもパートナーに新しい異性の相手ができてしまったら、「離婚してほしい」と言われる可能性もありますよね。

そんなとき離婚したくないと言って拒否しても、別居の期間が長ければ「婚姻関係が破綻している」と見なされてしまうこともあり、裁判所に離婚が認められてしまう場合もあるそうです。

財産分与に関しても、卒婚後にそれぞれが築いた財産については共有財産として認められない可能性もあります。

卒婚後にトラブルが起きないようにするためにも、弁護士に相談するなどして、契約書を作っておくという対策をしておくといいかもしれません。

卒婚が成功する夫婦の特徴

卒婚のメリット
卒婚が成功する夫婦は、夫が妻に一目置いているケースが多いようです。

夫は妻が年収200万円程度まで稼げるようになると変わると言われているそうなので、卒婚をしたい女性はまず仕事を始めて自分でも稼げるようにするといいでしょう。

卒婚は夫婦が互いに“自立”できなければ成り立ちません。経済的な自立も大切なことです。

また、ボランティアなど社会的な活動に参加することも夫に一目置かれる要素だと言います。

ボランティアを通して地域の住民と交流をはかりネットワークを作るなどすると、夫もそれを手伝うようになり、仲が良くなることもあるそうです。

卒婚を希望する女性は夫に一目置かれる存在となることが有効と言えるので、仕事なりボランティアなりを始めて、外へ出るようにするといいでしょう。

卒婚前にしておくべき準備

卒婚のメリット
卒婚をする前に、どんなことを準備しておいたらいいのか知っておくことも大切です。

別居する場合、別居前から自立しておくことをおすすめします。自立は経済的な面や、生活面、健康面などすべてにおいてです。これまでパートナーに依存していた部分を、パートナーに頼らず自分一人でこなせるようにしておきましょう。

料理ができない夫には妻が料理を教える、仕事に必要なスキルを夫が妻に教えるなど、卒婚に備えてお互いにフォローし合うことが卒婚後の生活をスムーズにすることにつながります。

また、離婚のリスクにも備えておく必要があります。卒婚によって相手に恋人ができてしまう可能性もありますし、夫婦関係が破綻してしまう可能性もありますから、もしも離婚という結果になってしまった場合、どうすべきかも考えておきましょう。

失敗しない卒婚のポイント

卒婚のメリット
ご両親の世代は『卒婚』より『熟年離婚』をメジャーな言葉として知っているため、お互いの幸せのためには離婚しかないと考える傾向にあります。

また、夫婦生活が長かった二人にとって、一人になる自由に対する憧れが強くなっていることもあると思います。

離婚となると手続きなど相当な労力が必要であること、自分たちも賛成できないこと、将来のことを説明したうえで一度、別居をしてみることを提案してみましょう。

互いに冷静になり、今後のことを考える時間を持つことが大切です。結論を急がず、じっくりと時間をかけるのです。

また、卒婚にはお金がかかります。勢いで卒婚をしてしまうと生活が破綻してしまう可能性もあるので、慎重に計画を練っていく必要があります。

“卒婚=完全な別居”と捉えずに、家庭内別居を試してみたり、週に何回か実家や子どもの家にお世話になったりして、パートナーと定期的に距離をとってみるのもいいですね。

卒婚ではなく死後離婚を希望する女性も多い!?

卒婚のメリット
死後離婚とは、夫が亡くなった後に離婚して籍を抜くというものです。

メリットとしては、夫や夫の両親と同じお墓に入らずに済む、夫の両親が健在であった場合、介護をしたり面倒をみたりする義務がなくなるなどです。

中には、夫のことは好きだけれど夫の親族との折り合いが悪く、夫が亡くなってまで親族関係を維持したくない、夫の親の面倒まで見たくないという女性も多いと言います。

死後離婚されたくない男性は、生前から妻を大切にしておく、妻と自分の両親・親族との関係が良好に保てるように努力するなどしておくといいでしょう。

死後離婚に関しての詳細な記事はこちらをご覧ください。

“卒婚”のデメリット

ここまで基本的に卒婚のメリットを紹介してきましたが、卒婚のいくつかのデメリットにも注意しなければいけません。

卒婚のデメリットとして挙げられることが大きく2つ存在します。それは、不倫と生活費などの金銭的な問題です。

まず不倫については基本的に卒婚では、グレーゾーンに存在しています。ただし婚姻関係は継続しているため、不倫を実際にした場合、慰謝料などを請求される可能性があります。

生活費に関しては、卒婚の場合年配のカップルが多いので、妻が夫に生活費をもらうパターンが多いようです。

そのため独立などを主なテーマにしている本来の”卒婚”の趣旨とはずれたものになる可能性があります。

ただし、どちらのデメリットに関しても、先にルールを明確に決めておくことが重要と言えるでしょう。

別居中の不倫の慰謝料に関する詳細な記事はこちらをご覧ください。

“卒婚”の実際の事例

卒婚のメリット

“卒婚”を実践する一般人

籍を置いたまま夫婦として別居生活を送る“卒婚”ですが、その実態がどうなっているのか気になる人もいるのではないでしょうか?

卒婚を実践している方で有名な方として、広岡夫婦という方がいらっしゃいます。

おそらく多くの方が広岡夫婦と言われても知らないと答えるかもしれませんが、実はこの夫婦フジテレビ系列の『ザノンフィクション』の卒婚特集に登場した夫婦です。

この番組ではかなりリアルな卒婚事情が描かれており、お互いに明確にルールが定められています。

例えば、夫婦別会計や、家事は分担、束縛は禁止などのルールが設けられているようです。

“卒婚”を実践する芸能人

芸能人の中でも実践している人たちがいます。

有名なところでいくと、ものまねタレントの清水アキラさん、俳優の加山雄三さんなどが挙げられます。

夫婦で別居することで自由を謳歌している彼らを見て、一般の人でも卒婚に興味を持った人は多いと思います。

離婚をすることは夫婦が出す一つの答えであり、間違いではありませんが、なるべく避けたいと思うのは自然なこと。

“卒婚”という存在を広く広めた杉山由美子さんや芸能人の方々の功績はとても大きいですね。

まとめ

「卒婚後の生活の変化」や「熟年夫婦の悩み」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

“夫婦の別居”と聞くと、マイナスなイメージが先行しますが、“卒婚”が前向きな選択肢だということをお分かりいただけたでしょう。

離婚率が高い日本において、この“卒婚”という考え方は非常に大事なものになってくると思います。

ご自身やご両親に離婚の可能性がある際は、一度卒婚を検討してみてはいかがでしょうか?

【参考リンク】
卒婚:離婚や別居との違いとは 妻の本音アンケート&データ | リンクハウス

●ライター/姫乃
●追記/パピマミ編集部



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