夫がアスペルガーに!? 妻を襲う“カサンドラ症候群”の原因と対策

2014.09.09

フリーライターのnanakoです。

最近、大人の発達障害についての情報が増えてきています。大人になってから判明する方も多いのではないでしょうか?

昭和大学附属烏山病院でアスペルガー症候群を中心とする大人の発達障害の専門外来が2008年にスタートして以来、2014年1月時点で累計初診者が3,000人を超えているそうです。

ただ、アスペルガー症候群の本人に向けての支援は耳にしますが、その家族への対応はまだまだと言えるでしょう

目次
 そもそもアスペルガー症候群って何?(P1)
 カサンドラ症候群とは(P1)
 カサンドラ症候群の歴史(P2)
 カサンドラ症候群になる原因(P2)
 結婚によって変化する関係性(P2)
 カサンドラ症候群と診断される基準(P3)
 アスペルガー症候群の夫とのあいだに問題が生じる理由(P3)
 カサンドラ症候群の症状(P3)
 アスペルガー症候群のパートナーを持つ人の悩み3つ(P4)
 カサンドラ症候群を第三者が理解しづらいワケ(P4)
 夫がアスペルガー症候群と診断されたときの関わり方4つ(P5)
 カサンドラ症候群になったときの解消法5つ(P6)
 アスペルガーの夫を持つ妻の体験談(P7)
 まとめ(P7)

そもそもアスペルガー症候群って何?

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アスペルガー症候群とは、社会性やコミュニケーション能力などに問題があり、自閉症と似た症状を持つ発達障害のひとつです。

人の気持ちや場の空気を読むことが苦手ということもありますが、言語障害や知的障害といったものはなく、周囲の人からは「少し変わった人」という程度の印象を持たれることが多いでしょう。

男性に発症する割合が高く、アスペルガー症候群のおよそ4分の3が男性と言われています。

なお、根本的な治療法などは見つかっていないようです。

具体的には、「人の感情をくみ取ることができない」「一人になりたがる」「こだわりが強い」「突然怒り出すことがある」などの特徴があります。

100人に1人はアスペルガーと言われることもあり、これは決して少ないとは言えないでしょう。

医者や弁護士など、社会的な地位が高い人の中にもいるとされています。

カサンドラ症候群とは

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カサンドラ症候群とは、夫や妻などがアスペルガー症候群であるために感情的な関係を築くことができず、適切な意思疎通をはかることができないことからくる身体的・精神的な症状をあらわすものとされています。

アスペルガー症候群は男性がなることが多いため、よく取り上げられるのは“アスペルガー症候群の夫とカサンドラ症候群の妻”という状況ですが、当然、妻がアスペルガー症候群であるという状況もあります。

なお、『カサンドラ』というのは、ギリシャ神話の神・アポロンに、予言を誰にも信じてもらえない呪いをかけられた女性・カサンドラに由来したもの。

『カサンドラ症候群』という名称は正式な病名ではなく、対人での関係性による障害であるため、“状態”として捉えられることになるようです。


→次ページでは、カサンドラ症候群の歴史を見ていきましょう。

カサンドラ症候群の歴史

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配偶者や家族にアスペルガー症候群の人がいることで影響を受ける状態は、鏡症候群(ミラーシンドローム)と言われていたようです。

これは具体的な診断を受けていない成人のアスペルガー症候群の場合に起こるとされており、その家族は常に生活をともにすることで人格が写し出されてしまうとされていました。

この鏡症候群がのちに『カサンドラ症候群』とされ、2003年に初めてカサンドラ情動障害として公表されています。

近年では『カサンドラ愛情剥奪症候群』『カサンドラ情動剥奪障害』と言われることもあるようで、これはパートナー間の情緒的な関係が欠けていることから、精神的にも身体的にも不安な反応があることが示されているでしょう。

カサンドラ症候群になる原因

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アスペルガー症候群である配偶者とのコミュニケーションがうまくいかず、さらにその状態を周囲に理解してもらうことができないことで、より一層心身に負担がかかります。

そもそも、カサンドラの原因となるアスペルガー症候群が注目されるようになったのがつい最近のことで、特に大人のアスペルガー症候群については研究がほとんどされていない状態であったようです。

そのため、パートナーがアスペルガー症候群であっても「変わった性格の人」といった程度の捉え方しかされないことも多いでしょう。

これに気づかずに生活をともにすることで、うまくコミュニケーションがとれなくなってしまうのです。

大人同士であることから、親子のような指導・教育関係にないため、それが解消されにくいとも考えられます。

結婚によって変化する関係性

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アスペルガーである夫は、結婚によって2つの変化を見せることがあるようです。

結婚という関係性を受け入れることができず、恋人関係を継続するという認識の場合には、子どもの誕生で夫婦の関係性に亀裂が生じることになります。

あくまで妻は恋人であり、子どもの母親ということを認識できないため、恋人を子どもに奪われたと思ってしまうこともあるでしょう。

結果として、母親が子どもに愛情をかけることを阻害するなどの行動をするようになり、夫婦間に溝が生じてしまうことになるのです。

また、夫婦となったことを受け入れるものの、態度が急変するということもあります。

これまで恋人、つまり他者として認識していた妻を、結婚後は他者と認識せず、配慮しなくなるような態度をとることがあるようです。

一人でいることを好むようになり、妻はより孤独を感じるようになるでしょう。

アスペルガーの男性は、社会的な評価が伴わなければ行動することができないため、子育てなどで社会的な評価を得られるようなことがなければ、子育てを行うことは難しいとされています。


→次ページでは、カサンドラ症候群と診断される基準を見ていきましょう。

カサンドラ症候群と診断される基準

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カサンドラ症候群はアスペルガー症候群を受けての二次障害であるため、その診断は慎重に行われなければならないでしょう。

相互の関係で精神的な満足感が得られず、この原因が突き止められないということになれば、症状が悪くなっていくことも考えられるのです。

カサンドラ症候群は主に以下3つの項目から診断することができるとされています。

(1)夫婦の少なくとも一方が、心の知能指数が低い、または失感情症である
(2)相互のコミュニケーションが害されている
(3)精神的または身体的にマイナスのダメージを受けている

この3つはさらに細かい項目にわけられ、それぞれの項目に1つ以上該当するものがあるとカサンドラ症候群が疑われるようです。

アスペルガー症候群の夫とのあいだに問題が生じる理由

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アスペルガー症候群の研究がはじまったのは最近のことで、まだ知識を持たない人も少なくありません。

そのため、「アスペルガー症候群を知らない」ということが、まず問題を生じさせることになります。

知らないままでは、相手が何を求めているのかも分からず、うまくいっていない理由についても説明ができないことで、より関係性が悪化していくことも考えられます。

中にはパートナーがアスペルガー症候群であることを認識しないまま生活が継続していくことも珍しくありません。

また、アスペルガー症候群の男性は人と衝突することを恐れる傾向にあるため、気持ちを伝えたり問題に向き合ったりすることを拒否することもあります。

女性側が感情的になればなるほど距離は遠くなり、問題は深刻化してくことになるのです。

悪意なく相手を傷つけることもあり、自分の非を認めることがないため、女性の感情的な消耗は強くなっていくでしょう。

カサンドラ症候群の症状

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カサンドラ症候群の症状として、以下のものがあげられます。

・偏頭痛
・体重の増減
・自尊心の低下
・自己喪失感
・恐怖症
・抑うつ、無気力感、不安感
・罪悪感

パートナーと感情的なやりとりが希薄になり、お互いに支え合うことができなくなるため、常に疲弊し続けることになるでしょう。

これはお互いがその原因を理解し受け入れなければ解決されず、克服することもできません。


→次ページでは、アスペルガー症候群のパートナーを持つ人の悩みを見ていきましょう。

アスペルガー症候群のパートナーを持つ人の悩み3つ

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(1)社会生活を営めることがマイナスに働く

『夫がアスペルガー症候群で、私もカサンドラ症候群の症状があることを自覚していました。毎日つらく、このままではおかしくなってしまうと思い相談したことがあるのですが、仕事もしていて社会生活を送ることができている状態で支援はできないと言われました。もう誰にもこの苦しみが分かってもらえないのだと思い、絶望しました』

アスペルガー症候群といっても、通常の社会生活を送ることには支障が出ていないこともあります。

その場合、夫に対しての支援を期待することは難しく、事態がより深刻にならなければ対処してもらえないこともあるようです。

(2)自分のことも嫌いになる

『交際してからしばらくは真面目でいい人という印象だったのですが、結婚後に他の人との違いを感じるようになりました。ちょうどそのころ、テレビでアスペルガー症候群が紹介されていて症状が一致したんです。不安に思うのはもちろん、最初はいい人と思っていたのに違う一面が見えたからといって、遠ざけるような感情を持ってしまう自分にも嫌になります』

アスペルガー症候群のパートナーに対し、「どうして分かってくれないの?」「なぜこんなこともできないの?」と感じてしまうことは珍しくありません。

それに加え、そのような感情を持ってしまう自分にまで嫌悪感を抱くことで、より一層追いつめられていくことになります。

(3)離婚に踏み切れない

『私の夫はアスペルガーで、コミュニケーションが苦手で相手の気持ちをくみ取るということもあまりできません。私自身、鬱のような症状にも悩まされ離婚を考えたこともありますが、周りにこの苦しみは伝わらないし、離婚すれば私が一方的に悪者にされる気がして踏み切れません』

毎日の生活に疲れ果て、パートナーとの離婚を考える人も多いはずです。

しかし、通常の社会生活を送り、夫婦関係が破綻しているともいえない状況で離婚を選択するのは難しいとも言えるでしょう。

悪意のある行動ではないだけに、余計に苦しみを感じてしまうこともあるようです。

カサンドラ症候群を第三者が理解しづらいワケ

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カサンドラ症候群の悪化は、夫婦間のコミュニケーションが困難になることで起こります。

最初はアスペルガーの男性に対してその素直さなどに魅力を感じているものの、次第に感情を表に出さないことなどを感じ始め、助けようとするという流れをたどります。

周囲は、カサンドラの症状が出るまでなぜ気づかないのかと疑問に感じることもありますが、これは日々の積み重ねや、結婚などの出来事によって認識することが多いため、問題は顕在化しないことがあるのです。

また、明確な状態でなくとも、夫婦間でコミュニケ—ションをとれないことは通常の夫婦でもあることだと思われることで、誤解を生んでしまうこともあるでしょう。

アスペルガーの男性は会社などでは問題がないこともあるため、女性側の一方的なわがままだと捉えられることもあります。

相談しても、「うちの夫も同じ」「それはあなたが変じゃない?」などと相手にされないことは少なくないのです。


→次ページでは、夫がアスペルガー症候群と診断されたときの関わり方を見ていきましょう。

夫がアスペルガー症候群と診断されたときの関わり方4つ

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(1)会話は隣り合ってする

人と対話することが苦手なアスペルガー症候群の人とは、横に並んだ状態で会話することで集中して聞いてもらうことができます。

対面になってしまうと、夫は必要以上に妻の表情に気を取られてしまうため、話の内容がおろそかになってしまうそうです。

(2)期待しない

人の気持ちを読むことが苦手なアスペルガー症候群の夫に対し、他の人と同じように愛情を求めたり常識的な振る舞いを求めたりすることが、自分を追いつめることもあります。

ひとつひとつの行動に胸を痛め悩み続けるよりも、良い意味で割り切って、「夫はこういう人なんだ」と考えることで苦痛から解放されることもあるでしょう。

(3)夫を尊重しながらルールを守らせる

アスペルガーの人は他人に対して関心が低く、自分のことを一番に考えてしまう傾向にあります。

そのため、自分がいましたいことを最優先にし、その他の家族がないがしろにされていると感じることもあるはずです。

これを改善させようと、夫に干渉しすぎてしまうのは逆効果。余計にストレスを感じさせてしまうでしょう。

とはいえ、完全に見捨てて孤立させてしまうのも避けなければなりません。

夫が一人でいられる部屋を作るなどし、そこにいるときは自分の世界に入っても構わないがそれ以外では交流を図るなど、メリハリのあるルールがあるとうまくいくかもしれません。

(4)自立する

アスペルガーの夫と良好な関係を築きたいのであれば、夫婦が支え合いながら家庭を築いていくというものはイメージせず、精神的にはもちろん、経済的にもひとりで生きていけるよう“自立”することが重要です。

どうなっても大丈夫という背景があることで、夫婦の関係性が崩れそうになっても落ち着いて対処することができ、余裕のある気持ちが2人を良い方向へと導いてくれるでしょう。


→次ページでは、カサンドラ症候群になったときの解消法を見ていきましょう。

カサンドラ症候群になったときの解消法5つ

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(1)グチが言える友達を見つける

妻のカサンドラ症候群が悪化してしまう理由のひとつが、周囲に苦しみを理解してもらえないことでした。

同じようにアスペルガー症候群の夫を持つ友人がいるだけで、ストレスなどを溜めづらくなります。

身内であってもつらさが分かってもらいづらいカサンドラ症候群は、同じ境遇の人と分かち合うことが最も重要と言えます。

(2)別居してみる

カサンドラを発症した人の中には、別居というスタイルを選び、通い婚することでうまくバランスをとっている人もいます。

これは、配偶者がアスペルガー症候群であったとしても、社会生活は問題なく送ることができるということが珍しくないため。

別れを避けて一緒に生きていくことを選ぶのであれば、自分を追いつめない程度に距離をとることは有効な手段と言えます。

(3)専門機関に相談する

アスペルガー症候群のパートナーの存在に悩み、自身も不調を感じるようになっても、具体的に何が原因でそのような状態になっているのか判断できる人は少ないはずです。

そこで自身の症状がカサンドラ症候群であるとわかるだけでも、気持ちがいくぶん軽くなることがあります。

中には夫婦でカウンセリングを受けることのできるところもあるため、悩みが解消できないという方は相談してみるのもいいかもしれません。

(4)開き直る

カサンドラ症候群は病気ではなく、あくまで現象です。

カサンドラ症候群の結果、身体的な症状が現れることがありますが、その元となっているカサンドラ症候群自体を薬などで治すことはできません

時にはパートナーと距離感が必要で、開き直って考えないようにすることも大切だと言えるでしょう。

パートナーのために疲弊するのではなく、自己を持ち、折り合いをつけていくことも必要なのかもしれません。

(5)自助グループでの活動に参加する

カサンドラ症候群がつらいことの理由として、周囲に自分の苦しみが理解してもらえないというものがあります。

話を聞いてくれる友人などがいたとしても、実際にカサンドラ症候群になった経験を持つ人やアスペルガーのパートナーを持つ人でなければ、話せないことや理解できないこともあるのです。

街には、そういった人たち同士が悩みなどを共有し、励まし合うことができる活動を行っている団体も存在します。

これはいわゆる自助グループというもので、ワークショップやセミナー、さらには個別相談に応じるなどさまざまな活動が行われており、そこでしか話せないこともあるでしょう。

問題解決のための直接的な活動であるため、単なるグチにはとどまらない効果が期待できると言えるかもしれません。

なお、実際に顔を合わせたり集まりの場に行ったりすることに抵抗があるという場合には、ネットで意見交換ができるサイトなどもあるため、それを活用してもいいでしょう。


→次ページでは、アスペルガーの夫を持つ妻の体験談を見ていきましょう。

アスペルガーの夫を持つ妻の体験談

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『夫のことを他人に相談すると怒ってしまうため、誰にも相談できない状態でした。診断を受けることもできないため、特に病名もないまま苦痛に感じる状態だけが長年続いたのです。会話もままならず、不満を漏らすと手を上げるようになり、暴力的な面も少なくありませんでした。私がうつになりかけて夫も変わってくれるかと思いましたが、やはり難しく、結局離婚という選択をしました』(40代女性)

『頭に来てケンカになっても、自分の気持ちが全く分かってもらえず一層落ち込むだけ。どんどん自己否定するようになり、「私なんて生まれてこなければ良かった」という精神状態になっていきました。とにかくこの生活から逃げ出したいという一心で毎日をやり過ごしています』(30代女性)

『それまでは夫のことを少し変わってるとは思っていましたが、ネットで見たアスペルガーの話を読んで、これまでの行動に納得がいきました。それまで自分も追いつめられていて苦しい時期が続いていましたが、病院で診断を受けて少し楽になった気がします。それまで夫のせいにしていたことも、アスペルガーのせいにすることで少し受け流せるようになりました』(30代女性)

苦しみながらもそれを周囲に分かってもらえず、一人で追い込まれてしまう人も少なくありません。

パートナーだけでなく、親族や友人など、まわりが気づいて手を差し伸べたり、苦しいという声を聞いてあげたりすることが重要と言えるでしょう。

まとめ

「カサンドラ症候群の特徴」や「対処法」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

アスペルガー症候群の人に焦点が当てられることは増えてきましたが、周りで支える家族の大変さを知ることはあまりないはずです。

夫婦関係をより良く継続させるためには、どちらか一方の努力だけではうまくいきません。

話し合いがままならない関係であれば、専門家の介入という方法が望まれますが、日本ではまだまだアスペルガー症候群の家族を取り巻く環境は厳しいと言えるでしょう。

つらいと思ったら、心療内科に相談してみることも大切です。

●追記/パピマミ編集部
●モデル/神山みき(れんくん)福永桃子藤沢リキヤ倉本麻貴(和くん)杉村智子(まさとくん)



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