【出産前に知っておきたい】「初乳」は母乳とはどう違う?特徴や出す方法
2019年10月28日 | よみもの【出産前に知っておきたい】「初乳」は母乳とはどう違う?特徴や出す方法

母乳は赤ちゃんにとって大切な栄養源。なかでも「初乳」といわれるお乳は、どの育児書にも「赤ちゃんにできる限り飲ませるようにしましょう」と書かれています。それだけに、予定日が近づくにつれて「ちゃんとおっぱい出るかな?」と心配になりますよね。
でも、そもそも初乳と母乳は何が違うのか、よく分からない妊婦さんも多いもの。そこで、出産前に知っておきたい知識として、「初乳」についてお話したいと思います。
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初乳ってなに?
初乳は言葉のイメージから「いちばんはじめに出てくる母乳」のことだけを指すと思われがちですが、産後すぐから1週間ほど出てくる、ドロッとしたクリーム色のお乳のことをいいます。
初乳には出産前から乳房の中で分泌される成分が含まれていますが、出産で胎盤が排出されることでママの体内のホルモンバランスが変化して、少しずつ成分を変えながら“成乳”といわれる白くサラサラな母乳へと変化していきます。
栄養満点!初乳の特徴
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・成乳に比べて、たんぱく質やビタミン、鉄分やカルシウムなどの栄養が多く含まれ、糖質や脂質が少ない
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・成乳の約5倍のベータカロチンが含まれているため、黄色味が濃い
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・水溶性ビタミンやたんぱく質が多く含まれているのでとろみがある
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・赤ちゃんの免疫力を高める「IgA抗体」や「IgG抗体」が多い
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・細菌やウィルスへの免疫力を高める「ラクトフェリン」が成乳の約3倍多く含まれている
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・神経系の発達や細胞膜の生成に必要なコレステロールが多い
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・胎便(はじめてのうんち)を促す作用がある
このように、初乳には免疫機能が発達していない生まれたての赤ちゃんに必要な成分がたっぷり含まれています。できる限りたくさん飲ませてあげたいですね。
初乳が出やすくなるようにするには
出産を迎えると母乳が出るようになりますが、出産直後は乳管(母乳の通り道)の詰まりなどで出が悪いこともよくあります。そんなときは、以下の方法を試してみましょう。
赤ちゃんにたくさん吸ってもらう
赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激はママのホルモンを活性化させ、乳腺を発達させます。それにより乳管が開いて流れが良くなるので、初乳の出が良くなります。最初はうまく出なくても、何回か吸わせているうちにお乳がにじんでくるようになるので、あきらめずにくわえさせましょう。
なお、ホルモンの分泌により子宮の収縮が促されるため、母体の回復も早まりますよ。
おっぱいマッサージ
マッサージの方法は先生や専門家によってさまざまですが、どれも血流と母乳の詰まりを解消してくれる効果があります。母乳はママの血液からできているため、乳房の基底部をもみほぐして血液循環をよくし、乳房のマッサージで詰まりを解消すれば、母乳が出やすくなります。
乳頭ケア
ママの乳首の形状によっては、赤ちゃんが上手に吸えないことで母乳が出ないこともあります。妊娠中からつまんでおいたり、扁平乳頭や陥没乳頭の人は器具を用いて乳頭を出すなど、赤ちゃんが吸いやすいようにしてあげましょう。
なお、妊娠中に乳首をいじるとおなかが張りやすくなるので、様子を見ながらムリのない範囲でおこないましょう。
このほか、出産前は…
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和食中心の食事を心がけて血液の質をよくしておく
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水分を多めに摂って血液量を増やす
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ノンワイヤーでサイズに合ったカップのブラを着用する
などの方法も効果的。妊娠中から取り入れられるものもあるので、少しずつ準備をしておくといいですね。
初乳を直接あげられない場合
出産後、赤ちゃんがすぐに保育器に入るなどおっぱいをくわえさせてあげられない場合は、可能な範囲で、少量でも絞った初乳を届けてあげましょう。
また、乳頭の割れや炎症で母乳をあげられない場合は、搾乳して哺乳瓶で飲ませたり、乳頭保護ニップルを使ったりするなど、ムリをしないことがいちばん。少しでも心配なことがあるときは、看護師さんや助産師さんに相談しましょう。
初乳は大切…でも、こだわりすぎはダメ
初乳は成乳に比べて分泌量が少なめなうえ、赤ちゃん自身も飲む動作が上手ではない時期なので、なかなか順調にはいきません。それなのに「絶対初乳を飲ませなきゃ」「母乳だけで育てたい」など意識しすぎると、それがストレスとなって余計に母乳の出が悪くなってしまうこともあります。
思うように出なくても、初乳は舐めさせるだけでも効果を得られます。また、赤ちゃんも回数を重ねながら少しずつ上手に吸えるようになっていくもの。慌てず、こだわりすぎずに、ゆったりとした気持ちで授乳に向かう心構えを、今からしておきましょう。
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