早期発見で90%は治癒できる。乳癌の症状と、乳癌検診について

早期発見で90%は治癒できる。乳癌の症状と、乳癌検診について

日本人の死因1位ともいわれる「がん」。全身のあらゆる臓器に発症する可能性のある病ですが、なかでも「乳がん」は、女性がかかるもっとも多いがんとされています。最近では歌舞伎俳優・市川海老蔵さんが、妻である小林麻央さんの1年8か月に及ぶ闘病を公表し話題になりましたね。

 

国立がん研究センターがん対策情報センターによると、2011年の女性の乳がん全国推計値は約72,500例(上皮内がんを除く)で、女性のがん罹患全体の約20%。2013年の乳がんによる死亡者数は13,000人にのぼり、がんによって亡くなった方の約9%にあたるそうです。

 

ただ、早期に発見し、適切な治療をおこなうことで90%が治癒する病気。乳がんの正しい知識を身につけ、万が一発症しても早期発見ができるように、検査やセルフチェックについても知っておきましょう。

 

 

乳癌ってどんな病気?

乳癌ってどんな病気?

乳房は赤ちゃんを授かった際に母乳を与える大切な器官で、母乳をつくる乳腺や母乳を運ぶ乳管が集まった乳腺組織、血管や神経などが、脂肪で支えられています。この乳房の中で、主に乳管や上皮細胞から発症するがんが「乳がん」なのですが、発症するがん細胞のタイプによって、大きく3つにわけられます。

 

それぞれの性質や特徴、症状は次のとおり。

 

非浸潤がん

乳腺組織内にがん細胞が留まっている段階の、ごく早期のがん。移転をおこさないので、治療によりほぼ完治することが可能。ただ、乳管をはっていくため、発見が遅れると広範囲に広がりやすい。

 

<特徴と症状>

乳管内で広がるため、しこりが触れにくい。マンモグラフィーや超音波、血性乳頭分泌で発見されるケースが多い。

 

浸潤がん

がん細胞が乳管の壁を破って乳管の外に広がったもの。リンパや血液の流れに乗って、リンパ節や骨、肺などに移転する可能性もある。一般型(硬がん、乳頭腺管がん、充実腺管がん)と特殊型(粘液がん、浸潤性小葉がんなど12種)にわけられる。

 

<特徴と症状>

しこりをつくるタイプが多く、痛みや乳房のくぼみなどもみられるが、全く症状のでない場合もある。マンモグラフィーなどの検査のほか、セルフチェックや違和感、ワキの下のしこりで気づくケースもある。

 

特殊型

乳管内の非浸潤性がん細胞が乳頭に達し、乳頭や乳輪にびらんが発生する「パジェット病」、乳房が広範囲に腫れ上がる「炎症性乳がん」など、発症率が乳がん全体の1%未満のもの。

 

<特徴と症状>

パジェット病:しこりはないことが多く、乳頭が炎症したように赤くなって皮膚がただれる。乳頭や周辺にかゆみを伴う紅色の湿疹ができることが大半で、進行にしたがって乳頭の変形や乳輪の境目がはっきりしなくなることもある。

 

炎症性乳がん:しこりはないことが多く、乳房が広範囲に赤く腫れ、皮膚がむくんで毛穴が目立つ。

 

 

早期発見にもつながる“セルフチェック”

タイプによって症状がさまざまではあるものの、乳がんはセルフチェックで発見できる可能性が高いがん。定期的にチェックすることで変化に気づきやすくなります。以下の手順でチェックしてみましょう。

 

1.入浴前

入浴前

鏡の前に立ち、以下をチェック。両手を下げた姿勢、あげた姿勢それぞれで、正面、側面、斜めなどから確認しましょう。

 

  • ・左右の乳房の形、大きさ、高さに違いがないか
  • ・乳房の皮膚の一部や乳頭にへこみやひきつれがないか
  • ・乳頭にかさぶたやただれがないか、異常な分泌物が出ていないか

 

2.入浴中

入浴中

片手をあげ、反対側の指の腹で乳房を軽く押さえながらしこりがないかを確認する。
渦巻き状に進めるとまんべんなくチェックできます。

 

3.就寝前

就寝前

  • ・あおむけの状態で片手をあげ、乳房の内側を指の腹で押す
  • ・腕を自然な位置に下げ、乳房の外側半分を指の腹で押す
  • ・腕を軽く開き、ワキの下にしこりがないか調べる
  • ・乳頭を軽くつまみ、血のような分泌物が出ていないか確認する

 

*毎月1回くらいのペースでチェックしましょう。

*ホルモン状態によっては乳房が張ったり痛みをともなったりして判断しづらい時期があるので、生理が終わって1週間前後がおすすめです。

 

 

早期発見には年に1度の検査を

乳房の違和感やしこりなどセルフチェックで早期に発見できる症状が多い乳がんですが、わかりづらい症状で進行するケースもあります。そのため、最低でも年に1回は専門医による検査を受けることが大切。とはいえ、まだまだハードルを高く感じている女性も多いようです。検査では具体的にどのようなことをおこなうのか、主な3つの検査について詳しく見ていきましょう。

 

視触診

視触診

乳房の形やしこりの有無、押さえたときの痛み、乳頭からの分泌物など、先生が直接目と手で確認します。

 

超音波検査(エコー)

超音波検査(エコー)

ゼリーを塗った上から超音波をあて、組織からの反射をとらえた濃度の違いで診断します。

しこりがあった場合、大きさや内部の構造を鑑別できますが、小さいしこりや、しこりになる前の石灰化の診断は難しい場合があります。

 

マンモグラフィー

マンモグラフィー

透明の板で乳房を挟み、薄く引き延ばして撮影する乳房専用のX線撮影です。触診や超音波では見つけづらい微細な石灰化や乳がんでも画像としてとらえることができます。

 

ただ、乳腺の密な若い人では画像で乳腺とがんの区別がつきにくく、しこりが見つけづらいことも。また、妊娠中や授乳中の女性、豊胸手術などを受けている女性は検査に適しません。

 

受診のたびにすべての検査をするとは限らず、年齢や症状などによって受ける検査も変わってきます。不安なことがあるときは、あらかじめ先生に質問するなどして確認しておきましょう。

 

マンモグラフィーは「痛そう」「挟めるほど豊かじゃない」などの理由で敬遠する女性も多いですが、看護師さんが上手に挟んでくれるので、サイズは気にしなくて大丈夫。若干の痛みはともないますが、耐えられないほどではありません。それでも耐え難い痛みを感じたときは、遠慮せずにきちんと伝えましょう。

 

また、男性医の視触診に抵抗がある場合は、女医さんの病院を探すとリラックスして検査が受けられますよ。

 

 

…検査費について

自治体により、「40歳以降」「2年に1回」など一定の条件の下、無料や少ない自己負担額で検査を受けられるところも増えてきています。40歳未満であっても、自身の勤める企業や夫の勤務先の検診制度が利用できる場合もあるので、調べてみましょう。

 

 

最後に

乳がんの発症率は30代後半から40代後半がピークとされていますが、食生活の欧米化や飲酒・喫煙率増加などの影響で、若い女性の発症率は年々増えてきています。また、若いほど進行が速いともいわれているため、早期に発見するためにも、定期的に検査を受ける習慣をつけていきたいですね。

 

そのためには、まず通いやすく信頼できる専門医を見つけること。かかりつけ医ができれば、乳がん以外でもちょっとした悩みを相談できて心強いものです。また検診は、誕生月など毎年忘れないイベントのある月に行くようにすれば、うっかり忘れも防げますよ。

 
 

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