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いい子症候群が新型うつの原因にも? いい子症候群の特徴と将来のリスク

いい子症候群が新型うつの原因にも? いい子症候群の特徴と将来のリスク

【パパからのご相談】
好きなこと、将来の夢がない息子が心配です。小学4年生の長男は親の目から見ても、とても出来のいい息子です。

学校での勉強や行事ごとはもちろん、小学校入学頃から始めさせた習い事も文句を言わず通っています。

ところが最近、学校のどの授業も、また習い事も、楽しいと感じていないと本音を漏らしました。

それどころか、好きなことはないから将来の夢もないというのです。これまで夢は公務員と言っていましたが、大人がそれを聞いて笑うので冗談を言っているのかと思っていました。

さまざまなことに興味を持ち、積極的に楽しむいい息子だと自慢に感じていただけに、大変ショックです。


ご相談ありがとうございます。ママライターの木村華子です。

“いい子症候群”をご存じでしょうか?

親や教師の顔色を伺い、いつも“いい子”に、大人が喜ぶであろう行動をする子どもたちのことを指します。

大人にしてみれば、“とてもいい子”に見えるのですが、その実は“いい子でいることで大人の注意を引き、好きでいてもらえる”という原動力で動いているわけです。

次第に自分自身の気持ちが見えなくなり、素直な感情表現もできなくなってしまうといいます。

教育評論家として、またテレビでは尾木ママとして有名な尾木直樹さんが呼び始めた言葉なのですが、ご相談者様のお子様はこの状態に少し近い印象を受けました。

新型うつとは

いい子症候群の特徴

2012年5月、NHKハートネットTVでは、『シリーズ“新型うつ”にどう向き合うか(1)翻弄される企業と若者の苦悩』が放送されました。

NHKが上場企業2,200社に行った調査結果として、65%もの企業が、「新型うつ(現代型うつ)の社員がいる」と答えたことに触れ、新型うつに悩む若者と、その企業の実態や問題を紹介しました。

新型うつ(現代型うつ)は比較的最近耳にすることの増えた病気ですね。

【新型うつの特徴3つ】

  • 仕事中に症状が出るが、それ以外では元気
  • 何か悪いことが起こると、自分以外の人のせいにする
  • 過食や睡眠時間が長くなるケースもある

従来のうつ病とは異なる点が多く、また、「怠けている」「甘えている」と思われがちです。

しかし、新型うつも病気の一つですので、きちんとした対応が必要だと言われています。

新型うつなど、うつ病の基礎知識は以下の記事をご覧ください。

新型うつの原因が親子関係であるケースも

いい子症候群の特徴

番組内でとても興味深かったのは、新型うつの原因に親子関係が関わっていることがあるというものです。

新型うつによる度重なる離職・転職に悩む若い女性は、カウンセラーからの助言によってその原因の中に母親がいることを知りました。

仕事を辞めることで母親から怒られてしまうことを、彼女は必要以上に恐れていたと言います。

彼女の母親は、わが子にたくさんの習い事を勧め、大学生になっても進学・就職に関わるさまざまな物事に関わり、彼女よりも先に決定していたのだそうです。ある種、母娘共依存の関係性になっていたのです。

また、その母親の希望に応えるように、娘である彼女はそれらをこなし、“いい子”であり続けようとしました。

そのうちに、自分自身で物事を決めることや柔軟性を失ってしまったのです。

同時に、いつも“いい子”であり続けた彼女は、社会に出てから注意されたり怒られたりすることにも耐性がなかったといいます。

そのため、入社後間もなく退職をしてしまいました。その後アルバイトを転々としますが、同じ理由で長続きはしません。

このような状況を打開できたのは、母親との関係の変化です。

親子で買い物をしたとき、「店員さんがお釣りを間違えた。態度も悪かったしムカツく。万引きでもしてやろうかな」という娘の言葉に、母親は意外にも、「自分も同じような気持ちになったことがある」と話しました。

このやり取りの中で、彼女は、「お母さんだって、全てが正しいわけじゃないんだ」と感じ、誰しもが間違うことがあるということを理解できたそうです。

“いい子症候群”な子どもの心理

いい子症候群の特徴

“いい子症候群”になっている子どもは、常に「親に認めてもらいたい」という気持ちを抱え持って生きています。

親からの評価が自分の評価に直結するため、親から否定的な言葉を浴びると、自分でも自身を否定してしまいます。

反対に、親に褒められると、まるで自分の存在ごと肯定されたように感じます。

このように、“親の評価=自分の存在価値”という極端な考えを持つ子どもは、大好きな親に嫌われないために、常に親の顔色をうかがい、好かれるために“いい子”であることをストイックに演じ続けてしまうのです。

そのため、大人になっていい子症候群から急に爆発したり、うつ病などを発症してしまうケースもあるようです。

いい子症候群の子どもの心理についての詳細は以下の記事をご覧ください。

“いい子症候群”の主な特徴11項目

いい子症候群の特徴

“いい子症候群”は表面化しづらいことも多いですが、共通する特徴がいくつかあります。以下のチェック診断で、ご自身や子どもに当てはまるか確認しながらチェックしてみてください。

  • 親の指示がないと不安
  • 自己主張することが苦手
  • 相手の目をしっかり見て話すことができない
  • いつもイライラしている
  • 感情表現が乏しい
  • 他人を頼るのが苦手
  • 何かに失敗すると深く落ち込んでしまう
  • 長子・もしくは一人っ子
  • 幼稚園や小学校では優等生だった
  • 自分の長所が思い浮かばない
  • 反抗期がなかった

いかがですか?

上記の1つの項目に当てはまったから“いい子症候群”、というわけではありません。しかし、当てはまるものが多い場合は“いい子症候群”の疑いがあります

また上記の項目以外でも完璧主義の傾向があります。なので、小学生の頃などは不登校になる直前まで解禁だった例などもあります。

これらのことが原因で社会生活に支障をきたしているようであれば、早めの対策を行うことが必要となります。

“いい子症候群”のまま大人になると起こる問題4つ

いい子症候群の特徴
“いい子症候群”の人は、親から認めてもらうことに大きな価値を置いているため、自分の意思が薄弱であることが多いです。

そのため、“いい子症候群”を引きずったまま大人になるとさまざまな弊害が起きるようになります。

(1)無個性な人間になる

「親が喜ぶから」「親が悲しむから」と親基準で生きてきた“いい子症候群”の人は、自分の目的よりも親の目的を優先させる傾向にあります。

そのため、勉強や家事のお手伝いなど、親に褒められることには精を出しますが、趣味や得意分野の追求など“自分の喜び”に関することには無頓着になってしまいます。

その結果、大人になって自分のことを「得意なものが何一つない」「無趣味でつまらない」人間だと思うようになります。

いずれも仕事の能力や友人関係に影響してくるため、周囲とうまくなじめないことに悩むケースもあります。

(2)自己肯定感が低くなる

自分自身の喜びではなく、他人からの承認を原動力として生きてきた人は、自分で自分を褒めることができない傾向にあります。

“いい子症候群”の人は自分の価値は他人の評価の中にあると固く信じているため、自分を肯定するためには相手に褒めてもらう必要があると考えます。

反対に、他人の厳しい評価も真面目に受け止めてしまうため、周囲の発言によってひどく落ち込みやすくなります。

そのため、褒められることよりも叱られることの方が多くなる社会生活では、次第に自己肯定感が低くなってしまうのです。

(3)指示待ちに人間になる

“いい子症候群”の人の中には、親の指示に従って生きてきたという人が多くみられます。

理由は「親を喜ばせたいから」ですが、親の言うことに従っているうちに、自分で物事を考えなくなってしまいます。

その結果、就職活動中のエントリーシートに何も記載ができなかったり、社会に出ても自発的に動くことができず、いわゆる“指示待ち人間”になるのです。

(4)裏表の激しい人間になる

親の厳しいしつけによって育てられた“いい子症候群”の子どもの中には、万引きやイジメなどの反社会的行動を取る人もいます。

しかし、大抵の場合は“親に隠れて”行われ、親の前では依然として“いい子”を演じ続けます。

このようなことが習慣化してくると、裏表の激しい性格になり、ある人にはこびへつらい、ある人には高圧的に接するといった態度を取るようになります。

また上記の特徴以外にも大人になったあと、彼氏・彼女ができない、恋愛がうまくできないなどのケースもあるようです。

子どもを“いい子症候群”にさせる親の特徴10項目

いい子症候群の特徴

子どもの性格は親の育て方によって大きく左右されると言われています。

そのため、育て方によっては子どもを“いい子症候群”にしてしまう可能性もあります。以下の項目に当てはまる親は要注意です。

  • 子どもが自分の言うことを聞かないとイライラする
  • 子どもをあまり褒めない
  • 子どもよりも自分を優先してしまう
  • ルールは必ず守るべきだと思う
  • 自分の子と周りの子を比べがち
  • 子どもを叩くことが多い
  • 子どもは親の言うことに従うべきだと思う
  • 子どもが好きなものに興味を持てない
  • 自分を犠牲にして子育てをしているという意識がある
  • 子どもをまったく叱らない

子育てをしていれば体験しがちな項目ばかりですが、多くの項目に当てはまった人は自分の教育方法を一度見直すようにしましょう。

いい子症候群に関する体験談の漫画記事は以下の記事をご覧ください。

“いい子症候群”の原因は『機能不全家族』にある?

いい子症候群の特徴

“いい子症候群”になる子どもの家庭には、『機能不全家族』が多いと言われています。

機能不全家族とは、本来心の安らぎをもたらすべき家庭において、対立や不法行為、身体的・精神的虐待やネグレクトが日常的に行われている家庭のことを指します。

また、機能不全家族には、以下の3つの暗黙のルールがあると言われています。

  • 話すな(問題について話し合うのは良くない)
  • 感じるな(感情を素直に表すのは良くない)
  • 信頼するな(人を信用するのは良くない)

このような殺伐とした家庭で育ったことをトラウマに抱え持つ大人のことを“アダルトチルドレン”と言いますが、その多くは子ども時代に“いい子症候群”だったという説もあります。

アダルトチルドレンの特徴は幼い頃から(幼児)、「〜するべき」「こうあるべき」などの固定観念を持っていることが特徴として挙げられます。例えば、「〜歳までに結婚するべき」などです。

日常的に暴力や育児放棄が行われる家庭の中では、子どもは必死になって親の顔をうかがって生きる必要があるのです。

機能不全家族で育った子どもの特徴6つ

いい子症候群の特徴

機能不全家族で育った子どもには、以下のような特徴があると言われています。

(1)プリンス(人形)

親に溺愛されていますが、自分の意思を受け入れてもらえずに、親の理想通りの人格や結果を出すことを余儀なくされます。

常に「親の期待に添わないと嫌われる」という不安を持ち、何でも親の指示に従うという操り人形のような行動を取ります

(2)リトルナース(世話焼き)

イネイブラー(英語ではenabler)とも言われ、こちらも同じ意味を持ちます。「思いやりのある優しい子ども」を演じて家庭内の問題を解決しようと頑張ります。

自分のことはそっちのけで親やきょうだいの世話をしたり、協力をしたりといった献身的な態度を取ります。

関心が他人へ向きすぎているため、自己主張ができない子どもが多いとされています。特に長女がなりやすいです。

(3)クラン(ひょうきんもの)

冗談を言ったり、おどけてたりすることで家族の調和を図ろうとするタイプです。

親やきょうだいに常に気を遣い、空気を過剰に読むクセがついているため、精神的に疲弊しやすいと言われています。

また、このタイプの子どもは自己肯定感が低く自分を卑下しすぎる傾向にあります。

(4)ヒーロー(優等生)

完璧主義で一生懸命勉強やスポーツをするため、優秀な子どもが多いです。しかし、その努力は全て「親のため」であって、自分のためではありません。

このタイプは仕事依存になりやすいとされ、とくに長男に多く見られると言われています。

(5)スケープゴート(問題児)

ヒーローとは逆に、トラブルを起こすことで注目されたいと願う問題児です。

このタイプの子どもは、「自分を理解してほしい」「構ってほしい」という心理が裏にあるため、他人に過剰に依存する傾向にあります。

(6)ロストチャイルド(いないふり)

おとなしく目立たないように生活し、なるべく家族を刺激しないように息をひそめているタイプの子どもです。

聞き分けがよく、手がかからないので、他のきょうだいに比べて注目されないことが多いです。

そのため、「自分には価値がない」と孤独感を抱きやすいと言われています。

“いい子症候群”の改善方法・治し方3つ

いい子症候群の特徴

“いい子症候群”は親の努力次第で治療・克服することができます。以下では、子どもの“いい子症候群”を改善する方法についてお話ししていきます。

(1)「いい子」という言葉を乱用しない

子どもを褒める際に、「いい子だね」と言う人は多いと思います。もちろん、子どもを褒めることは大切ですが、この言葉を使うシチュエーションが偏っていると逆効果になってしまいます。

たとえば、「ママの言うこと聞いていい子だね」「ワガママ言わないでいい子だね」といった風にだけ褒めていると、ママの指示に従うことが最善だと思うようになります。

自分にとって都合のよい行動を取ったときだけでなく、日頃から子どもを褒めてあげるようにしましょう

(2)自分の理想を押し付けない

自分の理想を押しつけすぎると、子どもはどうしても“いい子”を演じてしまいます。子どもが本当にやりたいことや得意なことに注目して、それを後押ししてあげるようにしましょう。

子どもの人生はあくまでも子どものものです。子どもにとっての幸せとは何かを今一度考えてみるようにしましょう。

(3)子どもを正しく褒めてあげる

『しくじり先生』にゲストとして出演した尾木直樹さん(尾木ママ)さんは以下のようにおっしゃっています。

『こうした“いい子症候群”の学生さんが今とても増えています。非常に感受性が強く、頭の回転がいい子ほど、お母さんのちょっとした表情を読み取る能力が高いのです。すると、「母親はこうやると喜ぶな」と先読みしながら、親好みの人間になってきます。“いい子”をやっていると、自分らしさ、自分が本当にそう思ったかどうかという、自分の感情がなくなっていきます』

お子様は本当に“いい子”なのでしょうか? いい子を演じ、大人に嫌われまいと必死になっているのかもしれません。

そもそも、いい子って何なのでしょう? 実像のない“いい子”を目指し、育てるのは親子ともに悲しいことにも感じてしまいます。

「こんな子どもであってほしい」という理想を押し付けるのではなく、お子様の好きなこと、得意なことを褒めてあげてください

「走るのが早いんだね、すごいね」「絵を描くのが上手だね」

単純な褒め言葉に感じるかもしれませんが、得意な科目や好きな分野は褒められて好きになることがスタートなのではないかと思います。

まとめ

「いい子症候群の子どもの心理」や「いい子症候群の改善方法」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

子どもを立派に育てたいという思いはどんな親でも持っているものです。しかし、時にはその思いが強すぎて押し付けになってしまうこともあります。

なるべく子どもの自主性を尊重しながら、成長を見守っていくようにしたいですね。

【関連コラム】
親の顔色をうかがう子供への接し方

●ライター/木村華子(ママライター)
●追記/パピマミ編集部
●モデル/大上留依(莉瑚ちゃん)

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