知らないと後悔する!? インターナショナルスクールに入学する前の注意点
2017年8月9日 | よみもの知らないと後悔する!? インターナショナルスクールに入学する前の注意点

みなさま、こんにちは! 海外生活25年続行中、国際結婚、国際子育て真っ只中のバイリンガル教育パパ、Golden Beanです。
インターナショナルスクールで学ぶメリットとしては、
(1)優れた英語力が身に付く
(2)自分とは異なる文化への理解力が身に付く
(3)個性尊重の教育により、個性が伸びる
(4)自由の中で、守らねばならない規律を学べる
以上の4つが挙げられます。
では、逆にデメリットはあるの? 気を付けないといけないことはどんなこと? 不安もありますよね。
今回は、インターナショナルスクールにお子様を通わせるという決定をするまでに知っておいた方が良い注意点を、シンガポール、オーストラリア、上海と3か国で娘をインターナショナルスクールに通わせてきた私が、自身の経験を交えつつお話しさせていただきたいと思います。

インターナショナルスクールは日本では各種学校という扱いである
欧米の学校評価機関(英国のECIS『ヨーロッパ国際学校協議会』、米国のWASC『西部地域学校協議会』、NEASC『ニューイングランド学校協議会』、IBO『インターナショナルバカロレア機構』など)から一定の水準にあると認められたインターナショナルスクールは日本全国にあります。
インターナショナルスクールの多くは、日本国内では都道府県認可の“各種学校”と同じ扱いということになっています。
では“各種学校”とはどのような学校なのでしょうか? それは、調理師や簿記、コンピュータなどといった専門学校のことなのです。
インターナショナルスクールでは、事実上、日本の小学校・中学校・高校と同程度(もしくはそれ以上)の教育を行っているのですが、日本では私立の学校としても認められておらず、専門学校と同等の扱いなのです。
そのため、小学校入学の段階でインターナショナルスクールに通わせる旨を教育委員会に伝えた場合、「親が子どもに対する教育の義務を怠ることになるんですよ」とか「インターナショナルスクールで小学校を卒業しても、日本の小学校卒業の資格はないですから中学校から公立に行かせたいと思っても行けませんよ」などと叱られてしまうことがあるようです。
中学校、高校卒業後の進路について
インターナショナルスクールは日本の正規の学校と認められていないため、日本の小・中学校の義務教育の卒業資格は取得できません。
たとえば、インターナショナルスクールで中学校のレベルを卒業しても、基本的に日本の高校に進学する資格を得ることはできないのです。
日本国内の高校や大学への進学を考えているとすると、入学できる学校の数は限られたものになってしまいます。
最近では、日本国内の高校や大学も“国際化”を目指している学校が増え、インターナショナルスクール出身生徒の入学を受け入れる高校や大学が増えてきつつはあるのですが。
現状では、中学卒業の段階で、私立の全寮制高校など海外の高校に進学するか、日本国内で高校を持つインターナショナルスクールに転入する人が大多数です。
インターナショナルスクールを卒業した後に、日本の高校や大学に進学を考える人は少ないようです。
お子様をインターナショナルスクールに入学させる決定をする前に、中学、高校、大学と一貫して欧米式の教育を受けさせるのかどうかを、よく考えてみることが大切です。
また、“インターナショナルスクールに合わない子ども”も存在します。
せっかく入ったのにやめさせるのはもったいないと思ってしまいがちですが、子どもを無理やり通わせて、学校嫌い、勉強嫌いにさせてしまったら元も子もありません。
冷静に考え、子どもがインターナショナルスクールに合わないということであれば、将来の高校、大学のことを考えて、早期に公立学校への転入を決断すべきかもしれません。
お子様をインターナショナルスクールに通わせる決定をするために、将来どこの国の高校、大学を目指すかまで、一応のプランを立てておくべきなのですね。
日本人としての文化やアイデンティティーを持ち続けることができるかという問題
幼稚園や小学校からインターナショナルスクールに入学し、中学、高校、大学と将来にわたって欧米の教育を受けさせるということは、その子どもは、日本の教育を受けた経験がないということになりますよね。
言葉は当然のことですが、考え方や文化、習慣なども自然と欧米式のものが身に付いてきます。
つまり、日本式教育を受けて育った日本人とは違ったものを持つ日本人になるのです。
日本人である以上、日本人としての文化や習慣も身に付けてほしいと思うのは、ママパパにとって当然の願いだと思います。
娘がグレード3(小学校3年生)のときに、シドニーから上海に転勤になったのですが、日本人の先生が日本語を毎日1時間教えてくれるというインターナショナルスクールを見つけ、その学校に入学を決めました。
日本語だけではなく、日本文化もしっかり教えてくれる先生で助かりました。
同じ上海のインターナショナルスクールに通っていた娘の友人は、インターナショナルスクールの夏休みが6月の終わりから始まることを利用し、日本の学校の夏休みが始まる7月半ばまでの短い期間であったそうですが、日本に帰国して日本の公立学校に体験入学しておりました。
日本のインターナショナルスクールでは、日本語教育を始め、さまざまな日本文化体験ができるように工夫されているようです。
日本人の先生が指導する武道の道場に通ったり、華道や書道の教室に通ったりするのもいいと思います。
日本人としてのアイデンティティーを保ち続けるための何らかの努力をしなければならないということですね。
高額の学費がかかる

インターナショナルスクールに通わせるには、どこの国でも莫大な学費がかかります。
上海のインターナショナルスクールの場合、年間の学費は10万元(約165万円)から始まり、30万元(約490万円)! というとんでもない学費の学校もあります。
また、学年が進むにつれて学費が上がっていくのもインターナショナルスクールの特徴で、2017年9月からグレード11(高校2年生)に進級する娘を持つ私の生活苦は、今や最高度に達しようとしています(涙)。
しかし、ここまで来て公立学校に転校させるのも無理な話ですので、あと数年の辛抱だ! と歯を食いしばって頑張っている次第です。
日本のインターナショナルスクールの場合、年間の学費は平均およそ250万円で、上海とあまり変わらない学費設定であると思われます。
小学校から高校卒業まで12年間在籍したとすると、学費だけで3,000万円! になりますね。それだけのお金を投資する価値が本当にあるのか?
インターナショナルスクールにお子様を通わせる決定をする前に、よく考えないといけませんね。
今後12年間に及ぶかもしれない長期に渡る経済的計画も、インターナショナルスクールを選択する場合、大変重要となるのです。
留年する可能性がある
インターナショナルスクールには、留年もあります。それは、何歳だからどの学年であるという考え方がないからなのです。
インターナショナルスクールは、その子どもがどのくらいの学力を持っているかということをかなりシビアに審査します。
うちの娘がシンガポールのインターナショナルスクールに通っていたころのことです。
グレード1(小学校1年生)からグレード2(小学校2年生)に進級するとき、先生から留年を勧告されました。
勉強についていけていないようなところがあるからというのがその理由でしたが、私はかなりショックを受け、うろたえ、何とかグレード2に進級させてくださいと担任の先生にお願いし、留年せずに済みました。
その後、シドニーを経て上海に来て現在までは何とか留年せずにきておりますが、娘の友人の中には、数人留年している子がいるのです。
さぞかしご両親もショックだろうと心配していましたが、会ってみると意外とさっぱりとした顔で、学力に応じた学年にいたほうがいい、ということをおっしゃるのです。
娘たちも、留年した友人のことを軽んじたりすることもなく、それまでと同じようにつきあっているのが印象的でした。
小学校で留年なんてかわいそうという考え方はなく、その子どものことを考えたら、勉強がついていけていないのに進級させるよりも、もう1年同じ学年で勉強をして、それができるようになってから上の学年に上がる方が結果的にその子どものためになるという考え方なのですね。
インターナショナルスクールに入学する前に理解しておきたい注意点
(1)インターナショナルスクールは、日本の正規の学校と認められていないため、日本の小・中学校の義務教育の卒業資格は取得できない
(2)中学、高校、大学と一貫して欧米式の教育を受けさせるのかどうかを、よく考えてみることが重要
(3)日本人としての文化やアイデンティティーを持ち続けることができるよう何らかの工夫、努力をする必要がある
(4)かなり高額の学費がかかるため、長期に渡る経済的計画を立てる必要がある
(5)留年する可能性もあるため、しっかり勉強をしないといけない
いかがでしたでしょうか。インターナショナルスクールに入学を決める前によく知っておくべき点をご理解いただけたでしょうか。
ひとりでも多くのお子様が、豊かな計画の元に、インターナショナルスクールで楽しく学び、世界中で活躍できる人となりますように。
【参考文献】
・『全国版インターナショナルスクール活用ガイド』増田ユリヤ・著
・『子どもをインターナショナルスクールに入れたいと思ったときに読む本』平田久子・著