後悔したくない! ママたちが語る“立ち会い出産”をする夫への要望
2017年4月3日 | よみもの後悔したくない! ママたちが語る“立ち会い出産”をする夫への要望

こんにちは。ママライターのあしださきです。
わたしは3人の子どもを出産しましたが、そのうち2回は夫に立ち会ってもらい、1回は1人でお産を経験しました。
今から50年ほど前から日本でも広まったというこの“(家族の)立ち会い出産”というスタイルは、近年ではすっかり一般的なものになったようですが、それ以前の日本ではお産といえば“自宅出産”が多かったそう。
私の祖母がお産をした当時の話はたくさん聞きました。陣痛が始まると自宅に助産師さんがやってきて、お産の準備を家族や近所の人が手伝う。夫も上のお兄ちゃんやお姉ちゃんも一緒にお産を見守ったそうです。
それが当たり前の風景だったころがあったのですね。自然な日常の延長に“お産”があった、ということではないでしょうか。

現代日本の“出産事情”
では現代はどうでしょうか。お産は“病院”や“助産院”などの施設でするものというのが一般的ですよね。
病院というとやはり、「非日常」「ちょっと怖い」というイメージがわいてしまうのですが、皆さんはいかがでしょうか。
その病院での出産において“立ち会い”を半ば義務のように強制されてしまう現代のプレパパたちを、私個人的には非常に気の毒だと思ってしまうのです。
今では、出産に夫が立ち会うのが普通で、それを「嫌だ」と拒否するなんて「イクメン失格!」みたいな風潮ですらあります。これは何なのでしょうか、面倒な世の中になったものです。
実際、立ち会い出産をしている割合のデータはどうなっているのでしょうか。
2013年3月に発行された『母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査』によりますと、帝王切開ではない経膣分娩で「出産に立ち会った人」について尋ねたところ、「夫」59%、「親」12%、「その他」5%、「誰もいない」36%となっていました。
この結果は、2006年に行った同調査結果と比較して、立ち会い出産をおこなう人が増えているという傾向を表していました。
立ち会い出産のメリットとは?
経膣分娩で、夫の立会いのもとで出産をした女性は、夫以外の人の立ち会いもしくは誰も立ち会わなかった場合と比較して「点滴処置の割合が少ない」や、「お産の痛みが和らぐ割合が高い」という産婦にとって非常に良い傾向が見られるということです。
夫にお産の現場に立ち会い「支えてもらえる」という安心感が、出産の痛みの緩和に役立ち、頑張れるということもあると思います。
立ち会い出産で「夫にして欲しかったこと」
立ち会い出産の体験談としてよく聞かれることは、「夫にもっとこうして欲しかった」「こうしてくれていたら、もっと良いお産になっていたのに」という妻たちの後悔の声です。
『立ち会い出産を希望していた夫。分娩室に入ると、ビデオカメラやデジカメで記録することばかりに夢中になって、私の苦しんでいる様子にはさらっと「頑張れー」みたいな心のこもっていない声援を送るのみだった。本当に腹が立った。記録うんぬんより私の方を気にかけてくれていたら嬉しかったのに』(20代/1歳の女の子のママ)
立ち会い出産で「夫にして欲しくなかったこと」
『陣痛が丸1日続いて心身ともにヘトヘトになりながら、痛みと戦っていたとき。夫が「タバコ吸ってくるわ」と外に出ていく姿に殺意を覚えた。しかも廊下で電話している声が聞こえてきて、「まだまだかかりそうだってー。何か病院に居るだけで疲れるんだけど」とか話していた。それを聞いてもう二度と立会い出産はいいと思った。お産するこちらよりも“疲れた素ぶり”とか“時間が長くかかりすぎる不満を言う”ということだけはやめて欲しかった』(30代/2児のママ)
出産という、人生の大切な場面においての「タラレバ」なんて全く不毛な話だと思います。
経験できる回数は限られていますし、命がけの大仕事。後悔しても次に頑張ればいいという問題ではないのですから。
これは、まず立ち会い出産をするか否かという段階において、もっと夫婦で意見を出し合って解決しておくなり、相談しておくなりする必要があったのだと思います。
夫が本当に立会いを希望しているかどうか、は重要
これもとてもよく聞かれる声なのですが、夫の側が「血を見るのが苦手」とか、「妻の苦しんでいる姿を見るのに耐えられそうもない」という明らかに立ち会うだけでご迷惑な存在になってしまうという自覚がある場合です。
こうしたことが分かっているのであれば、ぜひそこはご本人の意思も尊重して差し上げるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
かといってじっと家で生まれるのを待っているなんて、というのであれば、できることは他にもあります。
陣痛室では長い時間過ごすことになるので陣痛の合間の話し相手になってあげることはできますし、痛みを紛らわせるマッサージもできます。
この「話し相手」「陣痛中のマッサージ」は、今回意見を伺った方々の「立ち会い出産で夫にやって欲しいこと」の上位2つにランキングされています。
たとえお産の瞬間に居合わせなくても、心の支えになって一緒に戦ったという経験になります。
病院側もそういうご主人には「有無を言わさず立ち会え!」みたいな強要はやめて、ご本人と産婦さんの意思に基づき、配慮してもいいのではないかと思います。
「そこに居るなら、分娩室にも当然来なさいよ」的な圧力に押されて、渋々立ち会ってしまった、という声もかなりありましたから。
とにかく、妊娠が分かってから出産までの期間に夫婦でよく話し合っておくというのが大事。
お互い、出産に向けて情報を共有しどんな状態でお産が進行していくかもしっかりご主人にもお勉強してもらうことが必要です。
『出産の後、胎盤が出るのを知らなかった夫。相当気持ちが悪かったと、今でもトラウマになっているそうだ。自分を女性として見てもらえなくなるかもと、ちょっと心配になった。夫にもお産の流れとか胎盤の知識を与えていれば良かったかも』(30代/5歳の男の子のママ)
立ち会うと決めたら、「当事者意識」を夫にも持ってもらおう
妻の気持ちの代弁者として、私の体験を参考までにお話すると、「あなたと私の赤ちゃんだから、痛くても苦しくても頑張ろうとしているんだよ!」という気持ちはいつもありました。
3回の出産では、2回立ち会ってもらうことができ、その場にいてくれる夫に対してそう思いました。
4年前の次男の出産時は、連絡しても間に合わないほどの急展開でお産になり、1人で頑張りました。そのときも、夫と自分の子どもだから無事に産みたいという気持ちでした。
今頑張っている目の前の妻は、痛みから早く解放されたいとか、逃げたいという気持ちより、「2人の赤ちゃんを産む」ことを頑張っているのだと思います。
ですから、世の立ち会い出産をされる夫の皆さんにもぜひ自分のこととして受け止めて欲しい。そしてその気持ちをもって妻をサポートして欲しいのです。
そういう「当事者意識」って実は何よりも大事ではないでしょうか?
いかがでしたか?
もっとこうしていたら、あのときこうしていれば……そんなふうに思うことは、お産の現場ではなくなってほしいものです。
「夫にこうして欲しかった」や、「して欲しくなかった」というエピソードは本当に聞けば聞くほど出てきますが、それを並べていくだけでは解決にはつながりませんよね。
このコラムが、これから出産を迎えるご夫婦の良き参考になることができますように。