半数が間違えてる? チャイルドシートの正しい選び方&取り付け方
2017年2月10日 | よみもの半数が間違えてる? チャイルドシートの正しい選び方&取り付け方

こんにちは。元教習指導員の奈都木あやです。
お子さん連れの車移動で、不可欠なものといえばチャイルドシート。
しかし、お子さんの体に合っていなかったり、正しく取り付けられていなかったりすると、事故のときに大切な命を守れません。
今回ご紹介するのは、ママだけではなく、パパにも今一度ご確認いただきたいチャイルドシートの基本です。

チャイルドシートの必要性
「ちょっとそこまで」というときも、「いつもゆっくり走っている」という人も、チャイルドシートは絶対に着用させましょう。
幼児が車に乗っているときの交通事故データ(日本自動車工業会)をご説明します。
事故は土曜・日曜に多く、目的は「買い物」が31%です。次いで、「訪問」。休日、買い物してからじいじ、ばあばの家へ行く途中だった、なんてありふれた光景が目に浮かびますね。
また、チャイルドシート非着用の幼児が、死亡・重傷だった事故の車の速度は、時速40km/h以下が50%を占めています。
つまり、チャイルドシートを使用していない場合、“低速で走っていても被害が大きくなる”可能性があり、いかにチャイルドシートが重要であるかがわかります。
チャイルドシートの選び方3つ
(1)交換のタイミングを視野に入れて
チャイルドシートは、乳児用・幼児用・学童用の3種類が基本です。さらに、乳児・幼児兼用タイプや、幼児・学童兼用タイプというものもあります。
どのタイミングで買い替えるかも考えて購入した方が経済的かもしれません。
また、チャイルドシートの着用義務は新生児から6歳未満ですが、それ以降もジュニアシート(学童用)を使用しましょう。
なぜなら、シートベルトを適正に使えるのは身長140cmくらいからとされているからです。
それよりも身長の低いお子さんの場合、事故時に、首や腹部などに重大な傷害を負うことがあります。
(2)安全基準に適合したものを
国土交通省の保安基準に適合したものを使用しましょう。現基準マーク(Eマーク)か、旧基準マーク(自マーク)がついています。
せっかくチャイルドシートを使用していても、安全性の低いものでは意味がありません。
また、保安基準を満たしたものでなければ、法的にはチャイルドシートの着用義務違反ということになります。
(3)マイカーに適合したものを
悩んで悩んで購入したけどさっそく返品! なんて展開だけは避けたいですよね。
購入したチャイルドシートが必ずマイカーに取り付けられるとはかぎりません。
チャイルドシートメーカーが出している適合表を確認したり、お店で実際に確認したりしてから購入しましょう。
知らない人は要チェック! 『ISO‐FIX(アイソフィックス』
「アイソフィックス? 上の子のときには聞いたこともない」という方もいらっしゃると思います。
チャイルドシートは、ママ一人の力では取り付けるのが大変! という方が多いのではないでしょうか。
従来のチャイルドシートは、自動車のシートベルトを使用して座席に固定する方法でした。
そのため、力が必要で、しかも取り付けが複雑であるためミスユース(誤使用)が頻発していました。
現に、警視庁と日本自動車連盟(JAF)の調査によると、54.5%の人がチャイルドシートを正しく取り付けられていませんでした(チャイルドシート使用状況全国調査・2015年)。
そこで、今後、活躍が期待されるのが『ISO‐FIX(共通取付具)』です。
ISO‐FIXは、車の座席に取り付けられているISOバーに、チャイルドシート側のコネクターを接続させるものです。取り付けが簡単で、ミスユースが少ないとされています。
2012年7月以降に発売された乗用車(乗車定員10人未満)にはISO‐FIXが装備されています。この時期以降に自動車を購入された方は、ぜひ、検討したいアイテムですね。
チャイルドシートの取り付け方・使用のポイント
ISO‐FIX対応チャイルドシートではない方はもちろんですが、「うちはISO‐FIX!」という方もベルトの状態や買い替え時期など、気を付けなければならない点がいくつかあります。
まずは、いずれのタイプのものも、後部座席に取り付けましょう。交通事故のとき、エアバッグが開くと非常に危険です。
特に、乳児用(後ろ向き)のものについては、必ず後部座席に取り付けましょう。
そして、取扱説明書に従い、力を加えても動かないように(目安は3cm以内)しっかりと固定しましょう。
乳児用のポイント
>(1)背もたれが45度になっているか(後ろ向きタイプ)
体のつくりが未発達な赤ちゃんを衝撃から守るための黄金角度です。
>(2)腰ベルト
腰ベルトとは、車のシートベルトの腰にかかる部分です。これが、たるまないようにしましょう!
>(3)前向きに変えるタイミング
一度取り付けたらもう安心、というわけにはいきません。体重10kgぐらいになったら、後ろ向きから前向きに変えるのが一般的です。取扱説明書で目安を確かめておきましょう。
幼児用のポイント
>(1)ハーネス(チャイルドシートの子ども用ベルト)
ハーネスがゆるいと、大きな衝撃を受けたときに子どもが飛び出してしまう可能性があります。
目安は、大人の指が入るぐらいです。そして、ハーネスの通し穴が肩より高い位置になるように調節しましょう。
>(2)腰ベルトがゆるんできていないか
腰ベルト(チャイルドシートを固定しているシートベルト)がちゃんと張っていますか? つまめるほどゆるんでいると危険です!
>(3)シェルから頭がはみ出していないか
子どもの成長はとにかく早いですよね。気付いたら、シェル(外回りの固い部分)から頭が大きくはみ出している、なんてことはありませんか。はみ出していれば、学童用のものに替える時期です。
学童用のポイント
学童用チャイルドシートは、座面を上げ、大人用シートベルトを正しく着用できるようにするものです。
前述の通り、大きな衝撃を受けたときに、首や腹部などに損傷を与えないように着用することが大切です。
(1)座席の背もたれを寝かせ過ぎないようにしましょう。
(2)子どもの首に肩ベルトがかからないようにしましょう。
(3)腰ベルトはお腹にかからず、腰の低い位置にかかるようにしましょう。
何も起こらない限り、チャイルドシートのありがたみはなかなか感じられません。
しかし、後悔だけはしなくて済むように、少し面倒でも定期的に取扱説明書を見返しましょう。そして、お子さんの体に合っているかをチェックしましょう。
【参考リンク】
・チャイルドシート安全比較BOOK | 国土交通省、自動車事故対策機構<PDF>
・チャイルドシート使用状況全国調査(2015) | 警視庁/日本自動車連盟(JAF)<PDF>
・はじめてのチャイルドシートクイックガイド | 日本自動車連盟(JAF)
・身長140cmまではジュニアシートを使いましょう! | 日本自動車連盟(JAF)
●ライター/奈都木あや(元教習指導員)
●モデル/杉村智子(まさとくん)