節税対策に有効? タンス預金をするメリットとリスクの回避方法
2017年1月23日 | よみもの節税対策に有効? タンス預金をするメリットとリスクの回避方法

こんにちは、金融コンシェルジュの齋藤惠です。
昔の人はタンス預金でお金を保管していた人も多くいたようですが、近年では銀行に預けるのが主流になっています。
しかし、ここ数年は再びタンス預金をする人が出はじめているようなのです。一体、タンス預金をする人はどんなメリットを感じて自宅にお金を保管しているのでしょうか?

どうして今、タンス預金なのか?
「タンス預金がよい」という意見がネットなどで囁かれ始めたきっかけは、『マイナンバー制度』の導入からです。
『マイナンバー制度』は国民一人ひとりの個人情報に共通の番号をつけることによって、社会保障や税制面の利便性と平等性を高めようという目的で導入されました。
「行政手続きがスムーズに進む」「災害時、個人情報の特定に役立つ」などマイナンバーには利点があります。
しかし一方で近い将来、銀行口座などにもマイナンバー制度が加わることで、国に自分の預金や財産状況が筒抜けになってしまう可能性が出てきてしまいました。これにはプライバシーの観点から否定的な意見も聞かれます。
そして、「国に自分の財産を知られてしまうくらいなら、銀行には預けずに自宅でお金を保管しておこう」という考えの人がタンス預金を選択するようになったのです。
タンス預金のメリットとは?
プライバシーの保護以外にも、タンス預金にはメリットがあると言われています。
それは、相続税・贈与税対策です。個人の財産が詳細に把握できれば、国はより正確な額の税金を徴収することができます。
人によっては申告制の現在よりも多く税金を納めることになる場合も……。その抜け道としてタンス預金を利用しようというわけです。
さすがに自宅の現金まで国は把握できませんからね。
特に多額のお金を次世代に残したいと考える人にとって相続税や贈与税は気になる問題ですから、少しでも税金として国に吸い上げられてしまう額を減らしたいというのが本音でしょう。
しかし、長期的に見てタンス預金が得策かは断定できません。
タンス預金では金利が付きませんし、災害時や盗難時に失ったお金は戻って来ないのです。
財産を守るという観点から、税金のことだけを考えて他のリスクを軽視することは危険であると筆者は考えます。
上手なタンス預金の仕方とは?
しかしながら低金利時代の昨今で、利息のほとんど付かない銀行に預けて、かついずれは税金までかかるというのはちょっぴり損した気分になるものです。
どうしても相続税や贈与税が気になるようでしたら、額や期間を決めて自己責任で自宅に保管するためのルールをあらかじめ設定すれば、効果的な節税対策を行えることがあります。
また、次世代に残すと決めたお金であれば、税制面で優遇される生命保険へ移すという手もあります。
将来に向けてコツコツ貯金をしている人であれば、一定の目標額を決めてタンス預金を行い、貯まった分をまとめて定期などの比較的利率の高い金融商品に預ける方法もいいですね。
いずれにせよ、闇雲なタンス預金ではお金は貯まらず失うリスクが高まってしまうばかりですから、将来を見据えて長期的な視野でお金の保管と使い道を考えてみることが大切です。
【参考リンク】
・マイナンバー社会保障・税番号制度 | 内閣官房
●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)
●モデル/TOYO