費用はどれくらい? 海外出産が選ばれる理由とメリット&デメリット
2017年1月20日 | よみもの費用はどれくらい? 海外出産が選ばれる理由とメリット&デメリット

こんにちは、海外在住プロママライターのさとうあきこです。
芸能ニュースを騒がせる“出産”情報。おめでたいこの手のニュースの中に、最近「海外出産」という言葉が混じるようになりました。
ほとんどのママたちにとって出産は、実家でするかどうか迷うことはあっても、当然日本国内でするもの。
でも、海外出産を選択する人がいる以上、なんらかのメリットがあるのかしら? と想像してしまいますね。
ここでは、海外出産を選んだ人が語るその理由、費用、メリット・デメリットなどをご紹介します。

なぜ海外で産むの?
実は、世界的に見れば海外出産を選ぶことはそれほど珍しくありません。そこには、「国籍取得」という理由が見え隠れしています。
日本人の子どもは日本人。それが当たり前のはずですが、“出生地主義”を取る国で生まれると、血統とは無関係の生まれたその国の国籍を取得できる場合があるのです。
日本在住・日本人ママTさんは、香港人のご主人と相談し、ご主人の親戚が住むカナダで出産。
その理由は、『生まれてくる子どもにより多くの選択肢を与えることができるから』だと語ってくれました。
日本と香港は血統主義、カナダは出生地主義なので、単純に考えれば都合3か国から選択が可能となるわけです。
自国の将来を憂う人や、国際結婚のグローバルな家庭では、同じように考えて越境出産を考慮する人が少なくありません。
海外で出産する費用は?
日本で社会保険等に加入していれば、出産の際にさまざまな給付があるため、実際の出費は最小限で済みます。
海外であっても、一部の物価の安い国や医療費が無料の国などで出産すれば、その費用は低額または無料ですが、日本人が計画的に海外で出産する場合の多くは、相手国に日本と同等の医療水準を求めます。
その結果、費用は国内での通常出産とはけた違いに高額になる場合がほとんどです。
日本から程近く、医療水準もまずまずの香港での出産を例としてご紹介しましょう。
日系一流企業香港駐在員として転居したばかりの妻Rさんは、香港の私立病院で出産し1週間入院。その費用は200万円以上だったそうです。
『もちろん、応接セット付の個室で、毎日ホテルから食事が運ばれてきたのよ』と羨ましい限りです。
一方で同じ香港ですが、公立病院での出産を選ぶこともできます。
香港で3人の男の子を出産したママNさんは、『最初の2人は私立病院で産んだけど、3人目は公立で産んでみた』そうです。
その費用は1万円くらいと激安ですが、『大部屋で周囲のおしゃべりがあんまりうるさかったのと、食事がひどすぎたから2日目の朝には帰ってきちゃった』とのこと。ちなみに、公立病院は3日間の入院がセットになっています。
彼女たちは香港現地に住まいがあり、出産前後の滞在費がかかりませんが、日本から海外へと出産に出向く場合には前後数週間ずつ、合計2か月程度の滞在費用も必要になります。
海外出産のメリットとデメリット
先にご紹介した海外出産をする理由とその費用から、海外出産のメリットとデメリットがうっすらと見えてきました。
Wさんは、1人目を日本で出産した後、日本人の夫の転勤で、2人目をアメリカで、3人目をニュージーランドで出産しました。
結論として、『費用や安心感のバランスでは日本が一番』と語るWさんですが、『海外で出産したことで子どもたちが得た権利も無視できない』そうです。
『上の子は日本国籍だけ、真ん中の子は日本とアメリカ国籍を、下の子は日本とニュージーランド国籍をと、見事にバラバラ』と苦笑するWさんは、さらに国籍の有無で、現地の学校への入学資格が変わってくることにも言及。
『真ん中と下の子は、それぞれ国籍を持つ国の公立小・中・高校や大学に留学ではなく正規入学することができるの』と、海外で安く教育を受けられる可能性というメリットについて語ってくれました。
まとめとして
近年は、経済的に恵まれているごく一部の人の選択肢として、主に「子どもに多国籍を持たせるため」「将来的な教育や移住の可能性」などを踏まえて海外出産を考える例が出てきました。
ただ、出産は2つの命が関わる一大イベントです。
国籍という選択肢がいかに魅力的だったとしても、十分な滞在期間を持ち医療費用を負担できること、精神的な強さがあり現地でのサポートを受けられることなどが絶対条件として満たされたとき、海外出産も一つの出産の形として選択肢に入ってくるのではないでしょうか?
●ライター/さとうあきこ(海外在住プロママライター)
●モデル/藤本順子(風悟くん)