何様のつもり? 子育てママを追いつめる“可哀想婆”エピソード4つ
2017年1月4日 | よみもの何様のつもり? 子育てママを追いつめる“可哀想婆”エピソード4つ

こんにちは、ママライターの木村華子です。
長男が3歳になったころ、私は子どもたちを保育園に預けて近所の花屋でアルバイトをはじめました。
義理の両親からは「保育園なんてかわいそう……」「3歳まではママと一緒にいなきゃ(次男は1歳でした)……かわいそうに……」などという否定的な意見を頂戴したのですが、私にしてみれば本当に大きなお世話。
「放っておいてよ!」というのが正直なところでした。
最近になって、当時の私の感情をぴったり表現したキーワードがあることを知りました。それは“可哀想婆”。
取るに足らないことに対して逐一「かわいそうだ」とママをバッシングしてくる人たちのことを指しているようです。
たとえば……
「服装が寒そうでかわいそう……」
「まだ小さいのに外出なんてかわいそう……」
「完全ミルク育児はかわいそう……」
などの“かわいそう”がありがちなパターン。「私も遭遇した経験がある!」と思われるママも多いのではないでしょうか?
幼児虐待が叫ばれる昨今では、本当にかわいそうなケースもなきにしもあらず……。
しかし、自分のころと育児方法が違うということや、一時の行いやシーンを目撃しただけで全てを「かわいそう」と決めつけてしまう女性(場合によっては、男性も)が確かに存在しているようです。
そこで今回は、“可哀想婆”と遭遇したママたちの体験談と、現役で子育てを行う立場からの反撃意見を紹介いたします。

可哀想婆と遭遇したママによる4つのエピソードと、現役子育て世代からの反撃意見!
(1)義母からのかわいそう攻撃がウザすぎる
『義理の母は“子育ての先輩”として上から目線な関わり方をしてくる上に、すべてに「かわいそう」という言葉を添えて私のことを否定してくる。
「寒そうでかわいそう」と毛布を何枚もかけ、私が母乳をあげれば「出もしないのにかわいそう」、ミルクをあげれば「ミルク育児なんてかわいそう」、赤ちゃんだから泣いて当然なのに「泣いてるかわいそう」。
「ハチミツは1歳まで与えない」と話せば「私のときにはあげていたのに、体に良いものを取り上げられてかわいそう」、おまけに「ひとりっ子でかわいそう」と言い出し、二人目を妊娠した際は性別が同性(上の子も下の子も男の子)だと分かったときに「産み分けが下手なママでかわいそう」と……。新手の嫁いびりだと思っている』(30代/小3のママ)
可哀想婆の出現率が高いのは、なんといっても義実家・実家パターンです。旦那の両親はもちろんのこと、自分の親までもが「かわいそう、かわいそう……」と言い出すことも。
孫が生まれたうれしさと、わが子の子育てに口を挟みたいウズウズと、先輩面をしたい自尊心とが混ざり合った結果なのでしょうか。
「かわいそう」という言葉は、一見思いやりのあるひと言のように感じられますが、同時にかわいそうな状態を作り上げたママの行為を全否定することにもつながります。
そんな人を“いい先輩”だと言えるでしょうか? 「子育ての先輩面したいなら、文句ばかりじゃなく母親に役立つ情報を持ってこいよ!」と言ってしまいそうになります。
(2)頑張ってる息子への言葉が「かわいそう……」
『義実家へお泊まりに行く道中、息子が「ママのカバン、持ってあげるよ!」と言いだした。結構大きなカバンだったけど「持てるかな〜?」なんて言いながら息子へ渡すことに。すると通りすがりのお婆さんから「あらボク、大きなカバンだね〜」と声を掛けられた。誇らしげに「そうでしょ!」と息子が返すと、お婆さんは「かわいそうに……」と私(ママ)を見た。
子どもに荷物を持たせて手ブラで歩く鬼のような母親に見えたのかもしれない。褒めてもらえると思っていた息子は、少しガッカリしていた。パッと見だけでかわいそうとか言ってほしくない。息子が私のために頑張ってくれていた、我ながら素敵なシーンだったのにぶち壊された気分だった』(30代/4歳児のママ)
“子どもが重たい荷物を持っているのに、母親は何も持たず歩いている”という、ほんの1シーンだけでかわいそうと決めつけてくる可哀想婆のエピソードでした。
何でも挑戦したがるお年頃のわが子が、「ママのカバン持ってあげるよ!」と優しいひと言を投げかけてくれた……。
母親としては、子どもの成長や優しさに触れることができる素敵なひとコマですよね。
そんな子どもの挑戦を「かわいそう」のひと言で済ませてしまうお婆さんに憤りを感じます。
くわえて、息子さんにとっても寂しい思い出になるかもしれません。
子どもなりに大人の役に立とうと考えて、「褒めてくれるかな?」と期待した幼い心を思うと悲しくなってしまいます。
子育てのあらゆるシーンは、ママと子どもとのあいだで交わされたさまざまな背景の上に成り立っているのです。
一瞬だけを見かけた他人が「かわいそう」と否定するのは早とちりなのではないでしょうか。
(3)ベビーカーに荷物を置くなんてかわいそう……
『ちょうど娘が歩きはじめたころのこと。それでも長距離は歩けないし、途中で寝てしまうこともあるので、ベビーカーと出かけるのがお決まりだった。
娘が歩きたがるときには、よく大きめのマザーズバッグをベビーカーに置いて歩いていたんだけど、その行為が世間では「かわいそう」だと思われていることを知ったときにショックだった。もう、世の中全体が可哀想婆になってない?』(30代/年少児のママ)
歩きたてでまだ言葉も通じないお年頃は、「歩きたい!」「眠たい!」「だっこして!」という具合に要求がクルクル変わります。
育児を経験すればわかりますが、子どもがずっとベビーカーに座りっぱなし……なんてことはほぼあり得ないですよね。
ベビーカーの扱いについて、昨今さまざまな意見が取り交わされています。
“ベビーカーに荷物を置いて子どもを歩かせている母親”という光景がバッシングの対象になっていることも珍しくありません。
「世間全体が可哀想婆になってる」と感じさせるほどママを追い詰める意見だといっても過言ではないでしょう。
(4)ハーネス(迷子ひも)はかわいそう……
『ハーネス=かわいそうという認識が広がりすぎてる。うちの子は常に落ち着きがなく、小さいころなんてほんの数秒も目を離しておけないほど危なっかしかった。だからハーネスの存在を知ったときは「これだ!」と思い即購入したんだけど……。その後「犬扱いしてる」とか「子どもを人だと思ってなさそう」といったイメージを周囲に感じさせるアイテムだと知り、使いずらくなってタンスの肥やしに。
ハーネスをつけているあいだじゅう、周囲の大人全員が可哀想婆に感じられていたたまれなかった。結局、四六時中息子から目を離さず半ばノイローゼ気味になりながら育児を続行することに。ハーネスを心置きなく使える時代に生まれたかった』(40代/小2のママ)
上記のベビーカー同様、ハーネスは可哀想婆のターゲットになりやすいアイテムです。
犬扱いだとか、人間だと思っていないといった意見は耳にタコができるほど見聞きしてきましたが、現役で育児を行う立場にしてみれば「人間だと思ってないワケがないだろう!」というのが正直なところ。
虐待だとか、思うように動けないからかわいそうという意見に対しても、「思うように動かしてあげたいからこそのアイテムなのに!」と感じてしまいます。
世間からの可哀想婆的目線がネックになり、ハーネスの使用に踏み出せないママも少なくはないはず。
ハーネスはママのためではなく、子どもの安全のために存在しているアイテムだということが一刻も早く周知されることを祈らずにはいられません。
あなたも可哀想婆になっているかも!?
もちろん、母親が完璧な存在であるわけではありません。初めての子育てでは不安を抱きながら、四苦八苦しつつ育児に奮闘するママがほとんどでしょう。
そんなママたちにとって、育児の先輩である先人たちの知恵や、第三者から見た客観的な声がためになることも多々あるはずです。
しかしその意見にたったひと言「かわいそう」が付け加わっただけで、アドバイスはバッシングへと姿を変えてしまいます。
今回の取材では、特定の人物だけでなく“世間全体が”可哀想婆だと感じたママの声もありました。
この記事をご覧になっている読者の中にも、知らず知らずのうちに可哀想婆になっている方がいらっしゃるのかもしれませんね。
世の中に蔓延する可哀想婆の存在が、ママたちを追い詰めている事実を知ってください。
ママや子どもたちを思っての意見を発言・発信するのであれば、ぜひ「かわいそう」のひと言で突き放さず、思いやりのある言葉選びを考慮してほしいものです。
●ライター/木村華子(ママライター)