明日はわが身カモ? “相対的貧困”の実態と陥りやすい人の特徴4つ
2016年12月14日 | よみもの明日はわが身カモ? “相対的貧困”の実態と陥りやすい人の特徴4つ

こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。
近年、日本の貧困事情に関するテレビ番組や雑誌の特集などを多く目にします。今回は、その中でも『相対的貧困』という言葉に焦点を当ててみました。
この相対的貧困という立ち位置は、“気をつけなければ明日はわが身”という状況が襲ってきやすい、危うい場所ではないかと考えます。
現実問題として相対的貧困の実態を知っていただきたいです。
陥りやすい人の特徴などを知っていただけたら、万が一のときに対策をすばやく取ることができると思います。
また、身近な人が同じような状態だったら、助け船のように手を差し伸べることができるかもしれません。

相対的貧困の実態
相対的貧困は、住んでいる地域などで「普通」とされる生活(衣食住がしっかりしている)を送ることができない状態を指します。
ただ、自分が貧困であるかどうかは、その人が生活している圏内の状態や背景などによって判断することが必要です。
同じ金額の給料をもらっていても、生活している地域や背景などを見ないと実態は見えてこないと思います。
例えば、手取り18万円でも十分に生活していける世帯と、毎日の食事にも事欠いてしまうような世帯があると言えばわかりやすいかもしれません。
地方に住んでいれば家賃が安いですし、食事にかかる金額も都会とは違ってくるなどが挙げられます。
相対的貧困の実態として挙げられるのは、下記のようなものです。
・相対的貧困の家庭ほど、即席めんやファーストフードをよく消費する(栄養バランスが悪い)
・家庭が安らげる場所ではないことが多い(親がよく家を空ける・ケンカが絶えないなど)
・子どもにお金をかけることをしない(衣服や病院など)
・ネグレストが起こりやすい
・何らかの依存症になる(なっている)こともある(ギャンブル・飲酒・恋愛など)
・子どもが親の目を自分に向けるために万引きなどの悪いことに手を出しやすい
・ラクしてお金を手に入れたいなど逃げの考えをしてしまう
など、こういう状況の中で一番の被害を受けるのが子どもです。
親がネグレストであることに気がつかない場合も多く、子どもも親の手前、「お腹空いた」「学級費の封筒を持ってきている」などが言えなくなってしまうといった状態もあるようです。
陥りやすい人の特徴
相対的貧困に陥ってしまう場合、離婚やリストラといった生活背景が関わってきます。
しかし、そこからどう行動するか、どう考えるかによって、貧困に陥るか否かも変わってくるわけです。
それでは、相対的貧困に陥りやすい人の特徴をみていきましょう。
(1)メンタル面で不安定な状況にある
離婚やリストラなど生活背景が不安定になると、メンタル面が不安定になり、ネガティブな思考に偏ってしまうなどの状況が起こりやすいです。
(2)無駄遣いが多い
ストレスや将来への不安が強く、現実から目をそらすために無駄遣いに走ってしまうなど、寂しさによる心の隙間を埋めようと浪費してしまう人が多いようです。
(3)自分の欲求を最優先にしてしまう
ギャンブルや離婚後の恋愛など、自分の欲求を最優先にしてしまうため、生活に必要な金銭の面を考えなくなる傾向が強いようです。
(4)金銭的な感覚が鈍っている
お金に困ったら借りればいい、支払いできないと言えばいいなど、収入と支出をしっかり見ることができない傾向にあります。
陥らないための対策
相対的貧困になってしまったら、自分だけでなく一緒にいる家族が困ります。特に子どもがいる場合は、一番の被害者となってしまうことを忘れないでおきましょう。
相対的貧困に陥らないためには、次のようなことに気をつける必要があります。
・精神的に不安定さや不安を抱えたら、信頼できる人に相談をする(医師やカウンセラー、役所の保健師など)
・金銭的な面での不安はかなり大きいので、住んでいる市区町村の金銭面の免除や受け取れるお金などの情報を集めて申請する
・「子どもがいるのだから」と子どもを一番に考えるようにする(自分の欲求はその後で)
・現段階の収入と支出を見直す
・できるだけ自炊するようにして、ファーストフードなどの外食を控える
・フードドライブなど食品を提供しているところを活用する(市区町村や生協などさまざまなところで行われているので、食の面で助けになる)
こういった方法を取るだけでもかなり違ってきます。役所に書類を提出するだけで免除になるものや、制度によってはお金を受け取れるものがあります。
生活をしやすくするための制度なのですから、しっかり活用しましょう。
おわりに
親が相対的貧困の状態でいることで、一番被害を受けるのは子どもたちだということを理解してほしいという思いでいっぱいです。
衣食住が毎日保障され、安心して家に帰ってくることができる、そういう状態を作り上げることが発達段階の子どもには本当に必要だからです。
「貧困だから仕方がない」と諦めてしまう前に、市区町村でできる手続きをし、仕事を見つけて子どもとの生活を守ることを一番に考えて欲しいと思います。
【参考文献】
・『子どもの貧困ー日本の不公平を考える』阿部彩・著
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)
●モデル/神山みき(れんくん)