身体ナビゲーションVol.102「不眠症の原因別種類と対処法」
2016年8月25日 | よみもの身体ナビゲーションVol.102「不眠症の原因別種類と対処法」

こんにちは。健康管理士のSAYURIです。
2016年夏は暑さに加え時差のあるリオでのオリンピックの開催が重なり、睡眠不足の人も多いかと思います。
暑さやイレギュラーなイベントによる睡眠不足は体調を崩す原因ともなりますが、さらに注意したいのは、それが発端となり短期あるいは長期不眠になることです。
今回は不眠症のさまざまな原因とその対処法についてご紹介したいと思います。

増加傾向にある生理学的不眠
『生理学的不眠』とは、寝室の温度や騒音、照明や寝具などが不適切であったり、カフェインなどの睡眠を妨げる嗜好品の取り過ぎであったり、運動不足や不規則な生活など環境条件や体の準備が備わっていないために起こる不眠を指します。
近年、よく聞かれるのは電気をつけたままソファーやベッドにてスマートフォンやタブレットを操作しながら寝てしまう「寝落ち」と呼ばれる行為。
これら端末のディスプレイの光は脳を刺激し睡眠の質を下げてしまいます。
そのため、眠ったつもりでもだるさが残ったり頭がすっきりしなかったりして、目覚めの気分が悪いなどの症状が出やすいだけでなく、徐々に眠れないという自覚を持つ『不眠症』へとつながっていきます。
少なくとも就寝1時間前には目覚ましアラームのセットなどを済ませ、その後は端末のディスプレイを見ないことが最も大切です。
社会問題となりつつある心理学的不眠
『心理学的不眠』は、心配や不安、緊張、恐怖、興奮、悲しみや喜びなどの感情によって起こる不眠症です。
ストレスとは心配事や不安、悩みだけでなく大きな喜びも体にとっては一種のストレスとなります。
このようにストレスによって生じた不眠症はその心因が過ぎ去っても“眠れない”という症状だけが残ってしまうことも多く、その場合、就寝時間が近づくと眠れないことへの不安や緊張が高まってしまい、ますます眠れなくなるという悪循環に陥ることがあります。
ベッドに入り30分以上入眠できない場合は、無理やり眠ろうと目を閉じていると、日中の仕事などで疲れた体や脳ではネガティブなことを考えがちになってしまいます。
そこで、思い切って起き上がり集中して読めるお気に入りの本や塗り絵、チェスなどに意識を集中させてしばらくやってみるのもひとつの方法です。
何かに集中すると脳からはα波が出始めます。α波はリラックスした状態を示すものでもあるので、眠りに入りやすくなるのです。
ここで注意すべきは、集中作業のためにパソコンやスマートフォンなどを使用しないことです。
その他の原因による不眠症
生理学的不眠、心理学的不眠の他にも、糖尿病や世閏、かゆみや頻尿など身体的原因から起こる『身体的不眠症』や、うつ病、統合失調症などから起こる『精神神経学的不眠症』があります。
中でもうつ病では約90%の人に不眠症が見られます。またステロイド剤や降圧剤、抗炎症剤などの副作用による『薬理学的不眠症』というものもあります。
このように不眠の原因はいくつかのタイプがあり、環境や感情、体調や薬など実にさまざまなものに影響を受けます。
しかしこの状態が一過性に留まらず、長期化した場合などは日常生活に支障をきたしてしまうので、まずはなぜ眠れないのかの原因を考え、睡眠環境や生活習慣の見直しから始めることが大切です。
【参考文献】
・総務省認証予防医学学術刊行物『ほすぴ』成人病予防対策研究会発行
【関連コラム】
・「身体ナビゲーション」シリーズ一覧
●ライター/SAYURI(心理食育インストラクター)