身体ナビゲーションVol.99「いびきの原因と対処法」
2016年7月7日 | よみもの身体ナビゲーションVol.99「いびきの原因と対処法」

こんにちは。健康管理士のSAYURIです。
睡眠のメカニズムや年齢による変化などをこれまでお伝えしてきました。
今回のテーマはいびき。かつてはいびきをかいて寝ている人はよく眠っていると思われていましたが、実は睡眠が浅くなったり、日中の眠気の原因になったりしています。
今回はそのいびきについて、詳しく見ていきたいと思います。

いびきのメカニズムとカラダへの影響
何らかの原因によって、空気の通り道である上気道が極端に狭くなり、呼吸をするたびに空気抵抗が起こることで周囲の粘膜を震わせて、音が出るのがいびきです。
いびきは周囲に迷惑をかけることがありますが、質の良い睡眠を妨げ健康を害するということも分かっています。
また、いびきによって一時的に呼吸が止まる『睡眠時無呼吸症候群』への関心も高まっています。
睡眠時に無呼吸状態になると肺に送り込まれる空気の量が少なくなるため、酸素の摂取量も減少し、血液中の酸素量も減少してしまいます。
そのため呼吸器系や心臓など循環器系に影響を与え、さらに脳への酸素供給量も不足するため、物忘れをしやすくなるといわれています。
また、いびきをかくのに体力を使っているため眠りが浅く、朝の起床時に疲れが残る、日中の眠気、集中力や記憶力の低下などが引き起こされると考えられています。
いびきの原因
(1)肥満
体重が増えることに伴い、あごの周囲、首の周り、上気道の内側にも脂肪がつき、気道が上下左右から圧迫され狭くなってしまうため、いびきの発生につながります。
そして狭くなった気道でたくさんの酸素を取り入れようと大きく呼吸をするために、より大きないびきをかきやすいと言われています。
(2)アルコール
体内にアルコールが入ると、舌や咽頭の筋肉の緊張がなくなり、気道がせまくなっていびきの発生につながります。
(3)薬物
筋弛緩薬、睡眠薬、精神安定剤などは筋の緊張を緩和させる作用があるため、舌や咽頭の筋肉の緊張がなくなり、気道がせまくなっていびきの発生につながります。
(4)老化
加齢とともに足や腰など他の部分の筋肉が緩むように、気道の周囲の筋肉も緩むため、寝たときに気道が塞がれやすくなります。
(5)骨格
顎関節の幅が狭い、下あごが小さい、いわゆる小顔の人やあごが後退している人は舌を支えているスペースが小さいため、仰向けに寝たとき、舌の根元の舌根部がのどの方に落ち込み、気道を塞ぎやすくなってしまいます。
その他の原因と対策法
これらの原因の他にも、鼻やのどの異常、扁桃腺の肥大、口呼吸などもいびきの原因として考えられます。
しかし、肥満やアルコールは生活習慣の改善で解決できることですし、顎関節間の幅が狭いのも、実は子どものときによく噛む癖をつけることで、顎が発達しいびきをかかない骨格を作ることができます。
よく噛むことは表情筋を鍛えることにもつながるので、口呼吸の予防にもなります。
また、仰向けで寝ると重力で舌がのどに落ち込み、上気道を塞ぎやすいので横向きに寝るのも1つの予防法になるでしょう。
【参考文献】
・総務省認証予防医学学術刊行物『ほすぴ』成人病予防対策研究会発行
【関連コラム】
・「身体ナビゲーション」シリーズ一覧
●ライター/SAYURI(心理食育インストラクター)