一卵性と二卵性の違いは? 双子の妊娠・出産に関する基礎知識まとめ
2016年7月6日 | よみもの一卵性と二卵性の違いは? 双子の妊娠・出産に関する基礎知識まとめ

双子の妊娠に関して、自分が経験しない限りわからないことって多いですよね。
今回は、そんな意外と知らないことの多い“双胎妊娠”について、一からすべてご紹介していきたいと思います!
双子が生まれる確率は100人に1人
普段はあまり見かけない双子ですが、日本における双子の出生率は100人に1人と言われています。
ちなみに、世界で最も双子を妊娠する確率が高い地域はアフリカで、日本が含まれるアジアは最も確率が低いと言われています。
一卵性と二卵性で双子が誕生する理由は違う
双子って神秘的なイメージがありますよね。本来一人で生まれてくるはずが、もう一人を伴って生まれてくる……。なんだか運命的なものを感じますね。
そもそも、双子が生まれる原因ってなんなのでしょうか?
一卵性双生児の場合
基本的には一卵性も二卵性も、その誕生の原因は明確にはされていません。しかし、いくつかの仮説があります。
一卵性双生児が生まれる場合は、妊婦が若かったり高齢だったりと、妊娠するタイミングによって変化します。
また、女性ホルモンが乱れていたり、卵子が退化しているタイミングで受精すると、一卵性双生児になりやすいともされているので注意してください。
一卵性双生児の妊娠は遺伝するという仮説もあります。
二卵性双生児の場合
二卵性双生児は、卵子が多く排出されることが原因になると言われています。
不妊治療では排卵誘発剤がよく使用されるため、その影響で多くの卵子が排出されて他の卵子と同時に受精してしまうのでしょう。
また、一般的に二卵性双生児は母親の血統に由来するとされており、母親側の血縁に二卵性の双子がいると確率が高くなると言われています。
なお、二卵性の双子は母親の卵子の数が関係していることから、父親側の血縁は関係ないようです。
一卵性と二卵性の双子
双子には、大きく分けると一卵性双胎と二卵性双胎の2種類があります。
一卵性双生児
1つの卵子に1つの精子が受精し、その受精卵が2つに分かれてできるのが一卵性双生児。
1つの受精卵が2つに分かれただけなので、当然ながら血液型・DNA・性別がすべて同一で、そっくり度合いも高めです。
また、一卵性双生児に関しては、一卵性双生児間で移植を実施したことなどがよくニュースになっていたりもしますよね。一卵性双生児間の移植は拒絶反応のリスクが少ないようです。
また、一卵性双生児は双生児となるまでの過程によって3種類に分類されます。
準一卵性双生児
1つの卵子に2つ以上の精子が受精し、過受精となった受精卵が分裂することによって誕生した双生児を、準一卵性双生児と言います。
これは非常に珍しく、公式な発表がされたのは2007年になってからのこと。
この過受精の受精卵は1%ほどの確率で発生すると言われていますが、異なる遺伝子情報が混在したキメラとして出生するもので、実際に出生にいたり生存が確認されているのは一例のみです。
半一卵性双生児
受精前に分裂した卵子に、それぞれ精子が受精することで双子として誕生することを、半一卵性双生児と言います。
これは理論上で存在が指摘されていますが、検証が困難で存在もまれであるため確認されたことはありません。
「二精子一卵性双生児」や「卵母細胞性双生児」と呼ばれることもあります。
異性双生児として産まれる可能性は二卵性のときと同じで、DNA共有率は各々75%となります。
異性一卵性双生児
一卵性双生児は基本的に同性で誕生しますが、性染色体が分裂する際に異なる組み合わせとなり異性の双子として産まれる場合を、異性一卵性双生児と言います。
一卵性双生児に関する研究
ちなみに近年では、遺伝子の研究も進んでおり、一卵性双生児のように、遺伝的な要素が同じであっても、環境による影響を20%受けているという研究結果(性格など)と、遺伝の影響を引き続き大きく受ける研究結果も出ています。
例えば、数学などの学力にどのような影響が出ているのかの研究も行われています。
一方で統合失調症や糖尿病(1型糖尿病・2型糖尿病)などは、遺伝の影響を受けている可能性が高いという研究結果が出ているようです。
二卵性双生児
1つの卵子に1つの精子が受精したものが2つ。つまりは受精卵が2つ、着床したもの。2つの受精卵なので、DNAは当然異なりますし、血液型も性別も異なる場合があります。
男女の双子ならばそれは、間違いなく二卵性の双子ということになります。「そっくり度合は兄弟・姉妹と同じくらい」という考え方がわかりやすいでしょうか。
一卵性、二卵性いずれの場合も、「私たち、僕たちは、別々の人間である」という気持ちが強く、同一視されることへ強い反発心を抱くことが多いそうです。
そのため、一卵性の双子を育てている私も、それぞれの個性を大切にしつつ、一人ひとりと向き合うように気をつけなくてはいけないなと感じています。
ちなみに、遺伝の影響を受けるのは二卵性であるといわれています。
混血の双生児
両親が混血だった場合、産まれてくる二卵性双生児がそれぞれ別の人種の特徴を持って産まれることがあります。
ただ、双子がそれぞれ異なる人種の特徴を持って産まれることはまれであり、100万分の1程度と言われています。
一卵性双生児と二卵性双生児に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
赤ちゃんを包む膜の数で変化する双子の“膜性”の3つの種類
双胎妊娠には、一卵性・二卵性というだけではなく、“膜性”と呼ばれるものがあります。
お腹の中の赤ちゃんは、子宮の内側にある『絨毛膜』と呼ばれる膜と、その内側にある『羊膜』と呼ばれる2つの膜によって包まれており、この膜の数によって双子の種類がさらに分けられます。
膜性によって母体にかかるリスクも変わってくるため、それに応じた処置が必要になります。
(1)一絨毛膜一羊膜(MMツイン)
【胎盤×1、羊膜×1】
妊娠中の母体管理が難しく、双胎妊娠全体のおよそ1%以下というごく稀なケースです。
胎盤共有のため、成長に偏りが見られることがあり、さらに羊膜がひとつしかないことで、赤ちゃん同士を隔てる壁もなく、ぶつかったりへその緒がからまったりすることがあります。
受精後13日以降に受精卵が分離した場合にこの状態が見られ、単胎妊娠と比べ100倍のリスクがあると言われています。
(2)一絨毛膜二羊膜(MDツイン)
【胎盤×1、羊膜×2】
受精後4〜8日で着床した場合にこのタイプになり、一卵性の中の6〜7割を占めます。
内側の羊膜は別々なので胎児同士が直接触れ合うことはありませんが、外側の絨毛膜はひとつで共有しているため、血流が滞ることで一方の赤ちゃんに栄養や酸素の供給が不足し、成長に偏りがでることがあるなどリスクのあるタイプです。
単胎妊娠の10倍のリスクと言われているため、しっかりと経過管理する必要があります。
(3)二絨毛膜二羊膜(DDツイン)
【胎盤×2、羊膜×2】
二卵性の場合は受精卵が2つあるため、二絨毛膜二羊膜になるのが基本。
赤ちゃんは完全にわかれた部屋を持ち、それぞれ一人ずつ入ることになります。
胎盤も一人にひとつずつあるため、胎盤から贈られてくる栄養分が偏ったり、お互いのへその緒が絡まってしまうこともないため、最もリスクの低い状態と言えます。
ごくまれに胎盤がひとつになってしまうケースもありますが、これは2つあった胎盤がくっつしてしまう癒着胎盤が起こるため。
ただし、内部の血管はそれぞれの赤ちゃんに酸素などを送るようにわかれているため、栄養が偏るなどのことはありません。
リスクの高い順に書いてみましたが、このような膜性は、妊娠初期(ごく初期)に“膜性診断”を受けることでわかります。
また、双胎妊娠のごく初期に一人流産(死産)してしまう“バニシングツイン”とよばれる現象も珍しくなく、周産期においての死亡率は単胎の5倍におよぶことも。
特に、リスクの高いMMツインとMDツインは、胎盤を共有するからこそのトラブルが起こります。
そのため、妊娠中から厳重な管理が求められることが多く、双胎間輸血症候群(TTTS)という、胎盤の血管の一部が吻合してしまうために生じるトラブルに注意が必要で、健診の頻度も増えるでしょう。
このように、妊娠したその瞬間から周産期までの長期にわたって、単胎妊娠よりもさまざまなトラブルが起こりうるのが双胎妊娠。
そしてもっと細かく言えば、結合双生児や無心体などなど、書ききれないほどたくさんの双子の形があります。
双子を妊娠することも、二人とも無事出産できるということも、決して当たり前のことではないのです。
双子って作り方・産み分け方法はあるの?
産み分けというと性別で語られますが、一部では双子の産み分けもできるという説があります。
双子を産むためには、排卵誘発剤を使用することが有効とされています。
不妊治療では排卵の数をコントロールできるため、一応科学的根拠があると言っていいかもしれません。しかし、病院は双子を妊娠させるためだけに排卵誘発剤を使うことはありません。
あくまでも副次的な結果として、不妊治療で双子の妊娠率が上がるのだということを覚えておくようにしましょう。
なお、双子が産まれる割合は出産時の母親の年齢にも左右され、20歳未満の母親が双子を産む確率が0.63%程度であるのに対し、母親の年齢が35〜39歳の場合、およそ2割の確率で双子が産まれるとも言われています。
これは、30歳を超えることで生命を多く残そうとする潜在的なものが関係しているのかもしれません。
この他、IGF(インスリン成長因子)という成長ホルモンの量が双子を妊娠するのに関係があるとされており、これは背の高さを左右する要因であるため、背の高い女性は双子を産みやすいのです。
双子の産み分けに関しては以下の記事をご覧ください。
普通の妊娠と双子妊娠の違い
ママからの栄養配分やお腹の中のスペースなどが普通とは違うので、なにかしら違いが出てきそうな気もしますが、実際のところはどうなのでしょうか。
多胎妊娠と単胎妊娠の違いとして分かりやすいのは、お腹の大きさや体重増加などです。その他にも胎動が通常の妊娠と違ったなどの声もあります。
お腹の大きさに関しては、お腹に二人入っていると、物理的に通常の妊娠よりも大きくなるようで張りも出やすくなりますよね。また、お腹が大きいために妊娠線ができるリスクも高まります。
一方、医学的な観点から考えるリスクは、早産の確率が普通と比べて高くなること。
お腹の中で双子が成長すると子宮が満杯状態になり、物理的に押し出されます。また、妊娠高血圧症候群などの妊娠中毒症の発症率は6倍以上になるとも言われています。
そういった多胎妊娠のリスクの高さから、検診も通常の妊娠に比べて多くなります。
双子の妊娠はハイリスク妊娠や異常妊娠のカテゴリーに入るため、小さな病院などでは対応できないことが少なくありません。
そのため、国立や県立、大学病院などの設備がしっかりしている病院を選ぶ必要があります。
また、母体側に現れる症状として、貧血が挙げられます。これは赤ちゃん2人分の栄養を作り送る必要があるため。
逆に通常の妊娠と変わらないものとして、妊娠期間やつわりの重さなどが挙げられます。
双子妊娠中の体重増加の詳細に関しては以下の記事をご覧ください。
双子妊娠がわかる時期
一卵性双生児、二卵性双生児に関わらず、双子妊娠がわかる時期は個人差があります。
しかし、一般的に、エコー検査では妊娠5週で胎嚢、妊娠6週~7週で心拍が確認できるようになると言われています。
一卵性双生児の場合は、ひとつの胎嚢に2人の胎児が入っています。
そして、6~7週ころに2人分の心拍を確認して初めて双子であることが判明するようになっています。
普通の出産と双子出産の違い
双子の出産では、基本的に単胎妊娠と同じように経膣分娩で行われます。
しかし、子宮に近い子が逆子だったり、ママが妊娠中毒症などにかかっていたりする場合は帝王切開に切り替えられることもあります。
また、双子妊娠の場合は必ず帝王切開を選択する病院もあるようなので、チェックしてみてください。
双子の妊娠の場合、出産まで“管理入院”を強制されることもあり、これは双子が通常の妊娠に比べて早産の危険性が高いことが挙げられます。とくにお腹の張りが強いときは要安静状態がとられ、トイレやお風呂も禁止。
出産時には数分程度の時間差で生まれることの多い双子ですが、まれに数時間から数日差で生まれることもあり、誕生日や誕生年が異なることもあります。
双子妊娠のリスクを確かめる膜性診断
双子を妊娠すると、ママの喜びも2倍になることでしょう。しかし、双子の妊娠にはリスクがつきものです。
膜性診断を利用して、そのリスクを確かめましょう。
膜性診断は、胎盤の数や赤ちゃんが別々に育っているのか、一緒の部屋で育っているのかを確かめるものです。
たとえば、胎盤が1つしかない場合、ママからの栄養を二人で分けることになりますよね。
その際、どうしてもどちらかの胎児に栄養の偏りがでてしまう恐れがあるのです。
このように、お腹の中の膜性を見ることで、起こりうるリスクを予測することができます。
ちなみにこの診断が受けられるのは妊娠3か月ごろまでとされているので、必ず期間内に受診するようにしましょう。
双子を出産するまでに準備したいアイテム
双子の子育ては、やはり通常の子育てとは状況が違ってきます。そのため、用意すべきアイテムが異なりますよね。
例えば、双子ママが一番役立つと実感する物は、“双子用ベビーカー”です。また、双子用のだっこヒモもオススメ。
他に準備しておきたいものとしては、ミルクが挙げられます。
通常の育児と違って、双子の場合は必要とする母乳の量も2倍になります。
そのため、母乳育児を目指す人でも、二人分の母乳がでないときに備えて、ミルクを用意しておくようにしましょう。あとは、オムツも大量に買いだめしておくようにしましょう。
普通の乳児は一日に10個のオムツが必要になると言われています。双子だと20個。
とんでもない勢いで消費されていくので、オムツのストックは大切です。
双子の妊娠中に必要なアイテムに関する詳細は以下の記事をご覧ください。
帝王切開の場合は、医者の判断で決まる!?
現在では早く産まれた方が兄・姉となりますが、帝王切開の場合はどうなるのでしょうか。
お腹を開いて、人の手で双子の赤ちゃんを取り出すとき、基本的には子宮に近い方を先に取り上げることが多いようです。
しかし、赤ちゃんや母体の状態によって命の危険がある場合は、取り出しやすい方から取り出すこともあります。
双子を妊娠したい女性ができること
(1)乳製品を摂取する
牛乳やチーズなどの乳製品を多く摂取している人のほうが、全く乳製品を食べていない人よりも双子の妊娠確率が上がると言われています。
アメリカでは牛乳を普段から飲んでいる人は、そうでない人よりも双子の妊娠確率が5倍近く高かったそうです。
(2)タロイモや山芋を食べる
医学的根拠はなく、民間療法として親しまれてきた方法。
アフリカ系の人々が双子を妊娠しやすい傾向にあることは有名で、彼らはこのタロイモをよく食べていると言われています。
そのため、“タロイモを食べる=双子妊娠の確率が上がる”という定説が出来上がったのかもしれません。
日本ではあまりタロイモを食べる機会がありませんが、山芋でも効果があると言われています。
とはいえ、妊娠率の研究データがあるわけではないため、栄養補給程度に考えたほうがいいでしょう。
(3)葉酸を多く摂取する
葉酸を摂取することは双子のみならず、妊娠する過程において大切なことですが双子妊娠の場合でも同じです。
葉酸は胎児の染色体異常のリスクを軽減させると言われており、食事に加えて妊活時期からの摂取を厚生労働省も推奨しています。
双子の妊娠の確率UPに関する詳細は以下の記事をご覧ください。
双子ならではの現象3つ
(1)バニシング・ツイン
バニシングとは、“消失”を意味します。ツインは“双子”。つまり、“双子が消失する”ということです。
正確には双子の片方が早期流産を起こし、残りの子どもだけが健全に育つという現象です。
この現象の不思議なところは、流産してしまった子どもの遺体の行方にあります。
亡くなった子の体は、なんと母体に吸収されて消滅してしまうのです。人類の神秘としか言いようがありません。
ちなみに、このバニシング・ツインが起きる可能性は10〜15%。10人に1人以上が経験すると考えると、結構高い確率なのではないでしょうか。
母親からしたら一人の子を失うわけですから怖い現象ですね。バニシング・ツインが起こる原因は不明とされており、予防法もありません。
(2)ミラー・ツイン
こちらも双子ならではの現象で、“ミラー現象”とも呼ばれます。
生まれてきた双子が、利き手やつむじの向きなどの身体的特徴が鏡に映したように逆であることから名付けられました。
まれなケースでは、全臓器反転症という症状も確認されており、臓器の位置がすべて左右逆になってしまうこともあるようです。
ちなみに、この全臓器反転症は生活する上でとくに害はないと言われ、普通に生きられるとのこと。
しかし、臓器の位置が反転していることを知らない医師の誤診や手術ミスにより、命の危険にさらされるケースも。
また、上のような身体的な特徴だけでなく、生活リズムや人格、趣味なども反転することがあるようです。
ミラー・ツインは一卵性の双子によく見られ、現象が起きる確率は25%と言われています。
一卵性双生児の4人に1人がなるということなので、とても高い確率であると言えるでしょう。
なお、この現象も原因は解明されていません。
(3)キメラ
二卵性双生児として生まれるはずだった2つの受精卵が合わさり、1つの受精卵となることがあります。
この場合、多くは成長することができず生まれることはありませんが、まれに1つの個体の中に2つの遺伝子情報をもって生まれることがあり、これをキメラと言います。
また、バニシング・ツインで消失するはずだった胚が残った胚とひとつになりキメラとして生まれることもあり、異性双生児として生まれようとしていた場合には、半陰陽や雌雄同体として生まれる可能性があると言われています。
(4)結合双生児
一卵性双生児の場合、まれに体が結合した状態で産まれる場合があります。
これは卵子の分裂が完全でない状態で成長してしまうことが原因で、このように産まれた双子のことを結合双生児(あるいはシャム双生児)と呼びます。
双子特有の問題5つ
(1)同時泣き問題
双子のママをとにかく悩ませるのが、この“同時泣き”。
一人で泣いているときは、その子にかかりきりになりますが、双子は連鎖反応を起こして二人同時に泣くこともしばしば。
そうなると、ママ一人では対処が難しくなります。また、夜泣きも二人同時や交互に泣くことも多いため、慢性的な睡眠不足に襲われます。
そういった状況のときに、パパが協力的でないとママは育児ノイローゼに陥り、「自分はダメな母親だ」などの罪悪感にさいなまれることも少なくないでしょう。
(2)外出先での安全管理が難しい
双子を連れて外出する際に、ママが苦労するのが、“双子がバラバラに行動”すること。
たとえば、横断歩道などで危ないからと一人を捕まえていても、もう一人が道路に突っ込んでしまうといった可能性があるため、外出時には常に気を張っているママも少なくありません。
また、安全面だけでなく体力的にもキツいことが多く、公園に着いた瞬間に双子がそれぞれ逆方向に走り出すことも。
その光景はかわいいですが、追いかけるママからすればしんどいですよね。
(3)双子を比べてしまう
これも双子特有の悩みですが、双子間で成長スピードに差があると、どうしても比べてしまいがち。
二卵性双生児は発達スピードがバラバラになることもありますが、「お兄ちゃんはできてるのに……」「もしかして発達障害?」と不安になってしまう人は多いようです。
(4)胎児不均衡発育
多くの双子は体重差がほとんどない状態で生まれてきますが、2割ほどが15〜25%の体重差、25%以上の体重差がある場合が5%ほどあります。
この場合、成長度合いが不均衡であっても出産は同時に行うことがほとんどであるため、いつ出産するのかという時期の設定が難しくなることになります。
ただ双子の育児にはメリットもあるそうです。双子育児に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
双子を育てている人の体験談4つ
(1)お互いの気持ちを理解している!?
『双子って本当に不思議です。お腹にいたころから一緒だったからか、お互いの気持ちをものすごく理解しているんです。たとえば、片一方が理由もなくギャン泣きしていて困っているとき、もう片方が「○○は今こんな気持ちだから泣いているんだよ」と状況を説明してくれます。何度もこれで助けられました(笑)』(4歳の双子の39歳ママ)
(2)エコー検診で手をつないでた
『おそらく偶然だとは思うのですが、検診でエコーを見たとき、二人が手をつないでいてとても感動しました。まるでお互いの存在を確かめ合っているかのようで、とても神秘的なものを感じました。まぁ産まれてからはケンカばかりですが』(3歳の双子を持つ41歳ママ)
(3)遠く離れていても相手のことが分かる!?
『子育ての中で、おそらく双子ならではの体験をしました。あるとき、息子が泣き出して「お姉ちゃんがかわいそう」と言いだしました。そのとき、お姉ちゃんはお父さんと買い物に行っていたのですが、後から聞いたらお姉ちゃんはお父さんとはぐれて迷子になっていたそう。おそらく息子は、遠く離れていながらもお姉ちゃんの感情を読み取ることができたんだと思います』(5歳の双子を持つ39歳ママ)
(4)自分も双子になりたくなる
『双子が産まれたばかりのころは育児がとても大変でした。二人同時に泣いても一人ずつしか相手できないし、外に出かけても二人を同時に見張っておくことはできません。本当、なんど自分も双子になれたらと願ったことか(笑)』(2歳の双子を持つ43歳ママ)
双子育児の体験談に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
双子のママが知っておきたい支援制度3つ
子育てには苦労がつきものですが、とくに双子のママには負担が大きいものです。
そこで、双子のママが知っておきたい支援制度を3つご紹介します。
(1)双生児等多胎児家庭育児支援事業
この制度は双子だけでなく、三つ子などのいわゆる“多胎児育児”をしている家庭を対象に行われている事業です。
どういう支援内容かというと、ひと言で言えば、「多胎児育児で疲れたパパママにリフレッシュしてもらおう!」というもの。
具体的には、多胎児を育てる両親がベビーシッターを利用する際、1回につき双子なら9,000円、三つ子なら18,000円の割引が適用される内容となっています。
この制度には利用制限があり、特別な理由がない限りは年に2回までしか使えません。それでもこの制度に助けられている家庭は多いのですが、平成27年度から制度内容が変更されました。
以前はこども未来財団という団体に申請すれば割引券を郵送してもらえましたが、新制度では申請時に会社を通す必要があります。
しかも、割引券を発行する際に、会社にも負担金が発生するため、小さな会社や経済的に余裕のない会社で働いている人は申請しづらくなりました。
この制度変更は2015年4月に始まったため、まだ十分に周知されていないようです。利用する際はしっかりと必要事項を確認するようにしましょう。
(2)ベビーシッター派遣事業
続いて知っておきたいのが、ベビーシッター派遣事業。こちらは双子の家庭限定ではありませんが、同じように恩恵を受けることができます。
この制度を利用するには、
- 会社で働いていること
- 年収が970万年未満であること
- 制度を使わなければ働くことが難しいこと
などの条件をクリアする必要があります。
1回のベビーシッター利用につき1,700円の割引が適用され、1か月に24回利用することができます。
ただし、依頼するベビーシッター事業者は国から認定されていないと利用できないので、事前にチェックしておきましょう。
(3)産前産後休業育児支援事業
こちらも多胎育児の家庭限定ではありませんが、とても有用な制度です。
産休中のママだけが使えるもので、妊婦健診や体調不良など、やむを得ずベビーシッターを利用した場合に限り、1回1,700円の割引が適用されます。
利用制限は産休期間中に4回まで。
厚生年金に加入していない会社で働いている人は利用できないので注意しましょう。
また上記のサポート以外にも産休が通常の単胎妊娠と期間が異なり、例えば、産前の場合は予定日より14週間取れると定められていたりします。(産後は分娩の翌日から8週間で単胎妊娠と比べて変化なし)
そのほかの双子育児の制度に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
まとめ
「双子の妊娠」や「双子あるある」などについてご紹介してきました。
ひと口に双子といっても、一卵性と二卵性で見た目や成長速度などに差があることを知らなかった人も多いのではないでしょうか。
双子の子育ては普通の子育てより10倍苦労するとも言われますが、双子がくれる幸せも10倍になって返ってくるはず。
双子の妊娠・子育ては珍しいですが、必ず仲間がいます。
もし子育てに不安を抱えている人は、自分の中にため込まず、双子サークルなどに参加して悩みを共有するようにしましょう。
●ライター/小澤あき(読者モデル、ライフオーガナイザー2級)
●追記/パピマミ編集部
●モデル/前田彩(桃花ちゃん)、神山みき(れんくん)、倉本麻貴(和くん)、ゆみ、SAYA、椎葉咲子(苺乃ちゃん、胡桃ちゃん)