3歳までが勝負!? “早期教育”のメリットと代表的な幼児教室の特徴
2016年6月16日 | よみもの3歳までが勝負!? “早期教育”のメリットと代表的な幼児教室の特徴

【ママからのご相談】
こんにちは! うちの娘はまだ1歳半なのですが、住んでいるところが比較的高級住宅地なので、近所のお子さんの大半が幼児教室に通っています(ちなみにうちはお金持ちではないです……)。
ある熱心なママさんに「1歳半から始めるなんて、遅い方だから」と言われてしまい、ちょっとモヤモヤしています。
主人は幼児教室に通うことには賛成なのですが、周りのママさんたちがエリート意識が高すぎるというか、私がついていけない気もしていて、踏み出せないでいます。
とりあえず、重い足を引きずって体験教室にいってみようと思うのですが、ちょっと背中を押していただけませんか(笑)?
そもそも本当に必要? “早期教育”の是非を考えてみましょう。
こんにちは! ライターの月極姫です。
確かに、0~3歳は脳神経回路が目覚ましい発達を遂げる黄金期。この時期に適切な刺激を受けることによって、子どもの知性や五感が豊かな発達を遂げるという理論はよく知られています。
しかし、「1歳半から始めるなんて、遅い方だから」。これがご相談者様へのイヤミだとしたら、残念ながらそのママさんは、純粋にお子さんのために幼児教室に通わせているわけではなさそうですね。
「子どものため」と言いつつ、いつの間にか自身の見栄やプライド、競争心を満たすことが目的になってしまっている。教育熱心な親御さんが、ハマりやすい落とし穴といえるでしょう。とはいえ、筆者は早期教育肯定派です。
『就学前教育の有無が教育的、経済的な差を生み出す』
これは、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・J・ヘックマンの言葉です。ヘックマンは40年以上に渡る追跡調査で、幼児期の適切な教育が個人の能力や経済力に大きな影響を及ぼすという調査結果を導き出しました。
一方で、
・偏った早期教育が子どもの人格を破壊する
・早期教育が過ぎると、親の顔色をうかがう自発性の低い子に育つ
・幼児期に脳に単調な刺激を与えすぎると、その後の学習能力に悪影響を及ぼす
など、ネガティブな情報も少なくありません。
まず、“早期教育に力を入れなければ、絶対に高い能力や人格が身につかない”ということはありません。
たくさんの偉人が輩出されてきた過去の時代に、イマドキの幼児教室のような存在はありませんでした。ただ、優秀な方や偉人が育つ背景にはそれなりの家庭教育、学習環境があります。
しかし、私たち皆が、優秀な人たちが育った家庭教育を再現できるか? といったら無理がありますよね。
脳科学や早期教育に詳しくない、ごく一般的な親子に広く門戸を開いているのが幼児教室です。だからこそ、子どもだけでなく、親御さんも一緒に学ぶスタイルの教室が多いのです。
通うも通わないも親御さんの力量や価値観次第。それで他者批判をするのは間違っています。
極端な意見は軽く聞き流し、まずご自分の目で見て確かめることです。通う、通わないは人それぞれ、決めるのはお子さんとあなたです。
体験レッスンでは、お子さんがリラックスしていきいきと学んでいるか、楽しそうにしているか、という点が大切ですが、たとえ楽しそうであっても「ただ物珍しいだけではないか?」「仲の良いお友達と一緒だから楽しめているだけではないのか?」といったシビアな見方もアリです。
決して安くないお月謝を払って通わせるわけですから、親の目線でも慎重にジャッジを下しましょう。
さて、それでは各早期教育の特徴と、ユーザーのポジティブな声、ネガティブな声の両方を見てみましょう。全国どこででも受講しやすい大手の教室・講座にしぼってご紹介します。

長い歴史と信頼の実績。子どもの発達に合わせて学ぶ“老舗”タイプ
ベビーくもん
公文と言えば「毎日大量のプリントをやるのでは?」と思う方も多いかもしれませんが、それは小学生以降の学習スタイルです。
0歳から学べるベビーくもんは、かわいらしい絵本と知育玩具、CDやDVDなどで月齢に合わせた取り組みを行います。また、単なる通信教育ではなく、月に一度の“通室”で、母子ともに刺激を受けられるのが特徴です。
【ユーザーの声】
『月に一度のスクーリングというのが、0歳児にはちょうどいい。早期教育を頑張り過ぎるのも嫌なので、ウチにはこれが合っています』(30代2児ママ)
『教材が可もなく不可もなく、特徴がとくにないように感じた。お値段が安いので、もう少し続けてみようとは思っています』(40代1児ママ)
めばえ教室
1979年創業の老舗です。『知能教育コース』『英会話コース』『グリムコース(国語力を高めるコース)』があり、1歳から母子で受講できて、2歳ごろから段階的にママと離れてレッスンを受けます。
詰め込み型の教育ではなく、好奇心を刺激し自ら考える力を育てるプログラムが特徴。
一見遊びを通した楽しい取り組みですが、知能判断テストの結果をグラフ化するなど、成果が客観的に見える工夫もうれしいところです。
【ユーザーの声】
『上の子が甘えん坊で困ったことがあったので、下の子は早めに母子分離させようと通わせていました。2歳でも、意外とレッスンをきちんと受けられる姿に驚いた記憶があります。集中力がついたのは、めばえのおかげかも』(30代2児ママ)
『英語の方に通わせていて、5歳のころには親もびっくりするような発音になりガッツポーズでした。でも、そのあと他の習い事を始めるとあの発音も忘れてしまったみたい(笑)。やっぱり、続けなきゃダメなんですよね』(30代3児ママ)
あの天才子役も出身者! 従来の教室と一線を画す“全脳教育”タイプ
七田式右脳教育
子役でスケート選手の本田望結さんが通っていたということで、最近さらに知名度を増しましたね。3歳までの時期に右脳を開発することによって、ひらめきや直感力、イメージ力、絶対音感なども身に着けるというものです。
従来の、理論的思考に偏った“左脳教育”とは一線を画するもので、いわゆる天才肌の人材を育成しようという性質が強い教育法です。
0歳からの幼児教室に加え、七田式の講習をクリアしたネイティブ講師による英語教室、家庭で行える通信教育も行っています。大量の絵カードや、ドーマン式のドッツカード(丸いシールを大量に貼り付けた数のカード)を、素早くめくって見せるフラッシュカードも特徴的です。
【ユーザーの声】
『3人とも0歳から七田の幼児教室に通い、年少からは七田の幼稚舎に。今長男が中2ですが、受験についてもあまり心配はなく、音楽、スポーツにも意欲的なのは右脳開発の賜物だと思っています』(50代3児ママ)
『教室に通ってみたけど、お金持ちのママさんの自慢大会みたいな雰囲気が嫌で辞めました。私が気乗りしなかったせいで、子どもの反応もイマイチだったのかもしれないけど(笑)』(40代2児ママ)
子ども心をガッチリつかむ! 楽しく学べる“人気キャラ”タイプ
ベネッセ・こどもチャレンジ
通信教育の他に英語教室やサイエンス教室、作文教室なども展開しており、年齢と発達段階に合わせた豊富な教材、挨拶や礼儀作法、コミュニケーションスキルなど社会性の発達にも力を入れた取り組み内容が特徴的です。
就学後は教科書に即した内容のワークが増えていきますが、未就学児のワークはカラフルで楽しく、学習能力の基礎となる知育遊びをメインとしつつ、鉛筆の持ち方や書き方なども学べるようになっています。
【ユーザーの声】
『しまじろうがかわいくてテレビ番組まであるので、子どもが引き込まれるように取り組んでくれて親はラクでした。付録のDVDは繰り返し見るほど好きでした』(40代2児ママ)
『教材が多すぎて使いこなせず、親が相手をするものも結構多くて大変。入学前にやめました』(30代1児ママ)
ドラキッズ
何といってもドラえもんが子ども心を引き付けて離さず、体験教室などでも「子どもの食いつきが違う」と評判の教室です。
総合教育コースは満1歳から入会でき、小学校準備コースまで年齢によって分かれています。絵本や知育玩具にはもちろんイメージキャラクターのドラえもんがついています。
最初はごっこ遊びやゲーム的な取り組みを親子で楽しむところから始め、無理なく知能を高めていくプログラムになっています。
【ユーザーの声】
『いろいろな習い事をさせてきたけど、一番楽しそうに通っていたのが入学前までのドラキッズ。ドラえもんおそるべしです』(30代1児ママ)
『最初の食いつきがすごかったけど、うちの子の場合は意外とすぐ飽きちゃったかな。女の子はませてるので、ずっとドラえもんが楽しいとも限らない。年中で辞めて他社の地味な通信教育に切り替えたけど、その方が合っている様子』(40代2児ママ)
ネット上の情報には裏がある!? 鵜呑みにせず体験教室へGO!
幼児教室を選ぶ際に、もう1つ注意しなければならないことがあります。それは、ネットの幼児教室ランキングなどをやたらと信用し過ぎないことです。
“通室者数”や“年商”といった客観的なデータによるランキングを掲載しているサイトは良心的ですが、一部のアフィリエイトサイトの中には、主観的でアバウトなランキングを掲載しているものもあります。
また、良心的なサイトで人気ランキング上位だからといって、お子さんの個性に合っているか否かはまた別問題なのです。
ネットの情報にも、お友達からの情報にも、振り回されないことが肝心です。日ごろから、また体験教室の場などでも、まずはわが子の様子をよく見ること。
そして教室の方針やメソッドについての疑問は遠慮なく解消し、納得の上で通室することをお勧めします。
また蛇足ではありますが、幼児教室への通室が軌道に乗っても、お家でのんびりしたり、お友達と自由に遊ぶ時間は必ず確保してあげてください。
いつの時代も、自由に使える空白の時間があってこそ、子どもの内面世界は豊かなものになっていくと思います。
【参考文献】
・『幼児教育の経済学』ジェームズ・J・ヘックマン(著)/古草秀子(訳)
●ライター/月極姫(フリーライター)