妊娠中は不安…! 妊娠中に不安になるワケと解消法11選
2016年5月17日 | よみもの妊娠中は不安…! 妊娠中に不安になるワケと解消法11選

こんにちは、メンタルヘルス心理士の桜井涼です。
私も妊娠中は多くの悩みを抱えていました。人見知りをするのでなかなか人に心を開けませんし、突然のお腹の痛みや疲れに不安感を持っていました。
あるとき、そういった思いが爆発して、主人に泣いて訴えました。思っていたことを言うだけ言ったら、すっきりしたのを覚えています。
このことでわかったのは、気持ちや感情をはき出すことが解決策になるということです。
この他にもさまざまな対処法があります。妊娠中の不安についてまとめてみました。
妊娠中に不安になりがちなワケ
ご相談者さまのように妊娠中は何かと不安になりがちですが、それは自然なことなので焦る必要はありません。
妊娠というのは女性にとって人生を左右するほどの大仕事ですから、不安に思わない方がおかしいのです。
また、単純に妊娠というイベントに対する心理的負担の他にも、ホルモンバランスが崩れることによって精神が不安定になるマタニティブルーに陥ることもあります。
そのため、妊娠中は、理由もなく落ち込んだり、流産の可能性が常に頭から離れないなどのネガティブな考えに飲み込まれたりしてしまいやすいのです。
マタニティブルーに関する詳細は以下の記事をご覧ください。
妊娠中に感じやすい不安15選
妊娠中のモヤモヤとして不安を解消するためには、まず自分がどんなことに対して悩んでいるのかを知る必要があります。
そこで以下では、妊婦さんが感じがちな不安の種類について体験談をベースにお話ししていきます。
(1)流産の不安
『私は前に一度流産を経験しているので、妊娠期間中ずっと流産が怖いと思って生活していました。今となっては取り越し苦労ですが、当時は必死だったので…』
(30代ママ)
妊婦さんなら誰でも一度は不安に思うことではないでしょうか。
検査薬で陽性反応が出て、妊娠が発覚し、どんなにお腹の子が順調に育っていても、突然流産するのでは、と勘ぐってしまいます。
不安を解消するためにインターネットを使ったことで逆に不安が大きくなったという人も少なくありません。
妊婦さんの中でもとくに流産を一度経験している人は不安が大きくなる傾向にあるようです。
実際には一度流産したことによって二回目も起こりやすくなるということはありませんが、どうしても頭をよぎってしまうようです。中には眠れないで不眠になってしまうという方も。
流産の不安に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
(2)つわりへの不安
『妊娠6週くらいから少しずつつわりが強くなり、吐き気などして、料理も掃除もまったく手に付かないようになりました。まともに食事も取れないので体が弱り、このままでは胎児に影響があるのでは、とばかり考えていました』
(40代ママ)
つわりの重さは人によって個人差がありますが、中には入院に至るほど衰弱してしまうケースもあります。
つわりによる体調不良で、「お腹の子に影響があるのでは?」と不安に感じる人は少なくないようです。特に妊娠中期になってもつわりが長引いている場合は不安に感じる人が多いようです。
つわりの不安に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
(3)環境の変化に対する不安
『妊娠が発覚してからは、どうやって会社に伝えようかということばかり考えていました。私が抜けると周りに大きな迷惑をかけることが分かっていたので』
(20代ママ)
妊娠すると、仕事との両立が難しくなります。つわりが軽い人ならば初期の段階では普通に働くことができますが、いずれ産休を取らざるを得なくなります。
そうなったときに、「周りに迷惑がかかる」とネガティブに考えてしまう人が多いようです。
(4)赤ちゃんの成長に対する不安
『妊婦検診で体重が軽いことが判明し、もしかしたら未熟児で産まれてくるかも、と不安でした。実際産んでみたら普通サイズだったので要らない心配でしたが(笑)』
(30代ママ)
妊娠期間が長くなると、どんどんお腹が大きくなって赤ちゃんの成長を実感することができますが、反対に赤ちゃんへの不安も少しずつ大きくなってきます。
赤ちゃんのささいな胎動の変化に敏感に反応したり、妊婦検診の結果をみて過剰に落ち込んだりといったことで悩みがちになります。
(5)出産への不安
『私は一番出産への不安が大きかったなぁ。先輩ママから「死ぬほど痛い!」ということを聞かされていたので、分娩台に乗るまでが恐怖だった』(20代ママ)
これも妊婦さんに多く見られる不安ですね。出産は鼻からスイカが出る”ほどの壮絶な痛みとも言われますが、周囲からそのことを聞かされたら誰だって怖くなりますよね。
一方で、痛みというよりも出産時に何かハプニングが起きるのでは、ということで悩んでいた人も少なくないようです。
(6)子育てへの不安
『正直まだまだ子どもな私が、きちんと自分の子を育てられるのかとても不安だった。その不安をかき消すために必死に母に育児のコツを聞き出していました』
(30代ママ)
妊娠後期になってくると、たとえ無事に出産できたとしても、次はきちんと子どもを育てられるのかという不安がありますよね。とくに出産・育児が初めてのママにとっては大きな問題と言えます。
(7)障がい児かもしれないという不安
『もしも自分の子が障害を持って産まれてきたら、と考えると怖くて夜も眠れませんでした。ダウン症の子どものドキュメンタリーを繰り返しみて、もし障害児が産まれてもショックを受けないような心理状態にしていました』
(40代ママ)
もし子どもに障がいがあったら……というのも妊婦さんが抱えがちな不安ですね。
今は出生前診断で胎児の先天性異常を見つけることができますが、中絶をしたくもないし、あえて受けなかったという人でもやはり不安は感じるようです。
(8)出血への不安
妊娠の初期は、生理の症状と似ており、出血することが多い時期と言われています。
ただし、出血したからといってそれがすぐさま危険な状態とは限りません。
着床出血や絨毛性出血、子宮膣部びらんなどはあまり心配のいらない出血だと言われています。
もし出血がさらさらとした鮮やかな色のものだった場合や、数日とまらないという場合には、異常が発生している可能性もあるようです。
それ以外の状態だったとしても、自分で判断することは危険なため、出血があった際にはすみやかに病院を受診するようにしましょう。
妊娠初期の出血に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
(9)お腹の小ささに対する不安
妊娠し、体重の増加があるにも関わらず、お腹の大きさに変化が見られないこともあるでしょう。
しかし、きちんと食事を摂取しており、病院からも問題ないと言われている場合には、それは個人差でしかありません。
腹筋が強い妊婦さんの場合、赤ちゃんが前に出にくいとも言われており、普通は前方に出てくるお腹が横に広がることで目立たないということもあるでしょう。
(10)薬に対する不安
妊娠中は飲んではいけないと言われる薬もあります。
そのため、まだ妊娠を自分で認識していない時期に知らず知らずのうちに飲んではいけない薬を飲んでしまっていたかもしれない、と不安になる人もいるようです。
とはいえ、妊娠初期に飲んでしまった薬が赤ちゃんに悪影響を及ぼしてしまうということは少ないようで、あまり心配しすぎる必要はないでしょう。
どうしても不安な場合には、妊娠の可能性があると感じたら、風邪薬などを飲む前に、病院へ相談してみるといいかもしれません。
(11)食事に対する不安
妊娠中の食事には気を使いますよね。ママが口にしたものが赤ちゃんの成長に直結するわけですから、不安になるのも仕方ありません。
栄養バランスのとれた食事が重要なことはもちろんですが、妊娠中には控えたい食材などもあるため、病院で相談してみるといいでしょう。
また、アルコールやカフェインへの不安も少なくないかもしれません。
カフェインの胎児への影響は明らかになっていない部分もありますが、できるだけノンカフェインの飲み物を口にした方が不安はなくなるのではないでしょうか。
妊娠中の食事に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
(12)ネット情報に対する不安
妊娠中は、お医者さんや周囲の友達が口にする些細なことが必要以上に気になることがあります。
不安に感じたことをネットで検索する人も多いと思いますが、ネット上の情報は不安を煽るようなネガティブなものも少なくありません。
調べれば調べるほど不安が増長していくということにも……。
ネット上の情報は真偽が定かではないものも多いため、必要以上に深刻に考えないようにしましょう。
(13)夫に分かってもらえない不安
妊娠中、不安に感じることがあれば、一番身近にいる夫に相談したり話を聞いてもらいたいと思うものですよね。
しかし、男性の中には妻の妊娠中の不安に実感がなく、「大丈夫なんじゃないの?」と気楽に答えてしまう人も少なくありません。
それによって妊娠中の妻はさらなる不安を感じたり、寂しいと感じたり、このまま親になることができるのかと、今後の生活にまで不安を感じることになるでしょう。
さらに、家事の分担についても、妊娠中はどれほどできるか不明な点もあり、夫に迷惑をかけないか、夫は協力してくれるのか、という不安を抱えることもあるようです。
反対に、心配されすぎて家事を一切させてもらえないということもあるようですが、適度な運動は妊娠中にも必要なため、それを伝えてうまく分担するのが理想的でしょう。
(14)高齢出産への不安
妊娠のリスクは年齢によっても大きく変わってきます。
特に三十五歳を超えて初産をむかえる高齢出産では、さまざまなトラブルが起こる可能性が高くなりがちです。
不安に思いやすいことではありますが、ストレスが悪影響を及ぼすこともあるため、リラックスして過ごすことを心がけましょう。
高齢出産に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
(15)仕事に対する不安
妊娠が発覚し、いまの仕事をこのまま続けてもいいのか、または退職した時にその後の生活費は大丈夫なのか不安になることもあります。
出産後に今の職場に戻れるのか、産休や育休をとることができるのかといった不安も少なくないはずです。
少しでも不安を解消できるよう、職場への報告や相談は早め早めを心がけましょう。
(16)2人目妊娠に対しての不安
1人目の妊娠と、2人目の妊娠ではまた別の不安が襲ってくることがあります。
例えば、妊娠中の症状(つわり、お腹の張り、出産時の進み具合など)は1人目と2人目で違いがあるのではないかと不安になることもあります。
また、2人目妊娠の時には、上の子のお世話をどのようにやりくりしたらいいのかと不安になることもあります。
妊娠中の不安によるストレスが母子に与える影響
ストレスが具体的にどのような悪影響を母子にもたらすかということは、具体的にはよく分かっていないようです。
しかし、ストレスには血管収縮作用があり、これによって子宮収縮を引き起こしたり血流の悪化による胎児の発育不全を引き起こす可能性があると言われています。
また、ストレスにはストレスホルモンの一つであるコルチゾールが含まれていますが、これが慢性的に放出されていると胎児の心拍が減ったり胎動が弱くなるといった研究結果もあるようです。
他にも、明確な根拠はありませんが、
- 低体重児になる
- 切迫流産のリスクが高まる
- アレルギー体質になりやすくなる
- うつ病などの精神疾患にかかりやすくなる
などの説もあります。
妊娠中のストレスに関する詳細は以下の記事をご覧ください。
妊娠中の不安を和らげる方法11選
次に、不安を和らげる方法を11個紹介します。
(1)ため込んでしまった思いを口に出す
妊娠中は、さまざまなことを不安に考えてしまいます。専業主婦だと、なかなか友達ができなかったりして、話し相手がおらず、不安な胸の内をさらけ出せないのでため込んでしまいます。
しかし、全部をため込んでおいたら心が病気になってしまうということはたしかです。これではへその緒でつながっている赤ちゃんにも良くありません。
ため込んでしまった思いは、はき出してしまうことが一番の解決策になります。話を聞いてくれる家族はいますか?
夫や親兄弟、親戚など身近な人に聞いてもらうのがいいのですが、誰もいない場合は、各市町村の役所で保健婦や看護師を無料で派遣してくれます。何度も訪問してくれますので、ぜひ利用してみましょう。
また電話の相談窓口もあるので、そちらも確認してみてください。
(2)今の感情を“マタニティーメモリー”に書く
つらい気持ちをわかってもらうには、相手に同じ状況になってもらうことが大切だと感じます。
しかし、そういった相手を見つけるのは難しいですし、産院でいきなり話しかけるのも気が引けるときもあるでしょう。
そんなときは、マタニティーメモリーを活用してみると心が少しずつ楽になっていきます。
今、“自分が思っていること”“不安に感じているもの”などのため込んでいる感情を、はき出すようにして文字にするのです。
これは“筆記療法”といい、ストレスを文字にすることで、抑うつ感をなくすことができます。
私の場合は、エコー写真が入れられるようになっているものを使っていました。
日付を入れて、その日に感じたことや不安を書き、思いをノートにぶつけて、心を楽にするために使っていました。
(3)歌って感情を出す
大きな声を出すこともため込んでいたストレスをはき出すことにつながります。
しかし、カラオケボックスに足を運ぶということではありません。自宅で誰もいないときに童謡をかけて一緒に歌うのです。
童謡には心を静める効果があるだけでなく、赤ちゃんの胎教にもなります。子どもは歌で言葉や感情を理解しますから上手に使いましょう。
お母さんの心がブルーだと、体内環境が良くない状態になります。これでは、赤ちゃんに良くありません。歌うことで心を静め、心の癒やしを行いましょう。
私も毎日たくさんの童謡を歌って聞かせました。最初は、「胎教にいい」と勧められて始めたのですが、自然と自分の心も癒やしていたのだと思います。
(4)不安なことは主治医に相談する
妊娠中はどんなささいなことでも不安に感じてしまうものです。
そこで最も不安を取り除くことができるのは、お医者さんから「問題ない」という言葉をもらえたときですよね。
不安になるのは仕方のないことですが、あまりにも不安が大きくなりすぎるとストレスとなって母子ともに影響を与える可能性があります。
そのため、わざわざ医者に聞くまでもないようなレベルの悩みであっても、迷わず主治医に相談するようにしましょう。
専門家に話を聞いてもらえるだけで、多くの不安は取り除くことができます。
(5)手抜き家事をする
妊娠中はただでさえ身重な状態なのに加え、つわりなどの体調不良もあります。
そのため、いつも通りに家事ができないこともあるでしょう。しかし、そのことに落ち込んではいけません。
完璧主義な人ほどマタニティブルーに陥る可能性が高いので、「まぁ大体でいいか」ぐらいの気持ちで家事をするようにしましょう。
どうしても完璧にしなきゃ気が済まないという人は、旦那や母親などに協力してもらうようにしましょう。
(6)将来について夫と話し合う
妊娠中は不安も抱えがちですが、夫への不満も同じくらい抱えがちです。
自分が大変な思いをしているのに、飲み会で遅く帰ってきたり、家事を一切手伝わなかったりといった態度を取られるとどうしてもイライラするものです。
そんなときは、将来のことについて夫とじっくり話し合ってみましょう。
- 子どもをどういう風に育てるのか
- お金の工面はどうするのか
- 家事育児はどういう風に分担していくのか
などなど、出産後のことを明確に話し合うことで夫に“父親”としての実感を持ってもらうことができます。
将来の不安は自分一人で抱え込まず、夫と共有して軽くしてしまいましょう。
妊娠中の夫婦関係に関しては以下の記事をご覧ください。
(7)“休息日”を設定する
体重管理や食事制限など、妊娠中の生活にはさまざまな制約がつき、なにかとストレスを感じてしまいがちです。
たくさんの注意事項に縛られて生活していれば、どんな人間でもネガティブになって不安を抱いてしまうものです。
そこで、一日限定で、好きな物を好きなだけ飲み食いする、という日を設けましょう!
もちろん大量の飲酒などの胎児に大きな影響を与える行為はNGですが、日頃我慢している自分の欲求を満たしてあげることで、気分転換をすることができます。
(8)涙活してみる
時には思いっきり泣くのもいいでしょう。涙を流す行為は、ストレス発散に大きな効果があります。好きな本や映画に没頭し、涙活できる時間を確保するようにしましょう。
涙活に関する詳細は以下の記事をご覧ください。
(9)運動をする
ストレスや不安を解消するには運動がとても効果的です。運動といってもそんなに激しいものではなく、散歩やウォーキング、マタニティヨガなどがオススメです。
体を動かすと自然と気持ちが明るくなり、それまで気にしていたことがあまり気にならなくなります。
運動には抗うつ薬と同程度の精神安定効果があると言われているので、家にこもりっきりな人はぜひ試してみてください。
妊娠中の運動については以下の記事をご覧ください。
(10)アロマでリラックスする
妊娠中の不安の原因は、必ずしも明確な答えがあるわけではありません。ホルモンバランスの乱れが原因であることも少なくないでしょう。
そんなときには、アロマなどでリラックスするのも効果的です。薬ではないため副作用の心配をしなくていいのがうれしいところ。
ラベンダーやカモミールには気分を落ち着かせてくれる効果があると言われています。自分に合った香りを探して、リラックスするのもいいですね。
妊娠中のアロマに関する詳細は以下の記事をご覧ください。
(11)深く考えない
いくら思い悩んで不安を感じ、対策を講じたとしても、妊娠中の不安がなくなることはないでしょう。
いっそのこと、深く考えることはやめて、ただ赤ちゃんが生まれてくるのを待つというのもひとつの方法です。
多くの不安は杞憂に終わることが多いでしょうし、悩んだからといって解決するわけでもありません。
自分でできることをやり終えたら、後はそのときを待つようにしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
妊娠中は誰もがさまざまな不安に駆られます。突然の腹痛や体重が多くなってしまうことや、行動の制限があるのですから当然です。
だからこそ、夫をはじめとする家族の助けを借りたり、自分で心を安定させる対処法を実践したりすることが大切です。
人はなんとでも言います。「妊娠中は仕方ない」「今は我慢しましょう」「みんな同じですよ」「考えすぎではないですか」。
私も産科医や主人、妊娠したことない人たちにいろいろなことを言われました。
そのたびに悩み、不安になりどうすることもできなくなりました。でも、対処法を知っていれば乗り越えることができます!
どうか元気な赤ちゃんを産んでください。心から願っています。
【参考文献】
『史上最強図解よくわかる社会心理学』小口孝司・著
●追記/パピマミ編集部
●モデル/前田彩(桃花ちゃん)、KUMI(陸人くん、花音ちゃん)