仮病じゃない! 子どもの「ストレス」の原因&SOSのサインとは
2016年5月11日 | よみもの仮病じゃない! 子どもの「ストレス」の原因&SOSのサインとは

こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。
近年、ストレスを抱える子どもがかなり多くなり、体に症状が出てしまうというケースが増えています。しかも、子ども自身が「このくらいで親に相談できない」と考えてしまうため、発見が遅くなってしまうのです。
最悪な場合、うつ状態に陥ってしまう子どもや不登校になってしまうこともあるということがわかっています。そうなる前に、いち早く気づいて手だてを講じることが必要だと私は考えています。

子どもにストレスがのしかかる理由
教育カウンセラーの富田富士也さんは、ご自身の著書の中で、ストレスのことをこう記載しています。
人間の体や心を歪ませるような刺激・外圧が加わったとき、それを押し返し元に戻ろうとする力が生じます。これがストレスというわけです。
現代の子どもは、塾・習い事・部活・人間関係などさまざまなものを抱えています。
昔であれば、友だちと外で元気よく遊べば解消できたものです。しかし、遊ぶ場所も時間も少なくなってストレスをため込んでしまうことが多くなってきています。
ストレスの感じ方には、個人差があります。「これくらいは何ともない」と感じる子、「かなりキツイ」と感じる子がいることをわかってあげることも大事なポイントです。
子どもがストレスに対して打たれ弱いからと考える人もいるようですが、打たれ弱いのではありません。発達段階である心と体を丸ごと受け入れ、認め、ストレスとなっている悩みを聞いてあげることが必要なのです。
子どもが出しているSOS
ストレスがたまっている状態の子どもに見られる行動がいくつかあります。心と体はつながっていますので、切り離すことができません。そのために体に症状が現れるのです。
・好物でも食欲を示さない
・早く寝ても朝起きられない(急にそうなった場合は要注意です!)
・寝付きが悪く、何度も目を覚ます
・表情が暗い
・めまいやふらつき
・湿疹(しっしん)が出る
・やる気を示さない(好きなゲームなどをしなくなるなど)
というような変化が見られます。
上に挙げた以外の症状を出してきた子についてお話ししたいと思います。
B君(小6:男子)は、お母さんに対して「抱っこ」という言葉を急に発するようになったそうです。
『5年生の1学期ごろには治まっていたのですが、6年生になってまた始まり、私の顔に頭をこすりつけてくるようになりました』(B君のお母さん談)
話を聞いていくうちに、ストレス要因ではないかと思われるものが見つかりました。
・5年生の3学期からお父さんが転勤になってしまったこと
・6年生になって担任が変わったこと
・担任の先生が厳しくB君とそりが合わないということ
・部活(水泳)での練習時間が増えたこと
お父さんのいない寂しさに加え、勉強と部活、先生との関係などが合わさり、大きなストレスになっているようでした。今は、「抱っこ」と言ってきたときにいつでも受け止めるようにお母さんが対処しているとのことでした。
このように、子どものSOSサインにも個人差があります。普段と違うような行動をするようになったら要チェックだと思っていただきたいです。
親は子どものストレスの受け皿に!
「私は子どもの話を聞こうと努力していますが、子どもが話さないんです!」という声を多く聞きます。
こうおっしゃる親御さんの中には、早口で子どもに何かを言わせようとしたり、半分脅すような感じだったり、根掘り葉掘り聞き出そうとしたりする方がいらっしゃいます。
子どもからすれば、これでは話そうにもうまく話せません。
あくまでも、親は話を聞く側なので、主体は子どもです。親が聞きたいことだけを聞いてスッキリするのではなく、子どもが話をしてスッキリすることが大切なのです。
親は話を聞いて、アドバイスを求められるまでは聞いてあげるだけにしましょう。そして、子どもの主張をまずは認めてあげてほしいと思います(ただし、命の危険や人に迷惑をかけるようなことがある場合は、この限りではありません)。
大人でも話を聞いてもらえたらスッキリした気分になるでしょう。子どもにもそれが必要なのです。
無理して話を聞こうとしても話そうとはしないことが多いです。そんなときは、2人きりで出かけるとか、話さなくても一緒に何かをするでもいいです。子どもの視線を捉え、ほほ笑みかけてあげるだけでも違ってきますよ。
おわりに
子どもも大きなストレスを抱える時代です。話したくても親には話せないと思っている子は大勢います。子どもだって親に心配をかけまいとして必死なのです。
そんな子どもを丸ごと受け止めてあげられるよう、親が受け皿になってあげることが必要ではないでしょうか。
こういった手だてを早めに打つことで、子どもはストレスに負けない力をつけることができるようになるものです。ぜひ、親の受け皿でお子さんのストレスを受け止めてあげてほしいと思います。
【参考文献】
・『ストレスから子どもを守る本』富田富士也・著
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)