24時間は安静に! 子どもが頭を打った時の症状別・対処法5つ
2016年4月18日 | よみもの24時間は安静に! 子どもが頭を打った時の症状別・対処法5つ

【ママからのご相談】
公園などで遊んでいて子どもが頭をぶつけたりすることがあります。先日はおでこをぶつけて青くなった後に、鼻血が出てきました。
慌てて病院へ行き、何ともないことがわかり安心したのですが、子どもが頭をぶつけたときの対処法を知っておきたいです。
初期対応と経過観察を必ず行いましょう
こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。
頭は脳を守っている場所ですから、とても大切な場所であると言えます。
しかし、年齢が低いとどうしても頭をぶつけてしまいがちですから、さまざまなことに目を配っておく親の初期対応や経過観察が大切になります。
今回は、子どもが頭を打ったときの対処法をご紹介します。
子どもが頭を打ったときにまず確認すべきこと4つ

子どもが頭を打ったとき、「まぁ大丈夫でしょ」と気楽に考える人もいれば、「大変! すぐ病院に連れて行かなきゃ!」と慌てる人もいるでしょう。
しかし、様子を見るにせよ、すぐに病院へ連れて行くにせよ、事前に一度確かめておきたいことがあります。
以下では、子どもが頭を打ったときの初期対応についてお話ししていきます。
(1)意識があるかを確かめる
頭を打った後に痙攣を起こしていたり、呼びかけに対して何の反応も見せないようであれば要注意です。
また、頭を打って激しく泣きじゃくった後はぐったりと眠ってしまうこともあるため、普通に寝ているのか気を失っているのかの判断がつかない場合もあります。
そんなときは、呼吸が安定しているか、顔色が悪くないか、などを確認し、普段と様子が変わらないようであれば大丈夫です。
(2)たんこぶや出血の確認
強く頭を打った場合、頭部にたんこぶができていたり、出血している可能性があります。
そのため、子どもが頭を打った場合はまず頭の状態をチェックするようにしましょう。
たんこぶが普通よりも大きい場合は、脳内出血や頭蓋骨が骨折している可能性もあります。また、出血が多い場合も要注意です。
(3)“不機嫌orぐったり”も要注意
特にまだ言葉を話すことができない小さい子どもの場合、自分の症状をうまく伝えることができません。
そのため、子どもの様子を注意深く見守ることが非常に大切です。
頭を打った後に、機嫌が悪くてぐずる、暴れる、ぐったりしているなどの反応を子どもが見せている場合は、何らかの異常が発生している可能性があります。
また、呼吸を苦しそうにしている場合なども急ぎの対処が必要なポイントとなります。
(4)翌日になっても異変はないか
頭を打った直後には元気だった子どもが、時間差で夜になって症状が現れることがあります。
そのため、子どもが頭を打ったときは少なくとも翌日までは注意深く様子を観察するようにしましょう。
もしも夜になって嘔吐を繰り返したりぐったりしてきたら、早急に対処が必要です。
以上の4つが子どもが頭を打ったときに確認したい項目ですが、もしも異変を感じるようなら迷わず病院へ連れて行くようにしましょう。
自分で運転して連れて行く場合は、焦って事故を起こさないように十分気をつけて病院へ向かってください。
子どもの症状が重篤である場合は、無理に動かさず、救急車を呼んで向こう側の指示に従うようにしましょう。
こんな頭の打ち方は危険!

頭を打った後は元気で対処の必要がないように思えても、数日後に症状が急変することがあります。
そのため、「こんな頭の打ち方をした危ない」という目安を持っておくことも大切です。
以下の4つに当てはまると“危険な頭の打ち方”となります。
・衝撃の強い高速の物(野球ボールなど)によって頭部に打撲を負った場合
・自転車(ヘルメットなし)や歩行者として、車やバイクと衝突した場合
・2歳以下は90cm以上、2歳以上は150cm以上の高さから落下して頭を打った場合
・車内から体が投げ出されるような激しい交通事故にあった場合
頭を打ったときに注意すべき症状と対処法5つ

子どもが頭を強く打ったとき、放置すれば勝手に治るものから、早急に手を打たないと死に至るものまで、さまざまな病気を発症する可能性があります。
とくに小さい子どもを持つパパママは、頭を打ったときにどのようなリスクがあるのかを具体的に知っておくと安心です。
以下では、頭を打ったときに見られる症状とその対処法について見ていきます。
(1)嘔吐を繰り返す
子どもが頭を打って6時間以内に嘔吐を繰り返すようになった場合、『頭蓋内出血』が起きている可能性があります。
頭蓋内出血とは頭を打った衝撃によって頭蓋内に出血が起こり(脳内出血・クモ膜下出血)、それが脳を圧迫している状態のことを言います。
脳が圧迫されることで、脳性麻痺や知的障害、てんかんなどの後遺症が残る場合があり、早急に手を打つ必要があります。
そのため、子どもが強く頭を打ったときは少なくとも6時間は注意深く様子を見ることが大切です。
もしも異常が見られた場合はすぐに脳神経外科を受診させましょう。
また、たとえ医者から問題ないという診断を下されても、その後に内出血を起こす可能性があります。
数日は嘔吐などの症状に目を光らせましょう。
(2)手足にしびれがある
頭を打ったとき、首にも強い負担がかかるため、首の筋肉に捻挫が起こる場合があります。
単純に首の捻挫ならばあまり問題ないのですが、頭の打ち方によっては頸椎を損傷している場合があります。
頸椎が損傷している場合は全身麻痺などの非常に重篤な症状に至るケースもあります。
首に強い痛みがあったり、手足にしびれがあるという症状を子どもが訴えてきた場合は、すぐに横に寝かせて救急車を呼びましょう。
救急車の到着を待っている間はできるだけ首を動かさないように注意しましょう。
(3)めまいがある、気絶をした
頭を打って意識が一時的に飛んだり、めまいや吐き気などの症状がある場合は『脳しんとう』の可能性があります。
とくに小学校などのスポーツクラブ活動(サッカーなど)で脳しんとうを起こした場合は注意が必要で、一度脳しんとうを起こして脳の状態が回復しないまま再度脳しんとうを起こしてしまうと、『セカンド・インパクト・シンドローム』を発症してしまいます。
これにかかると致死率は50%を超えると言われており、仮に助かっても確実に脳に障害が残ります。
そのため、運動中に脳しんとうを起こしたら、必ずその日は休ませ、少なくとも2週間以上は休養を取るようにしましょう。
もしも指導者(コーチ)が休ませてくれないようであれば、即辞めた方がいいです。
そのくらい、セカンド・インパクト・シンドロームというのは怖い病気なのです。
(4)血が混じった鼻水が出ている
頭を打って血の混じった鼻水のような液体が鼻から出ている場合は、『髄液性鼻漏』の可能性があります。
髄液性鼻漏とは鼻から脳脊髄液が漏れだしていることを指し、無色透明であることから鼻水と混同されやすいです。
通常は鼻と頭蓋底は骨によって隔てられていますが、頭部に強い衝撃が加えられることでその骨が損傷し、開通してしまうのです。
髄液性鼻漏にかかると感染性の髄膜炎を発症するリスクがあり、最悪の場合は深い意識障害をもたらすことがあります。
髄液は鼻水と違って粘り気がなく、さらさらしているため、頭を強打した後にそのような鼻水が止まらない場合は、すぐに横にさせ、10cmほど頭を高くしましょう。
鼻をかんだりトイレでいきむなどの行為は絶対に避けさせてください。
(5)大きなたんこぶがある
たんこぶは別名『皮下血腫』とも呼ばれ、頭皮と頭蓋骨外の間で起こった内出血のことを指します。
そのため、たんこぶが大きければ大きいほど脳に衝撃が強く加わったという証拠でもあり、大きなたんこぶがある場合は注意が必要です。
しかし、吐き気やめまいなどの症状が一切なく、たんこぶがあるだけの場合はあまり心配いりません。
しかし、頭を打った後に呂律が回らなかったり、ぼんやりとしている様子があったりする場合はやはり何かしらの病気が生じている可能性があります。
また、巷では、「頭を打ったあとすぐに“たんこぶ”ができれば安心」という説がささやかれていますが、“たんこぶ=安心”ではないので気を抜かないようにしましょう。
単純にたんこぶしか症状がない場合は、熱冷ましのシートや冷やしたタオルなどで患部を冷やしてあげると効果的です。
頭を打った後の過ごし方

子どもが強く頭を打った場合は、少なくとも24時間は運動を控えて自宅で安静にさせましょう。
上述している通り、脳のダメージが回復していない状態で再度頭を打つと『セカンド・インパクト・シンドローム』を発症する恐れがあります。
「過保護なのでは」と考える人もいるかと思いますが、重い脳障害が残ったり死亡したりするリスクを考えると当然の処置と言えるでしょう。
頭を打って数か月後に症状が出る場合も
頭を打った後に出る症状の中には、数日後から数か月後に出てくるものもあります。
そのため、頭を打った直後に医師に診てもらい、「問題ない」という言葉をもらっても病気のリスクが潜んでいることを覚えておきましょう。
とくに『慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)』という病気は頭を打った数週間の間には自覚症状がなく、1〜3か月ほどしてから急に症状が現れるので要注意です。
・けいれん
・嘔吐
・頭痛
・呂律が回らない
・意欲低下
・歩行障害
などの症状が現れた場合は、たとえ頭を打ってから数か月経っていたとしても、すぐに病院で受診するようにしましょう。
私が小学3年生だったとき、クラスメイトが放課後に公園の鉄製の遊具で遊んでいて頭を打ち、2日後に脳内出血で亡くなるということが起きました。
このことがあってから、私は“頭を打つ”ということがどんなに恐ろしいことかを知りました。
頭はそれほど重要な部位だというのと同時に、何が起きているかわからないところでもあります。だから、決して軽んじてはいけないのです。
「大げさすぎる」と考えることもあるかもしれませんが、しっかり対応して経過観察をすることが本当に大切なのです。
まとめ
「子どもが頭を打ったときの初期対応」や「頭を打ったときに注意すべき症状」などについてご紹介してきましたが、いかがでしたか?
子どもは、年齢が低ければ低いほど、痛い箇所やどんな気分なのか言えません。小学生になっていても伝えるのが苦手だという子どももいます。
こんなときは、母親の出番です。冷静に初期対応と経過観察をしてくださいね。
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)
●追記/パピマミ編集部
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