子どもがムけてない!? ママたちの「包茎心配症候群」に関する体験談5つ
2016年4月6日 | よみもの子どもがムけてない!? ママたちの「包茎心配症候群」に関する体験談5つ

【ママからのご相談】
2か月の男の子を育児中です。妊娠前、妊娠中、出産後と、誰からも全く教えてもらえなかった、赤ちゃん(息子)の包茎について悩んでいます。
赤ちゃんが包茎なのは想像できていましたが、これをどう洗えばいいのか、扱えばいいのか全くわかりません。
ネットで“むきむき体操”というものを知り「なるほど!」とも思えたのですが、いざ息子のペニスを見てみると、どう剥くのかも「?」な状態です。
病院では「清潔にしてあげましょう」と言われましたが、「清潔ってどういう状態?」というレベルでわかりません。
恥ずかしくて、そこで「剥くんですか?」とも聞けず……。旦那はなぜか「放っといてやれよ」と言い、真面目に取り合ってくれません。
放っとくと病気になるかもしれないとネットで読んだので、そういうワケにもいかない! と憤っています……。
なぜか誰も教えてくれなかった赤ちゃんの包茎問題を取り上げます!
ご相談ありがとうございます。ママライターの木村華子です。
『包茎』とは、常にペニスが皮で覆われている状態を指し、相談者様のおっしゃる通り、生まれたばかりの赤ちゃんはどの子も生理的に包茎です。
日本小児科学会の公式サイトでは、『新生児の100%が真性包茎(ペニスを覆う皮の口が狭く、亀頭が出せない状態)』であると紹介されており、これを心配する必要はない様子。
とはいえ、私も2人の男の子を育てていますが、出産直後は「どーするの、コレ!?」と悩んだものです。
何せ、当然ですが母親にはペニスなんてありません。
とくに初めての育児では、「わからないけど、わが子のために間違った選択だけはしたくない……!」と意気込んでいただけに、息子のペニスとの遭遇は予告されていない一大事でした(なぜか出産に至るまで、赤ちゃんのペニスについて詳しく教えてくれる人っていないですよね……)。
今回は、誰も教えてくれない小児包茎への疑問と、それを心配しすぎて陥る『包茎心配症候群』というママの精神状態についてお話しします。

“むきむき体操”ってするべきなの!?
わが子のペニスを心配するママたちにより、ネットで一時期話題となった“むきむき体操”。
赤ちゃんのペニスの清潔を守るため、皮に剥き癖をつける体操として、泌尿器科と小児泌尿器科を専門とする岩室紳也先生が提唱したものです。
長男の出産直後、私もネットで“むきむき体操”の存在を知りました。
インターネットは便利なもので、丁寧に図解してくれた画像も出回っておりましたので、早速わが子のペニスに立ち向かってみたのですが……。
「剥くってどこのこと!? 癒着してない!?」。
そう、真性包茎のペニスの皮は、その下にある亀頭とぺったり癒着しているのです。
「この皮を無理やり剥くの? え、多分、血が出るよ? 出てもいいの!?」なんて恐ろしいことを考えながら、情けないことに結局何もできずじまい。
「世の中のママは、果敢にもあんなことを成し遂げているのか……。母親になるってスゲェや!」という感想とともに、「どうしよう……乗り越えられない……放っておくべきか? 病気とか大丈夫?」という焦燥感がフツフツと湧き出て、寝ても覚めても頭はペニスでいっぱいになりました。
後ほど知ったのですが、提唱者である岩室紳也先生も、「むきむき体操は、してもしなくてもどちらでも良い」とお考えで、全ての男子ママに課せられた必須の登竜門だというわけではありません。
「血が出るんじゃない?」「間違えるかも!」と不安があるのであれば、無理にしなくてもOKです。安心してください。
男の子を持つママたちの『包茎心配症候群』にまつわる経験談5選
「むきむき体操を無理にしなくても良い」と紹介したのにはわけがあります。
わが子のペニスを過度に心配することで起こる『包茎心配症候群』をご存じでしょうか?
包茎心配症候群とは、男の子の赤ちゃんを持つママがわが子の包茎に対して不安や焦燥感を抱く状態を指します。
2010年3月20日、朝日新聞出版から出版された雑誌『AERA(アエラ)』で紹介され注目を集めました。
また朝日新聞出版では、これよりも以前(2002年10月)の『週刊朝日』でも小児包茎を過度に心配するママたちを取り上げています。
「包茎心配症候群なんて、うちには関係ないよ」とお考えですか? ところが意外にも、男の子を持つママたちには少なくはない様子です。
このたび、実際に男の子を育てるママたちによる包茎心配症候群チックな体験談を取材しました。
(1)無理やりやった結果、出血……
『お風呂に入れるたび、息子のペニスが気になって仕方なかった。なぜなら、息子の尿道から見える恥垢が小児科なんかでアドバイスされる“清潔な状態”とは程遠く感じられたから。でも、どう考えても剥かなきゃ洗えないし……。
意を決してある日、力いっぱい剥いてみた。案の定出血して、息子はギャン泣き……。私も泣きながら、「ごめんねごめんね」と謝り倒し、なんとか洗ってそれ以来触っていない。今2歳になるけど、いまだに息子のペニスが怖い、そして心配』(20代・2歳児のママ)
(2)病的に執着していた
『当たり前だけど、赤ちゃんのペニスと旦那のペニスは違う。でも、いつかは大人と同じ状態になるわけで……。ゴールがそこ(旦那の状態)なら、早めに剥いてあげたいと思った。おむつ替えやお風呂のたびにむきむき体操をした甲斐あって、今ではお風呂のときに本人が自分で剥いて洗ってる。
でも、泣きじゃくる息子を押さえてむきむき体操をしていたころのことを思い出すと、いたたまれない気持ちになる。赤ちゃんだったから記憶にはないみたいだけど、あのときの私は病的にペニスに執着していた』(30代・5歳児のママ)
(3)息子の成長に一点の曇りも許せなかった
『旦那に「放っとけば、いつか自分でなんとかするものだから」と言われた。同性だから私よりは分かっているはずなのに、全く力になってくれず……。「いつかは剥けるものなんだろうけど、ずっと剥けずに悩んでる成人男性だっているんでしょ!? 息子には、絶対そうなってほしくない!」と思っていた。
実際、そうなったらそうなったとき(手術とかあるし)なんだろうけど、初めてわが子を抱えた当時の私にとって、息子の成長に一点の曇りも許せなかった。子どもが大きくなってくれば、一点どころかあちこちに曇りがありまくりで(笑)、包茎なんて微々たるものに思えるようになったけど……』(40代・小2のママ)
(4)ネットのせいで不安が大きくなった
『ネットでも「剥いてあげるべき」という言葉が多く見受けられ、おむつ替えのたびに「なんとかしてあげなきゃ」と焦っていた。ネットのない時代なら、「子どものペニスはこんなもの」と楽観的に考えられていたのかも? と感じる。実際、ネットで小児包茎の情報に触れるまで、子どもが包茎なのは当然だと認識していた。
下手にさまざまな情報が入ってくる現代は、メリットもあるのかもしれないがデメリットも大きいと思う。素人がインターネットで得た知識はどうしても中途半端で、今思えば、いらぬ焦りばかりが膨らんだ』(20代・5歳児のママ)
(5)母親教室でもっと詳しく説明してほしかった
『女の子と男の子を育児中。正直どちらも、“性器への疑問”はあった。男の子の包茎はもちろん、たとえば女の子の性器もどう拭けばいいのか……。
出産前の母親教室に参加した際、“オムツの替え方”についての説明を受けたこともあるけれど、「ここをこうやってオムツを脱がして〜」までは具体的な説明をしてくれるのに、「脱がしたら綺麗にしてあげましょう」みたいな感じで、一番知りたいところをボカして説明される。
教室で使用する人形も、当然だけど性器がリアルなわけじゃないので、ツルツルの何もない股間を拭く動作だけして教室終了! あれじゃ何もわからない。母子手帳を受け取るタイミングや母親教室なんかで、もっと性器について踏み込んで触れてほしいと感じた。
とくに男の子のペニスについては、自分には無い器官なのでボカされると本当に何もわからない』(30代・3歳児のママ)
男の子を育てるママであれば、大なり小なり“息子のペニス問題”を気にかけたことがある印象を受けました。
また、インターネットが普及した現代だからこそ、さまざまな情報に触れることで不安や焦燥感が増長されているのでは? という声もあり、ネットが持つ便利さ以外の側面が垣間見えます。
包茎心配症候群が加速し、独断で無茶な処置をしてしまった場合、誤ってペニスが傷ついてしまうケースもある様子。
「できるかどうかわからないけど……イッチョやってみるか!」と決断するくらいなら、いったん忘れて様子を見た方が賢明なのではないでしょうか。
小児包茎は病気ではありません。痛がるわが子を押さえつけて無理やり剥く必要はないのです。
繰り返し包皮炎が起こる、おしっこが飛び散る、包皮が膨らむ、などの異常が起こらない限り、過度な心配をせず心に余裕を持って成長を見守ってあげましょう。
わからないことは、わかる人に聞けばいい!
わが家の小児包茎問題は、結局パパへ丸投げすることで決着しました。
無責任なように感じられるかもしれませんが、ペニスの皮を剥くにしても、そのまま様子を見るにしても、母親である私では加減がわかりません。
それならば、私よりも詳しいはずであるパパに任せてしまった方が適任だと感じたからです。
息子たちのペニスの皮は剥かれたのか否か……。それは彼らのコアなプライバシーに関わるので、ここでの明言は控えておきます。
どちらにしても、自分よりも詳しい人が常に家にいると思えば、私自身の気持ちも幾分か楽になったことは事実です。
わからないことがあるのなら、わかる人に聞くべきです。とても基本的なことですが、これは当然育児にも当てはまります。
わからないことをネットで調べる時代ですが、それでも理解しきれないこともあるでしょう。それなら、詳しい人に聞けば済むことなのです。
相談者様のご主人は“放っておけ派”である様子ですが、相談者様が抱く心配や不安を全て話した上での意見なのでしょうか?
病気のリスクがある話をご主人にお話ししましたか? 不安や疑問をきちんと打ち明けて、一度話し合いの場を設けてみてはいかがでしょう。
大切な“息子の息子”の問題であれば、たとえ無関心を決め込むタイプのパパであっても、真面目にならざるをえないはず。
「それでも頼りない!」と感じるのであれば、独断で判断せず病院で相談してみてください。
定期検診での問診や、病院での予防接種など、赤ちゃんが小さいうちは小児科医と何度も顔を合わせるチャンスがあります。
彼らは多くの赤ちゃんが成長していくのを見届けてきた、子どもの体の専門家。恥ずかしがらず、ぜひ勇気を出して聞いてみましょう。
その一歩から、息子さんのペニスとママの精神状態の未来は開けてくるはずです。
【参考文献】
・『ママもパパも知っておきたい よくわかるオチンチンの話』岩室紳也・監修
●ライター/木村華子(ママライター)