STOP食中毒! 夏場でも傷みにくいお弁当作りのコツ
2016年3月18日 | よみものSTOP食中毒! 夏場でも傷みにくいお弁当作りのコツ

【1児のママからのご相談】
今年から子どもが幼稚園に通い始め、週に1回お弁当を作るようになりました。
暑くなってくるとお弁当が傷んだりしないか心配です。
できるだけ安全なお弁当作りのコツを教えてください。
傷みにくいお弁当作りの基本をおさらい!
ご相談ありがとうございます。転勤族フリーライターのパピルスです。
あるアンケートでは、「保護者が夏場のお弁当作りで注意していること」として「食中毒・食べ物の傷み」という回答が9割を超えていました。
気になるのは、その方法。
おさらいの意味も込めて、傷みにくいお弁当を作る基本をまとめてお伝えします。
夏のお弁当は調理前から注意が必要!

夏場のお弁当を傷めさせないためには、食材選びやお弁当箱の扱い方にも注意が必要です。
意外とケアをおろそかにしている人も多いので、しっかりチェックしするようにしましょう。
食材は新鮮なものを選ぶ
お弁当のおかずは、新鮮な食材で作ること!
当たり前のことですが、古くなった食材をお弁当に使うのはすっぱり諦めましょう。
お弁当箱はしっかり殺菌
極端な話、お弁当に菌がいなければ食中毒は起こりません。そのため、お弁当箱はしっかり殺菌しておくことが大切です。
殺菌の方法として一番良いとされているのは、一度食器用洗剤で洗った後、熱湯にかけて菌を死滅させること。
しかし、お弁当箱によっては熱湯に耐えられない素材のものもあるので、その場合は塩素系の漂白剤の中に漬けておくと殺菌できます。
また、キッチンペーパーにお酢をつけてお弁当箱を拭き、抗菌しておくのも効果的です。
お弁当箱の保管場所
せっかくお弁当箱を無菌状態にしても、保管する場所が菌だらけだったら意味がありません。
なるべく湿気が少なく冷たい場所に保管するようにしましょう。
水場が近い場所や風通しの悪い場所は細菌が繁殖しやすいので、保存場所には不向きです。
関連記事:殺菌はマメに! 気温が高い時期のお弁当を傷みにくくするコツ5つ
夏場の食中毒を防ぐ“調理時の留意点”6つ

(1)素手で食べ物に触れない
お弁当を作る際は、事前に手洗いをして滅菌しておくことが前提ですが、食材や調理器具などを触っているうちに細菌が付着することもあります。
そのため、食材に手で触れることはなるべく避けた方が良いです。
おにぎりを握る際などは、直に手で触れるのではなく、ラップを使用するようにしましょう。
また、塩を混ぜると抗菌作用が増します。
(2)ご飯に小さじ一杯のお酢を混ぜる
炊きたてのご飯は水分を多く含んでいるため、細菌が繁殖しやすくなっています。そこで、強い抗菌作用を持つ“お酢”を混ぜましょう。
お酢の量としては、ご飯3合に対して小さじ1杯で十分だと言われています。
このぐらいの量であれば、ほとんどお酢の匂いはしないため、「酢飯は臭いから嫌い……」という人にもオススメです。
(3)味付けは濃い目にする
塩には殺菌・抗菌効果があります。
近頃は減塩調理が主流になっていますが、お弁当用の食材に関してはなるべく塩分多めにすると良いです。
もちろん、あまりにも塩を入れすぎると塩分過多になってしまいますので、あくまでも“濃く”するのではなく、“濃い目”にすることを心がけましょう。
(4)なるべく水気を切る
おひたしや煮物などの水分の多い物は、なるべく水気を切るようにしましょう。
例えば、おひたしの場合はかつお節をかけて水分を吸収させる、煮物の場合は完全に煮詰めて水分を飛ばす、などの工夫ができます。
また、食材に醤油やドレッシングをかける場合は、別の容器に分けて入れ、お弁当を食べる直前にかけるようにしましょう。
お弁当の人気食材であるプチトマトも傷みやすいので、ヘタをとり、キッチンペーパーなどで水気をしっかりとるように。
水分は細菌の繁殖を助ける要因の一つなので、ここは徹底するようにしたいところです。
(5)食材にしっかり火を通す
おかずのメインになることが多い肉や魚、卵はしっかりと加熱することが大切。
定番の卵焼きや、ゆで卵も半熟の部分が無いように、しっかり加熱した物を入れましょう。
冷凍保存してあった肉や魚は、しっかり解凍してから調理しないと、外は焼き色が付いていても中が半生な状態のままということも。
肉や魚の中心部まで、きちんと加熱されているかがポイントです。ハンバーグや肉団子、から揚げなどは中心部まで火が通っているか注意しましょう。
極端ですが、“お弁当箱に入れるものは全て加熱した方が良い”という認識でいた方が安心です。
(6)残り物のおかずもきっちり加熱する
「一度加熱してるから大丈夫でしょ」と、前日のおかずをそのまま使う人もいますが、熱を通してから一日経ったおかずは絶対に再加熱するようにしましょう。
殺菌の目安は、“75度以上の温度で1分以上加熱”です。
関連記事:子どもを食中毒から守る! お弁当のおかずを傷みにくくするコツ5つ
夏場のお弁当に食材を詰めるときの注意点5つ

(1)ご飯を温かいまま入れない
食材が温かいうちにお弁当箱に詰めてしまうと、水蒸気が発生して細菌が繁殖する原因になるため、食材は必ず冷ましておく必要があります。
しかし、ご飯の熱はなかなか取りづらく、「時間がないから」とまだ温かいうちに詰めてしまう人も少なくありません。せっかく他の食材を冷ましても、これでは意味がないですよね。
そこで、ご飯を冷ます際は、いったんお皿に取り分けることをオススメします。
なるべく広げておくことで、炊飯器の中で冷ますよりも格段に時間が短縮できるからです。
(2)お弁当箱のフタにわさびを塗る
わさびにはアリルイソチオシアネートという辛み成分が含まれていますが、これは抗菌効果を持っています。
そのため、お弁当箱のフタにわさびを塗っておくと、細菌の繁殖を防いでくれると言われています。
食材をお弁当箱に詰め終えたら、最後にわさびをフタに塗って終わり! という風に習慣にしちゃいましょう。
(3)食材を詰める際はお箸を使う
食材をお弁当箱に詰めるとき、「手洗いしたから大丈夫」と思わず手でやってしまうことってありますよね。しかし、食材に手で触れるのはNG。
最初に手洗いをしていたとしても、調理の最中に細菌が付着しています。面倒だと思うかもしれませんが、食材を詰める際は必ず清潔なお箸を使うようにしましょう。
(4)食材と食材の間を仕切る
一つの食材が傷んだとき、となりの食材がくっついていると、細菌が移ってしまいます。そのため、食材と食材の間は仕切っておく必要があります。
アルミカップやバランなどを活用すると便利ですよ。ちなみに、レタスなどで区切る人もいますが、生野菜は傷みやすいのでNGです。
(5)保冷剤を使う
食中毒の原因となる菌は、10〜60度くらいの温度で繁殖します。そのため、お弁当を傷ませないためには、温度を下げる工夫が必要です。
普通の保冷剤を使うのも効果的ですが、冷凍食品をそのまま保冷剤代わりに使うとスペースも節約できて一石二鳥です。また、ゼリーを凍らせて入れる人もいます。
ここで注意してほしいのは、冷凍食品が入っているからといって長く放置しないこと。
冷凍食品は保冷剤としての役割を終えると、水気たっぷりの食材となり、細菌を繁殖させやすくします。なるべく早めに食べるようにしましょう。
関連記事:食べる時にピリピリする!? 冬でも起こる「ヒスタミン中毒」の症状と対策
夏場は避けたいお弁当の食材5つ

(1)卵
卵はサルモネラ菌によって食中毒が起こりやすい代表的な食材として有名です。そのため、お弁当の食材には不向きです。
完全に火を通したものであれば大丈夫ですが、夏場はなるべく避けた方が良いでしょう。
(2)ジャガイモ
ジャガイモは水分の含有量が多く、細菌の繁殖場所となってしまいます。
また、火を通すのに時間がかかることから、不完全な加熱状態で詰められることも少なくありません。でんぷんを多く含んでいるため傷むのも早いです。避けるようにしましょう。
(3)マヨネーズ
実はマヨネーズもNGです。酢が入っているのでマヨネーズ自体にはあまり問題ありませんが、油を多く含んでいるため、他の食材と混ぜると水分が出やすくなります。
そのため、お弁当の定番であるポテトサラダやマカロニサラダは避けるようにしましょう。どうしても使いたい場合は別容器に用意するようにしましょう。
(4)ちくわやかまぼこなどの練り物
ちくわやかまぼこなどの加工品も傷むのが早いので、お弁当食材には不向きです。入れる際は必ず火を通してからにしましょう。
(5)チャーハンや炊き込みご飯
具入りのごはんは傷みやすいので、この時期は避けた方が無難です。
関連記事:ママは絶対読んで!赤ちゃんが口に入れてはいけない食べ物一覧!
夏のお弁当に入れたい食材5つ

(1)梅干し
梅干しにはクエン酸が豊富に含まれており、強い抗菌・殺菌作用があります。また、胃腸の働きを助ける効果もあります。
梅干しを入れる際は、日の丸弁当のように1か所に置くのではなく、ご飯に混ぜ込んだり散らしたりして弁当全体に行き渡るようにしましょう。
(2)お酢
お酢は非常に優れた防腐・殺菌効果をもっています。梅干しと同様にご飯に混ぜ込んだり散らして使用すると効果的です。
(3)ショウガ
ショウガには、ショウガオールとジンゲロールという殺菌成分が含まれており、食欲増進効果もあるので夏のお弁当にオススメです。傷みやすい食材と混ぜると効果的です。
(4)カレー粉
カレー粉の材料の一つに、ウコンがあるため高い防腐効果があります。気軽に味付けとして使えるのでとても便利です。
(5)大葉
食欲を増進してくれる独特な香りも持つ大葉ですが、強い抗菌・防腐効果も兼ね備えています。肉や野菜にくるんだりして活用しましょう。
関連記事:時短もデキる!? 子どもの食中毒を防ぐ“お弁当作り”の裏ワザ3つ
夏のお弁当を食中毒から守る便利グッズ

お弁当の傷みを防ぐために、さまざまなグッズが発売されています。これまで使う機会がなかったという方は、ぜひ参考にしてみてください。
(1)お弁当用の抗菌シート
わさびやからしの成分が含まれている抗菌シートなので、安全性面でもバッチリです。使い方は、出来上がったお弁当の上にかぶせるだけ。抗菌効果は8時間持つものが多いです。
(2)ランチジャー
魔法瓶型のお弁当箱で、菌が繁殖できない高温状態のまま保存しておくことができます。容量もたっぷり入るものが多いので、学生などにオススメです。
しかし、ほとんどのランチジャーは保温効果が6時間程度しかないので、それ以内に食べるようにしましょう。
(3)冷凍できるシリコンカップ
食材同士がくっつかないように仕切ることができます。また、冷凍にも対応しているので保冷剤代わりにもなります。カラフルでオシャレなものも多く売られているので、ぜひ使ってみてください。
(4)保冷剤一体型のお弁当箱
フタに保冷剤がついているため、お弁当が傷むスピードを緩和してくれます。保冷剤の取り外しも簡単なので、使い勝手抜群です。
(5)保冷バッグ
見た目は普通のビジネスバッグですが、保冷剤を入れるポケットがついており、高い保冷機能があるバッグです。
ちなみに、普通のビジネスバッグとしての使い勝手も良いそうです。
(6)アルコールスプレー
洗って乾燥させておいたお弁当箱にシュッとひと吹きするだけで雑菌対策ができます。
アルコールはすぐに蒸発して乾燥するので、布巾などで拭く必要はありません。
関連記事:綺麗に見えて雑菌だらけ!? “夏のふきん”を清潔に使い続けるコツ4つ
まとめ
「お弁当が傷まない調理法」や「夏のお弁当にオススメの食材」などについてご紹介してきました。
夏場のお弁当は油断するとすぐに傷んでしまいます。楽しいはずのお弁当の時間が、食中毒のきっかけになることは避けたいですね。
お弁当の食中毒対策はちょっとしたひと手間でできるので、明日から始めてみませんか?
●ライター/パピルス(フリーライター)
●追記/パピマミ編集部
●モデル/倉本麻貴(和くん)
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