旅行中に交通事故! わが子をケガさせた友達家族に治療費は請求できるか
2016年3月8日 | よみもの旅行中に交通事故! わが子をケガさせた友達家族に治療費は請求できるか

【ママからのご相談】
先日、子どもがお友達親子に誘われてスキーに行ってきました。お友達のお家はよくスキーに行くらしく、雪山には慣れているだろうと思い子どもを預けました。
しかし、スキー自体は何もなく無事楽しめたようなのですが、帰宅時に雪が降っていたため、視界が悪く車が山道で事故を起こしてしまったのです。
お友達親子もケガをしているので言いにくい部分はあるのですが、自分の子どもは骨折をし、かなりの大けがを負ってしまいました。
こういった場合、運転していたお友達家族に治療費等の請求することはできるのでしょうか。
お友達家族に請求することができます。
ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の篠田恵里香です。
せっかくのスキー旅行が事故でケガとは、お気の毒ですね。この場合、運転していたドライバーの方に治療費や慰謝料の請求ができます。
ただ、ドライバーの方ご本人が負担するのではなく、基本的には加入されている自動車保険(自賠責と任意保険)から支払われますので、さほど気兼ねする必要はないと思われます。
ぎくしゃくするよりはしっかり請求した方がよいでしょう。

誰に請求すればいいの?
自動車が単独事故を起こし、同乗者がケガをした場合、ドライバーが“加害者”、同乗者が“被害者”という立場になります。
この場合、不法行為(民法709条)に基づき、同乗者はドライバーに対し、治療費や慰謝料などの損害賠償請求ができます。
強制加入である自賠責保険はもちろんのこと、通常はドライバーの方が“任意保険”にも加入していることが多いため、治療費や慰謝料などについては、全額保険会社が負担するのが一般的です。
仮に加入が自賠責保険のみということであれば、自賠責は賠償額に制限があるため、この制限を超える部分につき、ドライバーの方にご負担いただくことになります。
保険の種類によってもらえる金額が変わる?
ここで、“人身傷害保険”や“搭乗者傷害保険”という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
両者とも、“事故を起こした自動車の運転手や同乗者のケガ・死亡につき保険が下りる”保険ですが、支払われる保険金の計算方法や補償の範囲が異なってきます。
簡単に言うと、人身傷害保険は、「ドライバーの過失に関わらず、実際に生じた損害全てを補償する保険」であり、搭乗者傷害保険は、「ケガの症状によってあらかじめ決められた定額を支払う保険」です。
もちろん、両方に加入している場合が一番払われる保険金額が大きいということになります。
今回は、単独事故のようなので、基本的にはドライバーが100%過失ありとなり、ドライバー自身のケガについては、人身傷害保険が非常に大事になってきます。
今回のケースと異なり、別の車に追突されたということであれば話は別です。
停車中に別の車に追突された場合などは、原則として追突してきた車が100%悪いので、追突してきた車のドライバーに対して、こちらの過失も認められる状況だった場合には、過失割合に応じてそれぞれのドライバーに請求することになります。
この場合も、それぞれのドライバーの保険を使うことになるでしょう。
保険会社の賠償金は少ない!?
事故の被害に遭ったとき、治療費は全額支払ってもらうのはもちろんですが、損害賠償には“保険会社基準”と“裁判所基準”の2つの数値が存在しています。
“保険会社基準”の損害賠償は“裁判所基準”と比べて慰謝料などの金額は低く設定されてしまうことが通常なので注意が必要です。
一度示談をしてしまうと、よほどの事情がない限りやり直すことはできませんので、一度弁護士に相談してから慰謝料などの保険金を受け取ることをおすすめします。