低収入で払えない! 「親の入院・介護費用」に悩む人へのアドバイス
2016年3月8日 | よみもの低収入で払えない! 「親の入院・介護費用」に悩む人へのアドバイス

【パパからのご相談】
40代男性です。80歳の母親がケガで入院し、要介護認定を受けました。
退院する際には数十万円の医療費の支払いが待っています。また、転院ないし転所して最低限のリハビリをしてから帰って来ることになります。その費用だって数十万円はかかります。
私は勤めは持っていますが非正規職なので数十万円という金額はあまりにも重いです。しかもきょうだいもおらず、母の年金額も微々たるものです。
これから支払うことになる入院費・入所費や介護にかかる費用のことを考えると絶望的になります。どうしたらいいのでしょうか。
一人で悩まず、ケアマネジャーに相談しましょう。
こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。
ご相談者様、同じような問題で頭を抱えているのはご相談者様だけではありません。筆者だってそうですし、日本中に同じ問題で悩んでいる人が数えきれないくらい存在しています。
けっして一人で悩まず、まずは専門家に相談してみましょう。
ケアマネジャー(略称ケアマネ=介護支援専門員)という有資格者が、お住まいの地域の包括支援センターいますので、まずは相談してください。家庭の経済的な現況を相談すれば、いろいろと教えてくれるはずです。
ケアマネさんがくださる情報を取捨選択するのはご相談者様自身ですが、意思決定に必要な有益な情報をもらえることだけは、間違いありません。

公的介護施設の平均月額費用
もちろん、リハビリ病院ないし施設に入るためのお金が全くない場合は、お母様を在宅でサポートするしかないのかもしれません。
ただその場合でも、ケアプランニングの専門家であるケアマネジャーの人に相談すれば、より費用対効果の高い案を考えてもらえます。
お母様がご不自由な体でもある程度自力で日常生活を送るのに必要な備品代や人的支援の費用として月々数万円程度はかかるかと思いますが、それに関してもケアマネジャーが何らかの情報を持っている可能性があります。
数か月間でも体系的なリハビリを行える病院ないし施設に入るためのお金が何とかなるのであれば、今、投資のつもりでリハビリに資金を投じることは間違いなく“生きた使い方”になるはずです。
ちなみに公的介護施設の平均月額費用は、おおまかに言うと次のような金額になります。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
月額5~15万円。原則、要介護3~5の、常時介護が必要で居宅での生活が困難な人が入所して、日常生活上の支援や介護が受けられます。
介護老人保健施設(老人保健施設)
月額5~15万円。要介護1~5の、状態が安定している人が、在宅復帰できるよう、リハビリテーションを中心としたケアを行います。
介護療養型医療施設(療養病床等)
月額7~17万円。要介護1~5の、急性期の治療を終え、長期の療養を必要とする人のための医療施設です。
『これらの公的施設は比較的安い値段で利用できることもあり人気が高いことから、入所まで数年待ちという場合も多いので、より詳しい情報をケアマネージャー経由で収集されるといいでしょう』(40代女性/都内民間総合病院勤務・ソーシャルワーカー)
専門家でなければわからない情報もあり、絶望は禁物
認知症高齢者グループホーム(平均月額12~18万円)や有料老人ホーム(平均月額10~30万円)、サービス付き高齢者向け住宅(平均月額10~15万円)といった、いわゆる“民間施設”の場合はどうでしょうか。
ケースバイケースではありますが公的施設よりは総じて割高で、「保証金」や「入所一時金」も必要となる場合がほとんどなので、ご相談者様にご紹介すべきような選択肢にはなりえないかもしれません。
ただ、いずれにしてもご相談者様一人で抱え込まずに専門職の人と相談されることを強くお奨めいたします。
自治体によりますが、収入が少ない人向けの補助の制度が用意されている場合もあります。そのような情報も、専門家でなければわからないことが多いのです。
ご相談者様自身もおっしゃっているように、非正規のお勤めの収入で今回の出費は本当におつらいこと、お察しいたします。人ごとではありません。
それでも、真面目に納税してきているご相談者様であれば、ケアマネジャーの人の知恵と知識を借りれば何らかの道が見つかる可能性は高いです。
そのことだけは忘れずに、希望を捨てないでください。
●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)