タイムアウトより効く!? 子どもを叱らずしつける「タイムイン」の知識
2016年2月24日 | よみものタイムアウトより効く!? 子どもを叱らずしつける「タイムイン」の知識

こんにちは、保育士ライターのyossyです。
皆さんは、子どもがぐずったときにどのように対処していますか?
落ち着いて諭そうと思っても、興奮した子どもをなだめるのは大変。なかなか言うことを聞いてくれません。
つい声を荒げてしまうことがある……という人も多いでしょう。
子どもが言うことを聞かないとき、アメリカでは“タイムアウト”という方法を使うのがメジャー。
日本でも実際に取り入れている家庭はあるはずです。
しかし、近年タイムアウトに対しては批判も出てきています。
今回は、その理由や新しく注目されている“タイムイン”についてご紹介しましょう。
“タイムアウト”は子どもを1人にしてクールダウンする時間
では、そもそもタイムアウトとはどのようなしつけ法なのでしょうか。
よくスポーツの試合でタイムアウト中に作戦会議や水分補給を行いますが、まさにあのようなイメージ。子どもがぐずったときに、一旦その場から離れてクールダウンする時間を設けるのです。
より具体的な方法をご紹介しましょう。
子どもが何かよくない行いをしたら、まずはそれをやめるように伝えますよね。
そして、何度か言っても聞かなければ、「やめなければタイムアウトだよ」ということを伝えます。
このとき、終始親は落ち着いていることが大切です。
それでもやめない場合、家庭であればどこか決められた椅子など、指定の場所に子どもを1人にします。
ただし、狭いところや暗いところに閉じ込めることはせず、親の目の届く場所で。
そして、なぜタイムアウトを行うのか、何を考えてほしいのかをきちんと伝えます。
タイムアウトの時間の目安は“年齢×1分”。5歳なら5分というわけです。泣き叫んでいて冷静ではない時間はカウントしません。
タイムアウトが終わったら、子どもに理解できたかどうかを確認します。まだわからないようであれば、しっかり説明しましょう。

本来の意味から離れて“懲罰”になってしまう家庭が多い
タイムアウトは、本来、親子ともに冷静になれる時間のはずです。
しかし、懲罰的な意味合いで使用している家庭が多いことに対する批判的な意見も出てきています。
特に子どもが幼い場合や親が冷静さを欠いている場合はうまくいかないことが多いのです。
下記のような例は不適切な使用方法だと言えるでしょう。
・子どもが「親につきはなされた」と感じて怖がる、孤独感を感じる
・親が脅すように「もうタイムアウトだからね!」などと言ってしまう
・タイムアウトの時間が単なる“罰”になっている
“タイムイン”の時間を設けて子どもの言い分をしっかり聞こう
代わりにダニエル・J・シーゲル博士らが推奨しているのは、“タイムイン”という方法。
タイムインでは、子どもを落ち着かせるために、まずは親が近くで静かに寄り添いながら子どもの言い分を聞きます。
ここではどんな言い分も否定せず、受け止めるようにしましょう。
そして、ある程度子どもが冷静になったら、今後はどうしたらいいか親子で話し合うようにするのです。
すぐに正しい行動をさせようとせず、冷静になる時間を設けるという意味ではタイムアウトと同じですね。
でも、しっかり親がそばにいて支えてあげることで子どもが孤独感を抱くことはありません。
また、話をしっかり聞いて受け止めることで親子の信頼関係も築けるのです。
子どもに寄り添う“タイムイン”は日本の育児観に近い
アメリカ流のタイムアウトに比べて、タイムインのほうが日本のパパ・ママにとっては挑戦しやすいかもしれませんね。
興奮したり泣いたりしている子どもが落ちつくまで親が寄り添っている家庭は多いでしょう。
また、近年は「頭ごなしに叱ってはいけない」ということを意識している家庭も増えているのではないでしょうか。
心理セラピストの星一郎氏も、『親があれもダメこれもダメ、と禁止事項ばかり増やしていると、子どもがやる気を失ってしまう』と述べています。
また、ひとつの答えを与えるのではなく、複数の選択肢を与えて子ども自身が今後どうすべきかの道を選ぶことが重要なのだとか。
タイムインにおいては“親子で話し合う”ということが重要視されていますが、親が完全に主導権を握ってしまってはあまり“話し合い”の意味がありません。ぜひ、子ども自身に考えさせてあげたいものです。
子どもの叱り方は、親にとって永遠の課題ですよね。タイムインはしっかり子どもと寄り添える利点がある一方、親にとっては少し手間がかかり簡単ではないかもしれません。
しかし、叱っても子どもが言うことを聞かずに悩んでいる人は試してみる価値があるのではないでしょうか。
【参考文献】
・『アドラー博士が教える 子どもの「くじけない心」を育てる本』星一郎・著
●ライター/yossy(フリーライター)