ほぼ自覚症状ナシ!? 妊娠初期に起こりやすい「絨毛膜下血腫」の注意点
2016年2月22日 | よみものほぼ自覚症状ナシ!? 妊娠初期に起こりやすい「絨毛膜下血腫」の注意点

【ママからのご相談】
2人目の子どもがお腹におり、現在妊娠8週目です。心拍も無事に確認でき、予定日も決まりました。
ほっとしたのもつかの間、突然の出血があり病院へ行くと、『絨毛膜下血腫』との診断を受けました。
血腫が大きく、流産の危険もあると言われて不安です。
自宅安静で様子を見るか、管理入院をするかを選択しなくてはならず、大変悩んでいます。
『絨毛膜下血腫』をよく知ることから、始めてみましょう!
ご相談ありがとうございます。ママライターのあしださきです。
妊娠初期は心配が多い時期ですが、突然の出血でさぞ驚かれたことでしょう。
心拍を確認することでひと安心できるはずが、また不安になってしまいますよね。
入院か自宅安静か選ぶ、その決断は難しいです。
まずはこの『絨毛膜下血腫』がどのようなものであるかをご自身が早めに知るということが必要かな、と思います。
なぜならご家族への説明や、必要なサポートを考える手助けになるからです。
『妊娠・出産新百科』によりますと、この絨毛膜下血腫は、“あまり心配のない出血”という分類になっていますので、まずは少しご安心くださいね。
絨毛膜下血腫は、妊娠の比較的初期にわずかに見られ、妊娠中期までに消滅するのは良くあることです。
私は3人の子どもを出産していますが、長男のときと次男のときにご相談者様と同じ絨毛膜下血腫と受診したお医者さんに診断されました。
長男のときは9週のときに大出血をしてしまいました。絨毛膜下血腫の診断書を渡され、選択の余地なくすぐに2週間の管理入院となりました。ベッドで横になっているとき、チクチク痛みがあったのを覚えています。
その後血腫は消失し、無事に出産できました。次男のときは診断後に自宅安静か管理入院かを自分で選択することに。
このときは、約2週間トイレ以外は寝て過ごすという、自宅安静を選択しました。
その後同じように血腫は消失して、無事に出産できました。こうした体験からもアドバイスできることがあるのではないかと、思っています。
どんな病気? 切迫流産の症状のひとつです!
絨毛膜下血腫とは、胎盤が作られる妊娠初期に多く見られる症状です。
妊娠は受精卵が子宮の内膜に着床することで確定となります。
受精卵は胎児の方から羊膜、絨毛膜、脱落膜の三つの卵膜に包まれており、着床すると絨毛が子宮内膜に伸び、胎盤が出来ます。
時々うまく絨毛膜と脱落膜が密着できておらず、これらの間に出血が溜まっている状態が見られます。
これを「絨毛膜下血腫」といいます。出血やおなかの張りがある場合と自覚症状がない場合があります。
全妊娠の1.2%に見られ、また切迫流産の患者の5.4~18%に見られるという報告があります。
切迫流産とは“流産になる心配がある”ということですが、現在は超音波断層法で胎児の心拍動が確認できれば98~99%の確率で流産はしないとされています。
診断されたらどうすればいい? 出血が多い場合は安静にします
薬による治療法が確率されていないため、慢性化した場合や出血量によっては安静を指示される可能性もあります。安静指示の1つの選択肢として、管理入院もあります。
切迫流産と診断されても妊娠経過が順調なら、特別な治療はしませんが、病院によってはお腹の張り止めや、止血剤を出すところもあるようです。
上のお子さんがいるママさんの場合自宅での安静が難しく、入院することで日常の家事やお子さんのお世話などで無理をしてしまう心配がないという意味でかなり有効であると思います。
このときに必要なのは、ママの入院中に上のお子さんを預かってくれる人。主にママ自身のご両親または夫のご家族……のサポートです。仕事で忙しいかもしれませんが、妊婦さんを助けてあげてほしい。
また自宅で安静にするためにも、ご家族のサポートなくしては難しいのです。とにかく安静にしていることが何より血腫による出血を長引かせない方法です。
「これくらいの家事なら大丈夫か?」の判断は自分ではできません。
かかりつけの産婦人科医師の見解では、“トイレ以外は横になっている状態”が出血しているときにおける安静の基本だそうです。
赤ちゃんへの影響は? 症状が治まれば問題ありません
妊娠が正常な経過をたどっていれば、胎盤が完成される妊娠4、5か月には症状が治まるはずですから、赤ちゃんへの悪影響のリスクはありません。
絨毛膜下血腫は出血という自覚症状があると非常に心配になりますが、ほとんどは自然に吸収されて問題なく妊娠を継続できます。
たとえ血腫が見つかったとしても、妊婦検診時に赤ちゃんの心拍がきちんと確認できていれば、順調に胎児は成長していると言われています。
私の2回の絨毛膜下血腫の経過でも、胎盤が完成するころには大きかった血腫が小さくなり、やがて吸収されてしまいました。
先生からの安静の指示もそれに伴い解除され、またいつものように幼稚園の送り迎えや上の子の公園遊びにも問題なく出かけることができるようになりました。
だからあまり不安になりすぎなくてもいい、ということだと思います。
最後に! 筆者の実際の体験から
血腫は赤ちゃんの成長に伴って移動することがあります。
血腫が子宮口から離れた位置にあれば、出血がぴたっと止まったように感じられる時期もあります。
しかし安静にしていて出血が止まったと思って安心していると、また突然たくさん出血してしまうときがあります。
わたしはそれを何度か経験し、血腫の位置が子宮口付近に移動してしまったためだと説明を受けました。
8週目くらいから安定期の16週くらいまで、実に長いお付き合いになる血腫ですが、なかなかのくせ者なのです。
その度にとても落ち込み、この出血がいつまで続くのだろうと嫌になってしまいました。
しかし負けずに赤ちゃんは元気に育ち、本当に16週ごろには血腫が吸収されたのです。
繰り返す出血についての知識があれば、実際に同じことがあってもご相談者様の気持ちが楽になるのではないか、という思いで参考までに、体験談をご紹介させていただきました。
まとめ
ご家族の皆さん、かわいいお子さんのご誕生を毎日のように楽しみになさっていることと思います。
絨毛膜下血腫は、安静と時間の経過によってほとんど問題ありません。
ご相談者様、上のお子さん、ご家族の皆さんにとって、このまま一番よい状況で安静生活が過ごせますように。
【参考文献】
・『妊娠・出産新百科』ベネッセコーポレーション・編
●ライター/あしださき(元モデル)