未婚の娘は実家暮らし!? 若者の独身率とライフスタイルに関係はあるのか
2016年2月10日 | よみもの未婚の娘は実家暮らし!? 若者の独身率とライフスタイルに関係はあるのか

【ママからのご相談】
娘が結婚しようとしません。私自身は早い結婚で、18のときに結婚、19のときに娘を生みました。
もう30も近いというのに、結婚どころか、彼氏をつれてくる気配すらありません……。
もちろん結婚が人生のすべてではないし、手取りも低いので仕方ないと思います。
ただ、このまま実家に暮らし続けるつもりなのか、娘かわいさに一人暮らしをさせなかった自分が悪いのかといろいろ悩んでしまいます。
20代~34歳の独身者のうちの半数が親と同居しています。
相談者様はお早い結婚だったのですね。自分とはまったく違うライフスタイルを送っていらっしゃる娘さんに対して、不安に思う気持ちも大きいと思います。
特に昔なら、「結婚はしていないけど、家は出て一人で暮らしている」という層も多かったでしょうから、よけいに戸惑うでしょう。
ただ、現在ではライフスタイルも様変わりしています。また、その“原因”を娘さんだけに帰結させるのは、必ずしも公平とは言えません。

35歳未満の同居率とそれ以降の同居率
20歳~34歳までの独身者は、2012年の段階で、48.9%が親と同居しています。
1980年には、わずか29.6%に過ぎなかったのですが、それがここ30年で急増しました。
35歳~44歳の層でも、未婚者のうち、16.1%が親と同居しています。
1980年の段階ではわずか2.2%に過ぎなかった「親と同居の未婚者の割合」が急増しているのです。
もっともこれは、単純に“親と同居の未婚者が増えた”というだけの話ではありません。結婚をする平均年齢が右肩上がりに上がっていることも関係していると言えます。
1980年の場合、男性は平均して28.7歳で、女性は25.9歳で結婚していました。
しかし、2012年の段階では、男性の年齢は30.8歳、女性の年齢は29.2歳となっています。
“結婚を機に家を出る”という人が多いことを考えれば、この数字はそれほど不自然ではないのかもしれません。
深刻な影を落とす失業率の問題
もう一つ、避けては通れないのが「失業率」の話です。
20歳~34歳で親と一緒に住んでいる人のうち、2.8%の人が完全失業状態です。
過去最悪となったのは2010年の3.4%であり、増減を繰り返してはいますが、1980年の1.6%と比べると明らかに多い数字です。
35歳以降の場合、状況はもっと深刻です。2012年の段階では、6.2%の人が完全失業の状態となっているのです。
親と同居している独身者が17人いれば、そのうちの1~2人は職なしの状態なのです。
過去最悪となったのは2002年の9.1%ですから、それに比べて大きく改善したとはいえ、少なくない人が完全失業の状態であることがわかります。
ライフスタイルと経済事情
総務省統計局では、このような変遷の原因として、
『住宅手当の必要となる遠方からの応募者を嫌がり、実家から通える距離の女性を企業が選んでいること』
『日雇い労働者の所得の低さ』
をあげています。
一人暮らしはお金がかかるものであり、現状ではなかなか難しい……というケースは多いです。
しかしながら、一人暮らしをしている人の方が、結婚している割合が多いのは事実。
男女どちらでも、そしてどの年齢層でも、一人暮らしをしている方が結婚率が高いのです。
経済とライフスタイル。
それらをはかりにかけて、娘さんと話し合っていきたいものですね。
【参考リンク】
・様々な家族形態に関する研究分析 | 総務省統計研修所
・平成24年人口動態統計月報年計(概数)の概況 | 厚生労働省