偏見でしかない? 「三歳児神話」で苦労したママたちのエピソード集
2016年2月10日 | よみもの偏見でしかない? 「三歳児神話」で苦労したママたちのエピソード集

【ママからのご相談】
こんにちは。現在パートで仕事をしています。私に小さな子どもがいるとわかると「子どもにはママしかいないのに、かわいそう」「そんなにしてまで働きたいの?」などと言ってくる人たちがいます。
そんな言葉を言われすぎたせいか、最近では、日々成長していく子どもを見ていると、自分はワガママで、子どもとの貴重な時間を無駄にしているのではと罪悪感が芽生え、不安になることがあります……。
“量より質”。ママ自身のお金と時間も大切です!
こんにちは、ライターの佐原チハルです。
“三歳児神話”という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
“三歳児神話”に代表されるような「子どもが小さいうちは、母親は側にいるべき、いたいに決まっている!」という論は、どうやら根強い人気があるようですね。
しかし、ご相談者様のように、そうした論に苦しんでいるママたちはたくさんいます。

“三歳児神話”とは?
“三歳児神話”とは、「子どもが3歳になるまで(小さいうち)は、母親が側にいて自分で育てるべき」という論のことを指して言われる表現です。
“神話”とある通り、この論はすでに科学的根拠はないとされています。
とはいえ、全てが否定されたわけではありません。
“三歳児神話”には、
・子どもにとって、3歳までの発達は非常に重要である
・母親には母性があるのだし、子どもにとっては母親の愛情が一番大切である
・母親と触れ合っている時間が多くないと、子どもが歪んで育ってしまう
という、3つの要素が含まれています。否定されているのは後ろの2つです。
しかし、「3歳までの発達が子どもにとって重要である」と知っているからこそ、ママたち自身にとっても、三歳児神話は「無視しきれない」ものになってしまっているのかもしれません。
“三歳児神話”で苦労してきたワーキングマザーたちの声
『子どもを預けてまで仕事をするなんて、子どもへの愛情が薄いんじゃないか』
現在40代の会社員女性は、かつて夫の両親からそのようなことを言われ、とてもツラかったと話してくれました。
自分の両親は遠方に住んでいるとのことで、『助けてもらうたびに、「仕事なんて辞めればいいのに」と言われるのが苦痛だった』そうです。
『子どもを預けて仕事をしているからこそ、ますます「かわいい!」と思えるのかもしれない』
そう話してくれたのは、現在30代の会社員女性です。
『仕事をして自分の時間を持てているからこそ、子どものかわいさがひときわ感じられる。子どものためにがんばろうって思える』とのことです。
“三歳児神話”で苦労している専業ママの声
“三歳児神話”が専業ママには無害であるかと言えば、必ずしもそうではありません。
『子どもが小さいうちはできるだけ側にいたい、って言ったら、「親離れ・子離れできないようになる」と言われた。「三歳児神話なんて古いものを信じているママはダメだ」とも』
そう話してくれたのは、30代の専業ママです。
『自分の時間が欲しい気持ちも、もちろんある。24時間“子どものママ”だけでい続けるのはツラい』とも話してくれました。
『市の一時保育は、事前の予約が必要だから、突然体調が悪くなって病院に行きたくても使えない。それに1日3時間までだから、映画にも美容院にも行けない』
『産んですぐの保健師訪問では、「三歳までは子どもはママのところにいるのが一番」て言われた。そういう意識があるから、こんなにツラいんだと思う』とのことでした。
“三歳児神話”は、子どもが3歳になるまでのママの行動を大きく左右するものです。
「たったの3年間」と言われることもあるようですが、3年は決して短時間ではありません。
子どもが2、3人といる場合を考えれば、「3年間だけの我慢」とも言い切れません。
また、
『保育園に入れるにはフルタイムじゃなきゃ難しいから、仕事をするならフルタイム以外に選べない』
『託児サービス自体はあっても利用が大変だから、くっついていざるを得ない』
など、極端な時間の使い方しか実質できないようになっている、というような例が多い現状もあります。
もっと柔軟性のある、誰もが子育てしやすい環境になるといいですね。
【参考リンク】
・3歳児神話を検証する2~育児の現場から~ | 日本赤ちゃん学会
●ライター/佐原チハル(フリーライター)