愛情が空回り!? ママが陥りがちな「過干渉」と「過保護」の違いとは
2016年1月22日 | よみもの愛情が空回り!? ママが陥りがちな「過干渉」と「過保護」の違いとは

【ママからのご相談】
小学校高学年の双子の娘がいます。先日、娘たちから「お母さんうるさい!」と言われてショックを受けました。
子どもに対してよかれと思って言った言葉が干渉し過ぎていると思われたようです。
過干渉の自覚はありません。今後どうしたらよいのでしょうか?
意識をお子さんに向けるだけじゃなく、言葉のかけ方を変えてみましょう。
こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。
小学校の高学年ともなると、“プレ思春期”と呼ばれる時期に入っていますので、親のことを疎ましく感じてしまうことでしょう。
特に女の子であれば、精神面の成長が男の子よりも早いため、早い段階で干渉を嫌う傾向にあります。
しかし、相談者様にとっては、まだ危なっかしくて、つい口出しをしてしまうという心境でしょうか(私も高学年の息子がいますので、お気持ちはよくわかります)。
とはいえ、干渉し過ぎることは良くありません。お子さんの心の成長を阻害することにつながります。
過干渉のことをより知っていただき、対処の心持ちを持つことで、お子さんの成長に関する見方などが変わってきます。

“過干渉”と“過保護”の違い
この2つの言葉は同じ意味としてとらわれがちですが、まったく違う意味の言葉だということを知っておいて欲しいと思います。
・過干渉……子どもの行動などすべてにおいて、口出しや働きかけをして思い通りにさせようとすること。
・過保護……子どもが自ら決めたことを十分にサポートすることや、大事に見守って味方になること。
この2つの決定的な違いは、親が主体か子どもが主体かという点です。
過干渉の場合、どうしても親の思い通りにさせよう、指示に従わせようという気持ちが先立ってしまいます。
そのため、子どもの意思というよりも親の意思になりがちです。
過保護の場合、親がするのは、精神的(愛情表現や子どもを守り育てる)・物質的(生活に必要な環境・衣服・食事など)な面での子どものサポートをいいます。
過干渉が引き起こす問題点
子どもは、失敗の中から学び取らなくてはいけないこともあります。
しかし、干渉が過ぎてしまうと、失敗をする前に親が口出しをしてしまい、必要なことを学ぶことができなくなってしまいます。
また、「自分で決めて行動する」という成長に大切な機会を、親が奪ってしまうことにもなります。
そうなればどうしても精神面の成長が遅れてしまうので、良かれと思ってしたことが、逆効果となってしまいます。この場合、良好な親子関係を築くことができません。
心理学上、親には以下の3つの役割があります。
・抱くこと(愛情をかけること)
・行動に限界を設定すること(しつけなど)
・子離れ(自立させること)
この3つがしっかりできたとき、健全な人間関係を築くことができるようになると言われています。
しかし、干渉が過ぎてしまうと、不登校や引きこもりなど心に問題を抱えてしまうことになってしまうのです。
それだけでなく、逃げ出したい気持ちから夜の徘徊や、希死念慮(きしねんりょ:死にたいと思ってしまうこと)をしてしまう子どももいます。こういった点が大きな問題です。

過干渉にならないようにするために
過干渉と言われている、もしくは感じている親の場合、子どもにだけ目が向いてしまっていることがほとんどではないかと思います。
このような場合、親が他のことに目を向けることが解決策となります(しつけなど大事な部分では声を上げる必要がありますが)。
相談者様自身が習い事を始めたり、自分の趣味の時間を多く持ってみたりすることで、お子さんにだけ神経を持っていかなくて済みます。
しかし、それでも気になってしまうのが親ですよね。私も同じです。気にしないようにしてもすぐにそれができるかと言えばそうではないでしょう。
だから、少しずつ違う方へ向けるように心がけるだけでも違ってくるはずです。
それでもどうしても口出しをしてしまう場合は、心に訴えかける方法を取ってはどうでしょうか。
×「○○しなさい」
×「やりなさいって言ったでしょ!」
○「お母さん、こうしてくれるとうれしいな(こうされると悲しい)」
○「今のうちにやると、お得よ~」
お母さんを主語にして、気持ちを伝えることや、「お得」という言葉を使って、子ども自身が選ぶことができるようにしてあげると過干渉とは捉えなくなります。
大切なお子さんに「お母さんうるさい!」と言われたら本当に悲しいですよね。でも、お子さんも言いたくなかったけど心を守るために仕方なく発した言葉だったのかもしれません。
自分の意見を言えるようにすることやお子さんのプライバシーを保護することを少しずつ増やしていきましょう。
お子さんを信頼して任せるところは任せ、言葉のかけ方を変えるようにして干渉を少しずつ減らしてより良い関係を今からつくっていけば大丈夫です。
ご相談ありがとうございました。
【参考文献】
・『子育てハッピーアドバイス』明橋大二・著
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)