もしや愛情足りてナイ? 親の目ばかり気にする「いい子症候群」とは
2016年1月13日 | よみものもしや愛情足りてナイ? 親の目ばかり気にする「いい子症候群」とは

【ママからのご相談】
うちの長女(7歳)は、本当にいい子すぎて逆に心配です。下の子の面倒はよく見ますし、宿題も進んでします。
お手伝いも小1にしてはかなりのことをしていますので、正直なところ助かってはいるのですが、もしかして『いい子症候群』ではないかと不安です。
手をつなぎハグをいっぱいして、一緒にいる時間を増やして遊んであげましょう!
こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。
良くお手伝いをし、勉強も進んでやるし、その上兄弟の面倒もしっかりみてくれるとあれば、相談者様は手がかからなくて子育てが楽に感じていることでしょう。
その一方で心配に思われているお気持ちがあるのですね。そのお気持ちはよくわかります。
いい子症候群とはどのような状態をいうのか、親としての対応はどうすればいいのかなど、参考にしていただければと思います。

『いい子症候群』は優等生タイプの子どもに多い
この言葉を最初に使い始めたのは、教育評論家の尾木ママこと、尾木直樹さんです。
ご自身のお子さんがいい子で手がかからないと思っていたら、実は親の目を気にして親の喜ぶことをしてきてしまったということでした。
『いい子症候群』とは、常に、「どうしたら親や先生を喜ばせることができるか」を考えてしまい、自分の感情表現よりもそちらを優先し、活動の原動力にさえなってしまう心の状態をいいます。
最終的には、自分の意見を言うことがなくなってしまい、子どもが大人になるころには新型うつを発症させてしまう場合があると言われています。
いい子ほどストレスをためてしまう
聞きわけが良くて、親の言ったことをよく聞き、よく勉強し、進んでお手伝いをするような子どもを“いい子”としてみる人が多いでしょう。
親の話を素直に聞いて、言うことを聞くような子は、扱いも楽ですしそう思って当然です。しかし、こういった“いい子”ほど、ストレスをため込んでしまう傾向にあります。
「こんなことをしたら親が悲しむ」とか、「こんなことを言ったら嫌われるのではないか」など自分が取る行動を普通の子どもよりも気にしています。
表情は普通ですが、心の中は不安を感じやすく、傷つきやすいといっていいでしょう。
また、何でも積極的に動いたり、社交的で活発だったりして運動や勉強などにも一生懸命がんばることができます。
しかし、心身共に疲労とストレスをため込みやすいタイプなのです。ストレスを発散させられているか、確認してみましょう。
こんなときどう対応する?
まず始めに、親を嫌いな子どもなんていないということを知っておいてほしいと思います。
全ての子どもがどうやったら親を喜ばせることができるかと常に考えています。しかし、いい子症候群の子どもは、それが心に染みついてしまっている状態です。
「○○をしたらお母さんはどう思うかな」、「こうしたらお母さんが喜ぶかな」と常にそう考えてしまっているのです。
こういう子どもは、愛情を必要としている傾向が強いです。親に愛されているか不安で不安でたまらないので、親が喜ぶ顔を見て安心したいのです。
いい子すぎると感じたら、一緒にいる時間を増やして遊んであげましょう。できれば自然の中での遊びが一番いいです。
手をつないだり、抱きしめてあげたりしながら親が子どもの目線に合わせて愛情を注いであげることが一番の方法です。
それだけで、ストレスは解消されますし、不安な気持ちはだいぶ良くなります。そしてまた前に進んでいけるようになります。
私もかつては『いい子症候群』だったと思います。相談者様のお子さんと同じような行動をしていました。
そのときの気持ちは、「こうしたら親が喜ぶ」、「私が一生懸命やればいい」でした。
両親が、「子どもは楽しく遊ぶことが一番大事なんだ」と毎週末に遊んでくれました。きっと何かを感じ取ったのでしょう。
大人になった今、親と遊んだことがどれだけ大事だったかわかります。
尾木ママもこう言っています。
親はわが子と本気になって身体をぶつけ合うこと。すもうをとったり山登りで共通の汗を流したりするのが一番大切だ。子どもと同じ目線で遊び、生活をする時間と空間を多く持たないと、親の本当の思いや願いは伝わらないのだ。
相談者様のお子さんが必ずしも『いい子症候群』であるということではありません。素直な性格ということもあります。
お子さん自身が、うまくストレスの発散ができていれば、このような状態でも心配はないでしょう。その辺りを確認していただきたいと思います。
そして一度、お子さんの目線まで下がって、一緒に遊ぶ時間を持ってみてはいかがでしょうか。きっと愛情を感じて喜んでくれると思います。
ご相談ありがとうございました。
【参考文献】
・『ストレスから子どもを守る本』富田富士也・著
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)