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周囲の偏見がツライ! 「ダウン症の子ども」を育てるママへのアドバイス

周囲の偏見がツライ! 「ダウン症の子ども」を育てるママへのアドバイス

【ママからのご相談】
40代のママです。一人娘はダウン症です。出生前診断で、ダウン症をもって生まれてくることが分かったとき、夫はためらいましたが、私が「赤ちゃんが、生きてるんだよ」と言うと、泣きながら考えを変えてくれました。

最近は、ご近所のママ友の中に、表面親しくしていても陰で心ないひそひそ話をしている人がいます。そういう声が聞こえてしまうと、気になるし沈んでしまいます。そんなとき、どうしたらいいのでしょうか。

a “無知”に起因する偏見は世の常です。気にしないで、放っておきましょう。

こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ご相談ありがとうございます。

筆者は妻の親戚にも、友人の兄弟にもダウン症の方がいます。また、以前勤務していた医療福祉大学の附属病院でも何人かのダウン症のお子さんたちと面識がありました。

みなさん明るく、温厚で、お父さんやお母さんのことが大好きで、しかも作業所やスーパー、新聞配達店、NPO法人などで立派に働いています。社会生活のルールやマナーに関してとても真面目でもあります。

しばしばマスコミにも取り上げられているのでご存じの方も多いかと思いますが、金澤翔子さんという書道家はダウン症ですが、その作品の素晴らしさは圧巻です。

ご相談者様のママ友の人たちのネガティブなひそひそ話は、そういったダウン症の人たちの本当の姿を“知らない”ことに起因した偏見以外の何物でもありません。気にしても仕方がないので、放っておきましょう。

元静岡県立こども病院遺伝染色体科医長で、『いでんサポート・コンサルテーションオフィス』の臨床遺伝医で小児科医の長谷川知子先生の助言を参考にしながら、こうした問題について考えてみましょう。

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ダウン症の子どもにとって親の情緒の安定は必要不可欠

ダウン症が、普通より染色体の数が1本多いという異常が起こって発症する疾患であることは、今では広く知られています。

母親の出産年齢が高いほど発生頻度が増加するため、現代は昔に比べて比較にならないくらい出産年齢が上がっており、将来的にも出産年齢がどんどん上がることが予想されます。そのため、もっと多くの人に、ダウン症についての正しい知識を持っていただく必要があると思います。

ダウン症の特徴として、軽中度の知的障がいや肉体的成長の遅延、丸くて起伏のない顔で目のつり上がった顔立ちなどが挙げられます。ただ、これに関して臨床遺伝医で小児科医の長谷川知子先生は、次のようにおっしゃっています。

『ダウン症だからといっても育てるのが特別たいへんというわけではありません(中略)、ダウン症の子では普通より時間がかかることが多いのです』(長谷川知子先生/小児科医・臨床遺伝医)

長谷川先生はまた、次のようにも言います。

『染色体異常があると、多くは流産して出産に行きつかないのです。“生まれてきた”ということは、淘汰を乗り越えたということなのです。それは、特別生命力があり、両親からよいものをたくさん受けていて、お母さんのお腹の中の条件もよかったことをあらわしているのです』
『社会の中でできるだけ自分で考え状況判断する力、生活していける力を身につけることです。(そのための)療育の基礎には親ごさんの安定した情緒が必要です』(前出・長谷川知子先生/小児科医・臨床遺伝医)

いかがですか。ひそひそ話をしているご相談者様のママ友のうちの一部の人たちの認識がいかに間違っているか。そして、ご相談者様にはそんなことを気にして沈んでいる暇はないということです。

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ダウン症の子どもの優れているところ

おしまいに、長谷川先生をはじめとするダウン症に造詣の深い専門家や筆者の周囲のダウン症のお子さんをお持ちの人たちの話から総合した、ダウン症の子どもの優れているところを申し上げたいと思います。

ダウン症の子どもは、少し作業が遅いだけで手先が器用です。しかも、視覚による認知力が優れています。

冒頭で少しだけ触れた金澤翔子さんのような素晴らしい書道家が生まれるのもけっして偶然ではありません。また、ダウン症の子どもは共感力(人の気持ちを理解する能力)が高く、金澤さんの作品にも『共に生きる』という代表作があり、見事な力強さで書かれています。

親ごさんが愛情をもってき然とした態度で子育てにあたっていけば、心ない人たちが誤解しているような“かわいそうな人生”を送ることはありません。

ご相談者様、つまらないことはどうぞ、気になさらないでください。日本ダウン症協会のホームページから各地の『ダウン症親の会』の情報なども得られますし、長谷川先生のより詳しいお話を聴く機会を持てたりもしますので、インターネットでいろいろお調べいただければと存じます。

共に生きてまいりましょう。

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)

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