副反応のリスクは? 子どもの命を守る「予防接種」の種類8つ
2015年12月28日 | よみもの副反応のリスクは? 子どもの命を守る「予防接種」の種類8つ

【ママからのご相談】
子どもがいるのですが、小さいうちから本当にたくさんの予防接種があることに驚いています。
ウチの子は、注射をするたびに大泣きするのでかわいそうです。こんなに予防接種をする必要があるのでしょうか?
たくさん予防接種を受けさせることで、副作用などが出ないかも心配です。
重大な病気にかかったり、それを周りに感染させないためにも大切なことです。
ご相談ありがとうございます。理学療法士のOHSAWAです。
私にも子どもがいますが、本当に予防接種って多いですよね。ご相談者様のように驚かれる方も少なくないと思います。
しかし、予防接種がなぜ行われているかを理解すると、納得できるかもしれません。
今回は、なぜ予防接種が必要なのかをご説明させていただきますね。

なぜ予防接種をしなければいけないのか
子どもが必ず受ける予防接種は、『予防接種法』という法律の中で接種した方が良いと定められています。
その法律の第1条を要約すると、「伝染のおそれがある疾病にかかることや、それを蔓延させないために予防接種を行い、公衆の衛生を向上させて健康被害に気をつけましょう」ということです。
自分の子どものためだけでなく、周りに感染させないという目的も含まれているんですね。
予防接種の歴史
その昔、日本はもちろん、世界的にも疫病が蔓延して大勢の人が病に倒れるということが何度もありました。
当然ワクチンのない時代では、疫病にかかった人は死に至ることも珍しくありませんでした。
しかし、生き残った人は再発することが少なかったようです。
そのため、感染症の原因がまだはっきり分かっていなかった時代から、「一度かかれば、その後かかることはない」という認識はあったとされています。
感染症やある種の微生物によって引き起こされる病気の場合、感染のあと人間は体内に“免役”という抵抗力を獲得します。
この“免役”が原因となる微生物から体を守り、病気を引き起こさないようにするのです。
このようなことから、現在に至るまでさまざまな研究や原因の解明が進み、命にかかわる重い病気でも「一度軽くかかることで予防ができる」という考えが確立され、今日の予防接種へとつながっているのです。
予防接種で予防する病気8つ
予防接種法で定められている8種類の病気を簡単に説明していきます。
やはりどれも怖い病気なので、予防接種は避けられないイメージがありますね。
(1)結核
いうまでもなく命にかかわる病気です。昔から日本には結核が多く、死亡原因の大きな原因でした。最近は少なくなりましたが、芸能人がかかったニュースなど記憶に新しいですよね。
(2)ポリオ
ポリオウイルスによって発症すると、特に下肢に麻痺をおこし、また重篤な場合は呼吸麻痺や脳炎を起こすなど死にかかわる病気です。
日本では現在は自然発生はなくなりましたが、世界的にはまだ存在しています。
(3)百日咳
乳児がかかると命にかかわる病気です。また、かかってしまうと治療が困難で、まだ日本でもたくさん発生しています。
(4)ジフテリア
日本ではめったにみられなくなりましたが、感染すると治療がとても困難な病気です。
(5)破傷風
世界中のどこにでも発症する病気で、ジフテリア同様治療が困難な病気です。
(6)日本脳炎
アジアにまだ多く存在します。恐ろしい脳炎を起こし、発症すると治療方法はありません。
(7)麻疹(はしか)
麻疹も治療方法はありません、自然治癒を待つだけです。多くは治癒しますが、日本ではいまだに死亡例があります。
また、感染力が強力なため、予防接種をしていなければあっという間に広まってしまう病気です。
(8)風疹
感染しても命にかかわる病気ではありませんが、妊娠中の母体に感染すると胎児に障害を起こすことがある病気です。

予防接種の副反応
予防接種をするのは怖い病気を予防するためであり、言い換えれば自分を守るためにも必要なものです。
しかし、やはりワクチンを接種すると気になるのは“副反応”ですよね。
副反応はワクチンに含まれている不活化されたウイルスのタンパク質や保存剤などの添加物に対するアレルギー反応によって起こります。これはわりと多くの方が起こるのではないでしょうか。
重症なものではアナフィラキシーショックという全身のショック症状があります。
また、非常にまれですが、脳などの神経系統に障害を起こすこともあります。
これはワクチンの成分に対して、免疫が自分のからだに障害を与えることに起因します。
しかし、何が原因でこうした免疫反応が起こるのかは明らかではないため、本当にワクチンが原因なのか、それ以外のものなのか因果関係を証明することは、現代の医療でも困難なようです。
ただ、局所の腫れなどの軽い副反応は少なくありませんが、アナフィラキシーショックや神経障害などの重大な副反応は極めてまれにしか起こりません。
予防接種を受けさせることに抵抗がある方もいるかと思いますし、いろいろな考え方もあると思いますが、予防接種はご自身の子どもを守るために必要なことなのではないでしょうか。
【参考文献】
・『こどもの予防接種』金子光延・著
●ライター/OHSAWA(理学療法士)