ボーダーラインはどこ? 保険が適用される「シミ治療」の種類とは
2015年12月11日 | よみものボーダーラインはどこ? 保険が適用される「シミ治療」の種類とは

【女性からのご相談】
顔にできたシミで悩んでいます。最初の原因は忘れてしまいましたが、年々色が濃くなって目立つようになってきました。メイクでも隠しきれなくなってきたので、シミ取りを試してみたいのですが、気になるのが料金です。美容のための治療は高額だと聞きます。でも皮膚科で治療できるということは、保険がきくのでしょうか?
シミの種類や発生原因によって、保険適用の有無が変わってきます。
こんにちは。海外在住プロママライターのさとうあきこです。
女性にとって肌は命! 子どものころならかわいいで済まされる小さなそばかす一つでも“シミ”として気になってしまいます。でも、世の中でのシミの扱いは“病気”や“ケガ”ではなく“美容”として扱われることが多く、自腹を切ってケアするのが当たり前だと思われがちです。
ところが、皮膚にできたシミやイボなどには、その種類や発生した原因によっては、健康保険が適用されることもあります。あなたの気にあるシミが保険適用になるかどうかの判断基準についてみていきましょう。

保険適用の可能性が高いシミの種類
太田母斑・異所性蒙古斑・扁平(へんぺい)母斑・外傷性色素沈着などは、保険での治療が認められています。
太田母斑はシミというよりはアザに近い赤青い変色が主に顔に比較的広範囲にわたって現れるもの。異所蒙古斑は、本来子どものお尻周辺にだけあるはずの蒙古斑がそれ以外の部分に出現し、それが成長しても消えていかないものが治療対象です。扁平母斑は体のあちこちに現れる茶色のアザのことで、扁平と名がつくように膨らみを持ちません。
以上3種は、比較的ほかのシミやアザと区別がつきやすいのですが、問題は外傷性色素沈着です。簡単にいうと、ケガなどの外傷が原因でできたシミやアザのことですが、この外傷に何が含まれるかが問題。
現時点では、治療が必要とされるような切り傷・擦り傷・やけどなどが原因であれば保険適用、それ以外のものは自由診療として自己負担となっています。
保険が原則として適用されないシミの種類
老人性色素斑・肝斑・そばかす・炎症後色素沈着などは原則として自費負担です。
老人性色素斑は、必ずしも老人だけのものではなく紫外線にあたった肌にできるシミのこと。そのため、日光性色素斑とも呼ばれます。肝斑は顔の左右にペアで発生するシミ。成人女性の多くに発症します。この2種は一般的に多くの人に現れやすいシミであり、保険治療の必要性は認められていません。
また、そばかすは小さなシミの集まりですね。そばかすには遺伝が大きく関係しているといわれますが、これも多くの人に現れる症状である上、思春期以降に減少することも多いため保険適用外です。
問題は炎症後色素沈着です。ニキビ・しっしん・かぶれ・虫刺されなどが炎症を起こした後にできるシミのことであり、炎症そのものの治療は保険適用ですが、通常炎症が治まれば痕を残すことなく治ることが多いのが特徴です。そのため、炎症後のシミは保険適用外となります。
まとめ
保険適用されるかどうかの大まかなラインは国によって決定されています。それを各医師が診察後にこれまでの症例や治療方法などに沿って実際の保険適用の有無を判断していきます。
本人は、保険適用不可のただのシミ(老人性や肝斑など)だと思っていても、実は扁平母斑だったり、外傷性色素沈着だったりすることもあります。キレイになりたいという美容目的の治療は保険が適用されないと思い込みがちですが、実際の保険適用有無はシミ次第なのです。
また、保険が適用されるシミであっても、保険適用治療方法が限られる場合もあります。素人では判断しきれない部分については、“シミ”を扱っている皮膚科で相談してみるといいでしょう。
【参考リンク】
・異所性蒙古斑 | 日本形成外科学会
●ライター/さとうあきこ(海外在住プロママライター)