学力より大切カモ? 子どもの人生の成功に「非認知能力」が必要なワケ
2015年11月27日 | よみもの学力より大切カモ? 子どもの人生の成功に「非認知能力」が必要なワケ

【ママからのご相談】
中学2年生の息子がいます。勉強嫌いでサッカー部の部活動に熱中しています。学期末テストの成績もいまひとつで受験を控えたいま将来がとても心配です。そろそろサッカー部を辞めさせて、代わりに塾に通わせる勉強中心の生活にシフトしようかと悩んでいます。
息子さんは、人生の成功に必要な“非認知能力”を伸ばしている最中かもしれません。
ご相談ありがとうございます。ゲームと教育の専門家大根はじめです。
息子さん部活動に熱中しているのですね、素晴らしいです。息子さんの将来が心配で部活動を辞めさせたいのならば慎重に判断してください。なぜなら、息子さんは部活動を通じて、学力よりも大切な人生の成功に必要な能力を伸ばしているところかもしれないからです。

学力が高いのに就職活動でつまずく残念な学生
私は専門学校のプログラマー養成課程で教壇に立ちつつ、学生の就職相談にものっています。すでにこの職について4年たちますが、学力テストの数値は高くテストの成績も良好なのにコミュニケーションや就職がうまくいかない学生がこれまで何名か在籍していました。
彼らの共通点は、学力が高いのに社交性や誠実さ忍耐強さなど“学力では測れない社会的な能力”が低い点にあります。彼らのような学力のみ高い学生は学生生活においての同級生とのコミュニケーションや就職活動で苦戦を強いられていました。努力してもすぐに成果に結びつかないのは、見ていてもしんどいものです。
人生の成功に必要な能力は学力ではなく“非認知能力”
教育経済学者・中室牧子氏の『「学力」の経済学』によると、一般に“生きる力”といわれる自制心・忍耐力・社会性などの学力テストでは測れない“非認知能力”と、将来の年収や就業形態のような人生の成功との間に、長期的に因果関係があると判明したとのことです。
ですから、お子さんの将来を本当に心配するならば目先の学力を上げることにこだわるより長期的に非認知能力を育てていくことを考えるとよいでしょう。
それでは非認知能力を育てるにはどのような方法がよいのでしょうか?
学生時代にできる活動としては、部活動・課外活動・社会貢献活動が注目されています。また、リクルートワークス研究所発表の『幼少期の家庭環境、非認知能力が 学歴、雇用形態、賃金に与える影響』報告によると、中学時代に運動系クラブや生徒会に所属したことのある者の賃金が高まる効果がみられるとのことです。
息子さんが取り組んでいるサッカー部はまさに運動系クラブですから、彼の非認知能力を育み将来の成功につながる能力を身につけるのに最適であるといえるでしょう。
さらに非認知能力を高めるために
人生を成功に導く非認知能力の一つとして注目されている“自制心”は、日々鍛えることができる能力です。目先の欲求にとらわれず先の利益を見越して行動できる自制心は、細かく計画を立てる・記録する・達成度を自分自身で管理することで鍛えられます。サッカー部の活動と連動しトレーニングや食事の管理などで取り入れてみてはいかがでしょうか?
自制心を鍛えることは、今後の受験勉強でも大いに力を発揮することでしょう。お子さんの将来も目先のテストの結果ではなく、長い目で見てあげてはいかがでしょうか。
【参考リンク】
・幼少期の家庭環境、非認知能力が 学歴、雇用形態、賃金に与える影響 | 経済産業研究所(PDF)
【参考文献】
・『「学力」の経済学』中室牧子・著
●ライター/大根はじめ(マンガ家)