問い詰めるのはNG? 子どもを萎縮させない叱り方のコツ
2015年7月15日 | よみもの問い詰めるのはNG? 子どもを萎縮させない叱り方のコツ

【ママからのご相談】
子どもを叱るときに、「どうしてこんなことしたの!」とか、「なんでできないの?」と理由を聞くようにしています。先日、母に、「こんな叱り方をしていたら○○(息子)がかわいそうだ」と言われました。叱るときに理由を聞くことはいけないことなのでしょうか?
理由を聞いた後の対処を大事にすれば、問題はありません。
こんにちは。メンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。
子どもが何かをしたときに、「なぜ」「どうして」と聞いてしまいますよね。私もそうです。でも、メンタルケアの勉強を始めて、子どもの心がどのように動くのかがわかったとき、こういった叱り方をするときは気をつけようと思いました。
相談者様は、理由を聞くという意味で、「なぜ」「どうして」という言葉を使われているとのことですが、その後の対処をどのようにされていらっしゃるのでしょうか?
このような場合は理由を聞いた後で、「その後にどうすればいいのか」というところまで一緒に考えて、一緒に答えを出すようにしてみることでお子さんの成長の役に立つ叱り方になります。ですから、相談者様がされている叱り方は間違いではないのです。

「なぜ」「どうして」と叱るのはいけない?
・なぜこんなことをしたの?
・どうして宿題をやっておかなかったの?
・なんでこんな簡単なことができないの?
上記のように、「なぜ」「どうして」の言葉にはある共通の意味合いがあります。
それは、できなかったことやもうすでにやってしまったことを問い詰めるときに使っているということです。上の叱り文句をもう一度読んでみてください。
“こんなこと”も“宿題をしなかったこと”も“簡単なことができなかったこと”も全て、もう済んでしまっている事柄です。それを問い詰めたところで、子どもは反論できるでしょうか。たいていは言い訳をして、そのことに対してまた叱っての繰り返しになると思います。
問い詰めてしまえば、子どもは萎縮してしまいます。叱ることがよくないのではありません。子どもを萎縮させることがよくないのです。
萎縮や追い詰めることが子どもの心を悪くしてしまう
1度や2度、子どもを萎縮させたり追い詰めたりしても、急に子どもの心は悪くなりません。でも、確実に自己評価は低下していきます。
「僕(私)が悪い子だからお母さんをいつも怒らせてしまう。自分はダメな子だ」
こう思ってしまうことがよくないのです。こういう状態がたくさんあると、自信がなくなってしまったり、親の目を気にして物事をするようになってしまいます。ですから、叱るときは“少しだけ注意が必要”だと知っておいてください。
問い詰めてしまった後、どうするかがカギです
“どうしてそんなことをしたのか”を聞くことは悪いことではありません。問題はその後なんです。
子どもは、「なぜ」「どうして」と言われると、萎縮して何も言えなくなってしまうか、言い訳をしてしまうことになります。こうした萎縮や言い訳は、子どもの防衛です。それをさらに否定してしまうような叱り方をしないようにすることが親にとって大切なところになります。
大切なのは、やらなかったことを次からやれるようにすることですよね。ですから、もし問い詰めてしまう叱り方をしてしまったら、一緒にできなかった理由を考え、“次はどうしたらできるようになるか”を見つけてあげましょう。「こんなふうにしたらできるんじゃない」というような感じだと、親も子も答えがわかりスッキリするのではないでしょうか。
このように、失敗から学ぶという方向に持っていけば、問い詰めるような叱り方をしてしまっても、子どもを追い詰めてしまうことにはなりません。
精神科医の和田秀樹先生は、著書の中でこう言っています。
『親が答えを見つけられないのに、「どうして」「なぜ」という言い方で叱るのは、親が欲求不満を子どもにぶつけているだけと言われても仕方ありませんが、一緒に答えを探すのであれば、同じ言い方でも問題はないということです』
理由を聞くために問い詰めるような叱り方をしたとしても、その後のことをしっかり親がフォローすれば、子どもの自己評価が低くなってしまうようなことにはならないでしょう。それだけでなく、親子関係をさらに良いもの(信頼できる)にできることにもつながります。
相談者様が悪いわけではありませんから、理由を聞くことも大切なのです。聞いた後、今後どうしていくかをお子さんと一緒に探していくことがカギになります。ぜひ、やってみてあげてください。
【参考文献】
・『ほめるとき、叱るとき、諭すとき、最強の子育て思考法』和田秀樹・著
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)