ばあばと離れたくない! ストレスで起こる子どもの「分離不安障害」とは
2015年7月8日 | よみものばあばと離れたくない! ストレスで起こる子どもの「分離不安障害」とは

【女性からのご相談】
もうすぐ11歳になる孫のことで相談させてください。私の長女は20歳で孫を産みましたが、1歳半のときに離婚をしたので娘と孫は私どもと住んでいました。しかし、孫が小学生に上がる年に娘の再婚が決まり、離れて暮らすことになりました。それ以来、私と離れるときに泣いたり、追いかけたりなどの孫の行動が目立つようになりました。精神科へ行くと『分離不安障害』との診断を受けました。
普段は友達も多く、学校へも普通に行きます。しかし、私だけに対しては、別れ際の言葉の間違いを指摘して何度も言い直させるという行動をとります。現在は週3日は私の家で、残りの4日は娘の家で寝るという生活が2年続いている状態です。私がうつ病になりそうな状況まできています。病気なのかワガママなのか分かりません。どうしたらいいのでしょうか?
再婚が原因の『分離不安障害』なら、新しい環境に慣れさせることが大切です。
ご相談ありがとうございます。ママライターのみいゆです。
親の離婚や再婚で子どもの精神面が不安定になることはよくあります。また、子どもはそれをうまく隠してしまうので、周囲が気づきにくいことがあります。多くの子どもは新しい家庭環境に慣れるために時間がかかったりしますが、両親が気をつけて愛情を持って接すれば、徐々に慣れていくものです。
しかし、ご相談者様のお孫さんは再婚後の暮らしよりも、以前の生活のほうが心地良くて大きなストレスを抱えているのかもしれません。酷くなるとただのワガママとは違った病気も考えられます。診断された『分離不安障害』もその症状のひとつです。

『分離不安障害』とは
分離不安障害とは、子どもが愛着を持っている人から離れることで、強い不安を抱いてしまう状態です。母親と離れることで不安を抱く子どもは正常ですが、分離不安障害のある子どもはそれを越えるような強い不安に駆られます。
離れるときに泣き喚き、お別れが長引くことがあるのも特徴です。また、この不安障害が引き起こされる原因に、親族の死や引越し、転校などの環境の変化があります。
治療法は?
専門家によると分離不安障害の治療には主に行動療法を行うようです。その主な治療は、小児との別れの場面はできるだけ短く、小児の訴えには感情を交えずに対応することだそうです。また、現在愛着を持っている人とは別の誰かに対して愛着を持てるようになると有効です。
母親の子どもに対する愛情が一番になるように
筆者もご相談者様の娘さんと同じような境遇でしたが、やはり一番は“家庭環境の変化”が子どもにとってはネックとなっているようです。私の長女も祖母宅にお泊まりして自宅へ帰るときに祖母に執着し、なかなか帰りたがらないこともありました。しかし、子どもがこれから生活するべき家で楽しく幸せに暮らしていくようにするためにはやはり両親のフォローが必要不可欠となってきます。
分離不安障害は長引いてしまうと重症化の恐れがあります
ゆっくり時間をかけてなるべく自分の家での生活に慣れるようにして、お泊まりの回数を減らしながら“家庭が心地良い場所”となるようにしていくといいでしょう。特に母親が愛情を持って接することが望ましいです。それでも難しい場合は再度受診してお薬を飲みながらでも根気強く治していくことが大切です。
いかがでしょうか?
不安障害にはさまざまなものがありますので、一概にこれだけに当てはまるわけではありません。一人で抱え込まずに医療機関へ相談するなどして、子どもを取り巻く環境を見つめなおし、良い方向へ向かえると良いですね。
【参考リンク】
・小児の不安障害 | メルクマニュアル医学百科(家庭版)
【関連コラム】
・子どもへの虐待やネグレクトが招く“愛着障害”とは
・頭ごなしに叱っちゃダメ! ADHDの子どもを“鬱”にしない接し方
●ライター/みいゆ(ママライター)