ママの棺桶に入れちゃう!? 「へその緒」の扱い方にまつわる風習3選
2015年5月29日 | よみものママの棺桶に入れちゃう!? 「へその緒」の扱い方にまつわる風習3選

【ママからのご相談】
無事出産し、子どものへその緒をいただきました。赤ちゃんとつながっていた部分だし、うれしいのですが、これはこの先どうしたらいいのでしょうか?
大切に保管しておきましょう。
ご相談ありがとうございます。ママライターの*SARASA*です。
母親から胎児へ、生命維持に必要なものを送る臍帯(さいたい)であるへその緒。
これを保管しておく習慣は、日本以外にも東南アジア地域に多く見られます。アルコール漬けにし保管する、地中に埋め呪術をかけ子どもの成長を祈る風習などがあるそうです。

昔はへその緒を川に流していた
分娩後、摘出される胎盤、臍帯、卵膜の総称を胞衣(えな)と呼びます。昔の日本では、胞衣は母親と分離してもなお、影響を及ぼすと考えられていました。生まれて間もない赤ちゃんが笑っているような表情を見せることを“胞衣笑い”といいます。
胞衣が赤ちゃんを笑わせているのだと考えられたのです。
そのため、これらの扱いには気を配り、つぼや桶、“わらづと”などに納め、日の当たらない場所、産室の床下、庭、大黒柱の下、軒下などに埋めたり、川や海に流したりしていたそうです。
ただ、明治20年以降は、『胞衣及産穢物取締規則』が施行され、床下や川に流すなどの埋納は禁じられました。でも、胞衣と命の結び付きはその後も根強く残っていったのです。
子どもの夜泣きが止まらないときに“へその緒”をなめさせる。大病の際に煎じて飲ますなど、危機的状況に陥ったときに効力を発揮すると考えられていったそうです。
自分が死んだとき棺桶にいれるなど、一生切り離すことができないものとして長く大切にされてきたということです。
現代でも、ほとんどの病院で乾燥したへその緒が箱に入れられ、退院時に渡されます。箱の裏面には、子の姓名、生年月日、両親の名前を書く欄があります。
現代のへその緒はどう扱われてる?
皆さんは“へその緒”をどのように扱っているのか、調べてみました。
(1)男性なら戦争に行くときに、女性ならお嫁に行くときに渡す
へその緒を本人に渡し、もしものときこれを煎じて飲めという母心。死期を迎えたとき、お棺に入れて持っていってもらう。切っても切れない関係を象徴するようです。
結婚後、義母から母子手帳と一緒にパパのへその緒を渡された方も。
逆に、“戦争に行った子がこれにつながって帰ってくる”として母親が大切に保管したという例も。母子にとって大切なつながりだということが伝わってきます。
(2)母親(ママ)が死んだとき、お棺に子どものへその緒を一緒に入れてもらう
あの世に行ったとき、子どものへその緒を持っていけば現世の悪い行いも“えんま様”は多目に見てくれるのだそうです。子どもを産む苦しみをすでに受けているから許されるという説も。確かに、出産は大変ですから……ママにはうれしいお話です。
(3)神棚、仏壇など神聖な場所に祭る
神仏に、子どもの無事な成長をお祈りするため、神聖な場所に保管するそうです。大きく成長しますようにと願いを込め祈ります。
まとめ
胞衣つぼを埋納する際の言い伝えは習俗によってそれぞれです。人にたくさん踏まれると丈夫に育つ、最初に踏まれた人を生涯嫌う、人に踏まれない場所に埋納するなど……。
しっかり消毒して大切に保管し、あなたの母や祖母に一度聞いてみてはいかがでしょうか。その家のしきたりがあるかもしれませんよ。
【参考文献】
・『日本人の一生 通過儀礼の民俗学』谷口貢/板橋春夫・著
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●ライター/*SARASA*(ママライター)