ガンになるって本当? 「牛乳は体に悪い」という説に根拠はあるのか
2015年5月28日 | よみものガンになるって本当? 「牛乳は体に悪い」という説に根拠はあるのか

【女性からのご相談】
子どものころから牛乳をよく飲んでいます。でも、「牛乳は体に悪いんだよ」と言われてしまいました。もしそうだとするなら学校の給食で牛乳が出てくるのはおかしいですよね? 結局のところ、牛乳は体にいいんでしょうか、それとも悪いんでしょうか。
「牛乳が体に悪い」とする説もありますが、科学的根拠は薄いようです。
給食などでおなじみの“牛乳”。これが体に良いのか悪いのか知りたいというご相談ですね。
「牛乳が体に良い」とされる理由としては、タンパク質やカルシウムといった栄養素をとりやすいからだと考えられています。牛乳はとても安価ですが、非常に豊富な栄養素を含んでいます。コップ1杯程度の量の牛乳から、1日のカルシウムの必要量の3分の1~2分の1程度が摂取できる、というのは、よく知られたことでしょう。
カルシウムなどは、基本的には牛乳だけでなく他の食品からもとった方がよいとされています。しかし、アメリカの農務省の見解では、
『貧しく、さまざまな食品から栄養をとることが難しい家庭の場合、骨の強化を目的として1日3杯程度の低脂肪乳の摂取を必要とする可能性がある』
としています。牛乳は値段も安く、汎用性も高いので、卵と並んで、利用しやすい食材でもあります。

牛乳が体に悪い、とされている理由
「牛乳は前立腺がんや卵巣がんといった、生殖器に関わるがんを増やす可能性があるのではないか?」と、警鐘を鳴らす人もいます。また、「日本人の場合、牛乳のなかの乳糖を分解する酵素を持たない人が多いため、飲むと下痢を起こす。これは、日本人には牛乳が合っていないからだ」と考える向きもあります。
「牛乳は人間には消化ができず、これが腐ることによって、アレルギー症状を起こす」などという意見もあります。牛乳にアレルギーを持っている人などもいますね。
「牛乳は体に悪い」はウソ!?
このように、牛乳については賛否両論があります。しかしながら、「牛乳が体に悪い」とされている理由である“がんの増加”ですが、逆に牛乳は大腸がんのリスクを減らすという研究結果も報告されています。
体質によって、牛乳で下痢が起こる可能性は確かに否定しきれません。しかし、これは飲み方を変える(温め、時間をかけて飲むこと)である程度解決できます。
牛乳のタンパク質が分解されない、というのはまったくでたらめです。確かにその吸収速度はゆっくりですが、消化はされます。そうでなければ、牛乳から作られた『カゼインプロテイン』が、スポーツ選手に使用されることはないと思いませんか?
牛乳に限らず、確かに食品には、体質に合う合わないがあります。しかし、この“個人の体質”がそのまま、「牛乳は体に悪い」と直結することはありません。もちろん、極端に飲みすぎることには問題がありますが、「牛乳が体に悪い」というのは、科学的根拠が薄い意見だと言えそうです。
【参考リンク】
・牛乳を飲んでも大丈夫? | 骨粗鬆症財団
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