過干渉はNG! 親が子どもに“癒着”する原因と子離れのアドバイス
2015年5月14日 | よみもの過干渉はNG! 親が子どもに“癒着”する原因と子離れのアドバイス

【ママからのご相談】
中学1年生の息子のことです。中学に入ってから私の言うことを全然聞いてくれなくなりました。休日、出掛けるときに、「誰と遊ぶの?」と聞いても、「うるさいなぁ」とか、この前も帰宅時間を聞いただけで、「うざい!」と言われてかなりショックでした。悪い友達でもできたのではないかと不安で、主人に相談しようかとも思ったのですが、息子が3歳のときに転職して以来、朝早く出勤して帰りは終電近いことが多く、ゆっくり話すことができません。どうしたら、ちゃんと私の言うことを聞いてくれるようになるのでしょうか?
自立の時期です。子どもとの心理的距離を考えてみましょう。
こんにちは。心理食育インストラクターのSAYURIです。ご相談ありがとうございます。
子どもの成長は親が思うより早いもので、子どもの変化に親の方が戸惑ってしまうお気持ち、しっかりと受け止めさせていただきました。ご相談文は構成上、要約させていただききましたが、少しお母さん側にも問題があるように感じたので、今回は心理学でいう、“癒着”からお子さんとの関係を考えてみたいと思います。

癒着とは
癒着というとケガや手術で炎症を起こした組織同士がくっついてしまったり、ニュースなどでは政治と企業の癒着という使われ方をよくされますが、心理学でも本来、一定の距離がある心理的な距離がくっついてしまっていることを癒着といいます。
心理的な癒着が起こると、相手と自分の人生や感情、問題の境目が分からなくなってしまい、過度の束縛や過干渉に発展することもあります。
親が子に癒着する原因とは
癒着が起こる原因の多くは、他の人とのつながりが弱くなっていることです。その不足を埋めようとして、誰かに癒着してしまうケースが多く見られます。家族の場合、ご主人が仕事などで忙しく、夫婦の時間や会話が少なくなると、母親が子どもに癒着する傾向があります。
今回のケースでもお子さんが小さいときにご主人が転職され、勤務時間や通勤時間が長くなり、夫婦間の心理的距離ができてしまったため、寂しさや虚無感という感情が作られ、本来なら夫婦間で埋めるべきところを、子どもと癒着して埋めようとしてきたようなケースだと考えられます。
気付きにくい癒着で子どもの気持ちを否定していませんか?
親が子どもを心配することは決して悪いことではありません。
しかし、それも過度になると、子どもが、「こんな部活をやりたい」といっても、「危ないからやめなさい」と否定したり、誰と遊びに行くのか聞かれたから、「○○君と」と言ったのに、「あんな子と遊ぶのはやめなさい」など、全てがこんな調子になってしまいます。
子どもからすれば、「ウザい」「自分を分かってくれない」「自分を認めてくれない」ということになってしまい、ますます心の距離が離れていきます。そして離れた分だけ親はまたくっつこうと、さらに過干渉になってしまいます。
もちろん、「危ないことはさせたくない」「悪い友達なら付き合って欲しくない」という親心や愛情が根底にあるのですが、子ども側の意思や意見の尊重を見落としていないでしょうか?
子どもだって、一人の人間
お母さんの人生と息子さんの人生は区別できていますか? お母さん自身と息子さんは別の人格を持った一人の人間であると捉えられていますか? 息子さんの意思や気持ちを尊重できていますか? 息子さんのことだけ一生懸命に考えてご主人との関係をないがしろにしていませんか?
少し冷静にそんなことを考えてみてください。親にとって、子どもはいくつになっても子どもであることに間違いはありませんが、違う考え方、捉え方、感じ方をする別の一人の人間であることをまず受け止めてみましょう。そして、子どもの発言に対して、一度はきちんと肯定した上で、「お母さんは、こう思うよ」と自分の意見を述べられてはいかがでしょうか。
【参考リンク】
・親の過干渉、過期待の病理 | 伊藤太郎(名古屋女子大学教授)・論文(PDF)
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●ライター/SAYURI(心理食育インストラクター)