子宮口を広げて分娩を誘発する”ラミナリア”の痛みとは
2015年3月25日 | よみもの子宮口を広げて分娩を誘発する”ラミナリア”の痛みとは

【パパからのご相談】
妻が第1子目を妊娠中です。もう臨月で、来週41週目に入ります。前回の検診に付き添ったのですが、医師からは子宮口がとても固いようだと言われました。
分娩を誘発することになりそうなのですが、その際にラミナリアというものを使うそうです。妻はそのことでとても不安になっています。
男性である私が、知り合いの女性に聞いてみることもなかなかできず……ラミナリアとはどういったものなのでしょうか。
ご相談ありがとうございます。ママライターのマフィーです。
赤ちゃんに会えるのは楽しみ……でもその前に奥様のことが心配ですね。
私は医師でも助産師でもありませんので、医学的にどうか、ということはわかりません。ですが、第1子出産のときにラミナリアを使用しています。
そのときの体験も含め、ラミナリアのご説明をします。
ラミナリアとは、海藻でできた器具
ラミナリアというのは、子宮口を広げたいときに使用される海藻(昆布)でできた器具のこと。
ラミナリアで子宮口を開く原理はとてもシンプル。まず、子宮頚管部にラミナリアを挿入します(人によっては“突き刺される”という表現の方が正しいようです)。
主に子宮口が0cmから1.5cmほどしか開いてないときに使用します。後に、海藻がママの体内にある水分を給水してふくらみ、子宮口を少しずつ開きます。
水分を含んだラミナリアは、使用前の倍以上の大きさになり、使用時間は最大で24時間。
また、最近では昆布などの海藻ではなく、高分子材料を使った人工素材のラミナリアも登場しているとか。
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私のラミナリアの体験談
私がラミナリアを使ったときも、ご相談者様の奥様と状況は同じです。子宮口がまったく開かず、長時間歩いても体操をしてみても、何をしても固いまま。
どうにもならないので、とりあえずラミナリアを入れてみよう、と言われたのは、過期産で入院した初日のことでした。
ラミナリアは子宮口を開かせるためのものなので、子宮頚管から入れるのですが、これがもうとても痛くて痛くて……。
まったく開いていないところに、膨らんでいないとはいえ物質を入れるので痛くないわけがありません。
ほとんど声になっていないような声を出していたように思います。
入れた後は、違和感というほどの感覚もなく、意識すれば何か入ってることが分かる程度のものでした。普通に歩けますし、普通に座れます。結果的に、私はラミナリアだけでは適切な陣痛が来ず、陣痛促進剤も併用することになりました。
奥様もご相談者様も、ご不安な気持ちはとてもよく分かります。
どうか赤ちゃんが産まれるまでのあとわずかな時間が、不安だけで終わってしまわないよう、待ち望む時間が楽しい時間になることをお祈りしています。
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ラミナリアが使われる主なケース2つ
分娩誘発
ラミナリアの使用目的は、主に“分娩の誘発”です。“陣痛が弱く、子宮が開いていない状態”の妊婦に対して使われ、目安として“子宮の開きが1.5cm以下”の人が対象になります。
人工妊娠中絶
上記のように出産をサポートするために使用される一方、人工妊娠中絶の際にも使われます。中絶の方法には、
- 子宮内容物を搔き出す
- 薬で陣痛を起こさせる
などの方法がありますが、いずれもその前処理として利用されるケースが多いようです。
ラミナリアの痛みを抑える方法3つ
そんなラミナリアですが、いくら”人によっては痛みを感じない”といっても、怖いものは怖いですよね。
「痛いのはヤダ!」「どうにか痛みを回避する方法はないの?」という方のために、ラミナリアの痛みを抑える方法をご紹介します。
全身麻酔
「当たり前だろ」感はありますが、やはり痛みを抑えるのに有効な方法は“麻酔”ですよね。
1回目の激痛がトラウマになったママが、2回目以降に麻酔をお願いするケースが多いようです。
しかし、ママの身体的な条件によっては使用できないこともあるので注意しましょう。
座薬
これも麻酔に近いですが、ラミナリアを挿入する前に痛み止めの座薬を入れてもらうと効果的なようです。
しかし、あまり効かなかったという人も多いので、あまり頼りすぎるのは良くないかもしれません。
呼吸法
“呼吸法”と聞くとうさんくさく感じますが、助産師さんが正式に教える立派な“痛み緩和法”。
具体的には、ラミナリアを挿入する際に、“息を吐いて力を抜きます”。ラミナリア挿入時は緊張している状態にあることが多く、とかく力みがちに。
緊張状態では痛みを感じやすくなっているので、深く呼吸をすることで体をリラックスさせます。これにも個人差はありますが、ある程度は痛みを緩和できるようです。
一方で、「痛すぎてそれどころじゃない」という声もよく聞かれるので、気休め程度に考えていた方がいいかもしれませんね。
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ラミナリア以外で子宮口を開く方法4つ
これまでラミナリアについて見てきましたが、「そもそも子宮口を開くにはラミナリアしか方法がないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
実は、子宮口を開くには他にもさまざまな方法があります。
バルーン
ラミナリアは、子宮口が1.5cm以下の人に使われますが、2cm以上開いている人に対しては“バルーン”が使われます。
別名“メトロ”ともいわれる風船型の道具で、中に水を入れてふくらませ、子宮を開いていきます。
バルーンを使うメリットとしては、陣痛の促進作用のほか、安全に逆子を出産できることなどがあります。
しかし、これにも痛みが伴うとのことなので、ある程度覚悟しなければなりません。
陣痛促進剤
お産に時間がかかっているときに用いられる“陣痛促進剤”ですが、子宮口を開くためにも使用されます。投与は基本的に点滴か錠剤で行われます。
しかし、子宮口が固いまま強い陣痛が起こることで子宮破裂などが起きるリスクもあり、母体の状態を細かくチェックしてからの安全な投与が求められます。
子宮頚管熟化剤
あまり聞きなれない薬ですが、これも子宮口を開くために使用されるホルモン剤です。錠剤や注射で投与され、子宮の筋肉をほぐして開きやすくします。
運動
これは出産時の医療的な方法と違い、日頃から予防的に行うものですね。
運動して体を温めると全身の血行が良くなりますが、それによって子宮口も開きやすくなると言われています。
オススメの運動としては、
- ウォーキング
- ストレッチ
- マタニティスクワット
などがあります。妊娠中はただでさえ運動不足になりがちなので、気分転換もかねて運動をするようにしましょう。
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陣痛が弱い場合に行われる分娩方法2つ
ラミナリアやバルーンなどは子宮口を開くだけでなく、陣痛を誘発する目的もありますが、それでも陣痛が弱い場合は“誘発分娩”とは違う分娩方法をとることがあります。
吸引分娩
文字通り、赤ちゃんを吸引して引っぱり出す方法です。見た目はトイレのすっぽんです。素人には荒技にしか思えません。
赤ちゃんが産道の途中でとどまっている場合などに行われる方法ですが、子宮口が開ききっていること、破水していることなど、さまざまな条件を満たす必要があります。
鉗子分娩(かんしぶんべん)
これも赤ちゃんを引っ張りだす方法ですが、こちらはトングのような器具で赤ちゃんの頭を掴みます。
使用されるケースとしては、吸引分娩と同じ産道トラブルのほか、出産が長期に及んで母体が疲労してしまったときなどがあります。
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まとめ
「ラミナリアの使用目的」や「痛みを和らげる方法」などについてご紹介してきました。
ラミナリアは激痛だとよく言われますが、あくまで個人差があることを忘れないようにしましょう。
これから出産を迎えるママも、それを支えるパパもラミナリアについて正しい知識を持ち、いざというときに慌てないように準備をしておきたいですね。
●ライター/マフィー(ママライター)
●追記/パピマミ編集部