毒にもクスリにも? 砂糖の摂取量が子供の発育に与える影響
2015年3月16日 | よみもの毒にもクスリにも? 砂糖の摂取量が子供の発育に与える影響

【ママからのご相談】
砂糖の取りすぎが、肥満だけでなく子どもの心と体の発育にマイナス影響を与えるという話を聞きました。砂糖はどんなものでもわずかであっても、食べれば毒になるのでしょうか?
“砂糖=毒”ではなく、摂取量に問題があります。
こんにちは。海外在住プロママライターのさとうあきこです。
砂糖は体に悪いという世論が広まる傾向にあるようですが、砂糖と人とはこれまで長い間共存してきました。そんな砂糖が人にとって毒だといわれるようになったのはごく最近のことです。
食文化が発達して、甘い食べ物が生活の中にあふれるようになりました。その結果、スプーンですくって目で確認しながら加える砂糖以外にも、日常的な食生活の中で砂糖を摂取する機会が増えています。同時に甘さに対する慣れも進み、気がつかない間に砂糖摂取量が増えやすい状況となっているのです。
現在、砂糖が人の体に与えるとされる影響の数々は、こうした状況によってもたらされた“砂糖の取りすぎ”が原因だと考えられています。

子どもの肥満の原因は砂糖以外にもある
実際には、砂糖以外の甘味料の種類が増えているため砂糖そのものの摂取量は減少傾向にあります。ところが、子どもの肥満率は上昇しています。
砂糖からの摂取カロリーは減少しているのに、肥満が増加しているということは、肥満の原因が砂糖以外にもあることを意味しています。
肥満を引き起こすのは、摂取カロリーが消費カロリーを上回ったときです。砂糖そのものの摂取カロリーは減っても、それ以外の高カロリー食品の摂取は増えています。生クリームやバターなどの脂肪分もその一例です。
その一方で、遊びや運動、交通手段の変化などによって運動不足となって消費カロリーは減り、肥満に影響を及ぼすといわれるストレスもたまりやすくなっています。
子どもの肥満には、これらのライフスタイルの変化が大きく影響していると考えられます。
適量の砂糖は精神を安定させるが、過剰摂取は毒に
砂糖には精神を安定させる作用があることも分かっています。砂糖の摂取によって分泌される成分がストレスを軽減してくれるのです。
これは、各方面で活躍する医学博士らの定説となっています。しかし彼らは同時に、過剰に摂取すれば毒にもなるとの警鐘も鳴らしています。
砂糖の主成分はショ糖であり、ショ糖の50%程度は果糖で構成されています。果糖は体内に入ると主に肝臓で分解されて中性脂肪の生成につながります。中性脂肪が肝臓や血液中で増えすぎると、メタボリックシンドロームとなり、さらには目に見える肥満だけでなく、高血圧や糖尿病といった生活習慣病をも引き起こす可能性があるのです。
砂糖の正しい摂取方法と量を学ぶ食育という選択肢もある
このように、砂糖は食べれば必ず毒になるわけではありませんが、毒となる可能性も持っていることが分かりますね。そのため、食べ過ぎるくらいなら食べない方がいいという考えが広まっているのかもしれません。
確かに、砂糖は心の栄養となることはあっても、体の栄養とはなりません。摂取量をコントロールできない場合には、“まったく食べない”という選択も可能でしょう。しかし、適量を守れるならば害はなく、幸せな気持ちを味わえるものでもあるのです。
そう考えると、子どもに対しても“砂糖=毒”と決めて避けるだけでなく、正しい量を正しい方法で摂取するという食育を行うという選択もあるのではないでしょうか。
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●ライター/さとうあきこ(海外在住プロママライター)