スマホ中毒の子供を持つママが“脱・イネイブラー”する方法
2015年2月20日 | よみものスマホ中毒の子供を持つママが“脱・イネイブラー”する方法

【ママからのご相談】
中2の娘がスマホばかり触っていて勉強を一切しません。スマホが鳴ったらすぐに返信をしないとお友達に怒られてしまうとか、次の日に仲間はずれにされてしまうとか言いますが、私のころはそんなことはなかったので理解ができません。やめさせようとすると酷い言葉で怒り最終的には泣きだします。確かに子ども同士の付き合いもあるでしょうし、少しかわいそうで、私もどうしたらいいのかわかりません。来年受験なので、このままでいいのか心配です。やめさせる方法はありませんか。
痛みを経験させる必要があるかも。
ご相談ありがとうございます。プロ家庭教師の佐々木です。
中学生の女子を専門に家庭教師をしていますが、中学校3年間のなかで中2が最も難しく、女の子は人間関係に悩まされる時期でもあると感じています。特にかつてと変わってしまったのは、スマートフォン所持率が上がり、お友達同士が無料通話アプリで連絡をとりあうのが当たり前になっていることです。
そのため、女の子がいるご家庭では、「うちの子が仲間はずれにされたら嫌なので」という理由でスマホを与えている方も少なくありません。

“ストップ・イネイブラー宣言”を!
心理臨床家の奥田健次さんの著書、『世界に1つだけの子育ての教科書 子育ての失敗を100%取り戻す方法』に、イネイブリングという言葉が紹介されています。イネイブリングとは依存症患者の治療などにおいて使われる専門用語で、意味としては、「ある行動ができるような状況をつくってしまうこと」、イネイブリングしてしまう人をイネイブラーと呼びます。
具体的には、「なんとかしてあげたい」という強い心配、自分がなんとかしなければという責任感から、朝起きられない人の代わりに会社や学校に電話を入れたり、借金を肩代わりしてあげたりするなど、良くない行動を続けられる状態を作り上げてしまうことをいいます。
同書において、インターネットは、知らないところへ旅をさせるようなものであり、依存が起こりやすく一度その中毒症状が出てしまったら止めることは難しいと書かれています。対策として、
・最初から与えない
・使えない状態にする(取り上げるなど)
などを考えましょう。
痛みを経験させる必要があるかも
ご相談者様は娘さんのスマホをやめさせたいと思いながら、心のどこかで、「スマホなしではお友達との関係もあるし、子どもがかわいそうだから……私にはわからない世界があるだろうし」と迷っていませんか?
娘さんが傷つかないようにスマホを触らせてあげるのはイネイブリングです。抜け出すためには、「娘が友達を失ってもかまわない!」と、ご相談者様ご自身が決意し、自分に言い聞かせることです。イネイブリングをやめることで、子どものうちから痛みを経験することになります。子どもが痛みを感じているのに黙っているのはかわいそうなことのように思えますが、子どものうちにある程度の痛みを経験しておくことは、貴重な経験です。
それに、いくらスマホで連絡を取り合うのが当たり前になったとはいえ、娘さんがすぐ返信しないと怒り、振り回しているクラスメイトの子たちは、本当に娘さんのお友達といえるのでしょうか。そういう子たちに対して、傷つくことを覚悟で接し、娘さんを励ますことも大切だと思います。
中学生を取り巻く環境は以前と比べて大きく変わりつつあります。しかし、変わらない部分、変えるべきではないこともあるはずです。
スマホや無料通話アプリとのつきあいかた、お友達との接し方について、ご相談者様ご自身が考えてみてくださいね。
【参考文献】
・『世界に1つだけの子育ての教科書 子育ての失敗を100%取り戻す方法』奥田健次・著
【関連コラム】
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・アルコール依存症患者の世話を焼いてしまう“イネイブラー”の実態
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●ライター/佐々木恵(プロ家庭教師)