日本でも可能? 幼児にバイリンガル教育をする方法
2015年2月2日 | よみもの日本でも可能? 幼児にバイリンガル教育をする方法

【パパからのご相談】
幼稚園入園前の幼児を持つ父親です。自分は大学時代に留学経験があり、英会話も日常生活で困らない程度話せますが、どうしてもネイティブの発音だけはマネができません。やはり、言葉を覚えはじめる年齢で英語に親しむ必要があるのではないかと考え、わが子には早期からバイリンガル教育を受けさせたいと考えています。日本の地方都市在住で、どんなバイリンガル教育の可能性があるでしょうか?
どこで暮らしていても、バイリンガル教育は可能です。
こんにちは。海外在住プロママライターのさとうあきこです。
幼児期からのバイリンガル教育(主に英語と日本語)は、多くの家庭や幼稚園で取り組まれています。幼児期は、子どもが理解できる言葉の数を急激に増やす時期です。就学前のこの時期に親しんだ語学は、一生残るともいわれています。
一部では、バイリンガル教育はネイティブスピーカーがいる家庭か特殊なカリキュラムを実践している幼稚園などの教育機関でしか行えないという考え方があり、相談者のように地方で暮らす日本人家庭では無理なのではと諦めることもあります。
しかし、バイリンガル教育は場所を選びません。なぜなら、言語は大人にとっては学ぶものであっても、子どもにとっては自然と身につくものだからです。
もちろん、家庭や幼稚園にそれだけの環境が用意されていれば、より手軽に2つの言語に親しむことができますが、工夫次第でどこで暮らしていても、英語を十分に話せない家族の中であっても、正しい音さえあればバイリンガル教育は可能です。

子どもにとって、言葉は耳と五感で吸収するもの
文字も言葉も十分に知らない未就学児は、言語を耳から受け取り、目で見たり手で触ったりといった五感で感じ取ったものとセットで吸収していきます。
これは、近年の未就学児の英語教育で注目されている“英語耳”と呼ばれる感覚を育てることがバイリンガル教育につながるとする主張からもうかがうことができます。
子どもは日常生活のあらゆる場面で、耳から入る言葉を体感するという行動を繰り返して自分の言葉として蓄えていきます。日本語であれば、特別なことをしなくても、自然に言葉が話せるようになっていくのは、多くの日本語が耳に飛び込んでくるからにほかなりません。
親が子どもに与えられるバイリンガル環境とは
すなわち、バイリンガル教育を施したいと考えるなら、日常の日本語に英語を加えればいいわけです。家族に英語を話す人と日本語を話す人がいれば、自然とバイリンガルに育つことが多いのはそのためです。
ただ、日本語しか話せない日本人家庭の場合は多少の工夫や努力が必要となります。そこで取り入れたいのが、音楽と映像です。
英語圏の子どもが未就学の段階で聴くだろう音楽を日常生活の中で流しましょう。多くの曲よりも、いくつかの曲を集中的に聴きこんだほうが、英語耳は育ちやすくなります。子どもが思わず口ずさむくらい、一緒に聴いている親も覚えてしまうくらい聴きこみましょう。そして徐々に曲数を増やしていきます。
また、子ども向け英語アニメや映画などもおすすめです。セリフが単純である上、聴覚だけでなく視覚に訴えて記憶に残りやすくなります。こちらも気に入ったものを繰り返し見ると効果が出やすいようです。
どちらも、親が一緒に楽しみ口ずさむことが大切。家庭の中に英語が自然にこぼれる環境を作っていくことにつながっていきます。
バイリンガル教育を進める上で気をつけるべきこと
バイリンガル教育に力を入れるあまり、日本語に遅れがでるのではないかと心配する方もいますが、日本で暮らしている限り日本語が話せないように育つことは逆に至難の業です。生活の中で自然と身についていくのでその点は心配する必要はありません。
ただし、その子にとっての母国語がどちらなのかははっきりとさせておく必要があります。就学年齢になったとき、インターナショナル校や留学などを選択する可能性があるとしても、日本人であり日本語を母国語としていくのならば、親子間での大切な会話は日本語でするように心がけましょう。
英語はあくまで第2言語であり、未就学児の場合にはネイティブの発音や感覚に親しむことがもっとも重要です。いたずらに単語を暗記させたり、家庭内の会話を全て英語にしたりすると、子どもが混乱してしまい、言葉そのものの発達に影響が出ることがあるのです。
もちろん、英会話教室やバイリンガルプレイグループ・幼稚園に参加するのもいい体験となるでしょう。無理なく通えるならば、それもバイリンガル教育の一つの方法です。
ただ、言語はあくまで生活の中で吸収していくものです。日常生活の中で、親が子どもと一緒に少しでも多くの英語を聞き、使い、楽しむこと。それこそが、バイリンガル教育を成功させる基本的な条件であり、コツでもあります。
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●ライター/さとうあきこ(海外在住プロママライター)