医療費が高くて払えない! “高額療養費制度”のポイント4つ
2015年1月26日 | よみもの医療費が高くて払えない! “高額療養費制度”のポイント4つ

【ママからのご相談】
現在、育児に専念している専業主婦です。夫はサラリーマンです。3週間ほど前、夫が自宅で倒れて救急病院に運ばれました。幸い命に別状はないのですが、現在も入院しています。民間の医療保険に加入していなかったため、医療費の請求が高額だと、経済的につらいです。医療費は高くなっても、3割は自己負担しないといけないですよね?
健康保険に加入していれば、『高額療養費制度』があります!
ご相談ありがとうございます。社会保険や労務管理の専門家、社会保険労務士のぬかぽんです。
入院が長引くと、医療費が一体いくらかかるのか心配になりますよね。ただ、健康保険や国民健康保険の『高額療養費制度』によって、想像したよりも支払う医療費は低いかもしれませんよ。どんな制度なのか内容を見てみましょう。

『高額療養費制度』のポイント4つ
(1)『高額療養費制度』とは
月の初めから終わりまでのひと月に、病院や薬局で支払った金額の合計が一定額を超える場合に、その超えた部分が戻ってくる制度です。
たとえば、医療費が100万円のとき、自分が支払う負担割合が3割のままですと、自己負担額が30万円と高額になってしまいます。そこで上限を設けて30万円よりも、もっと自己負担額を減らす仕組みが『高額療養費制度』です。ただし、入院時の食費や、個室に入院した場合などの差額、ベッド代は含まれませんので、自分で支払う必要があります。
(2)いくらくらいの負担で済むの?
自分が支払う額の上限は、年齢や所得によって変わります。平成27年1月の診療分より、70歳未満の人の所得の区分が、それまでの3つの区分から5つに細分化されました。
イメージとしては、あなたの夫の月収がが20万円台前半くらいなら、自分の負担額の上限は57,600円。月収が30万円~50万円位までなら、上限額は8万円~9万円位程度です。ただし、お給料が高い方は、負担額ももっと高額になります(詳しくは、厚生労働省のHPを参照)。
(3)複数の病院や薬局でお金を払った場合はどうなるの?
同じ月の間に、何度も病院に通院したり、ほかの病院や薬局を利用したりした場合は、全ての自己負担額を合算できます。また、夫の扶養枠に入っている妻や子どもなどの医療費の3割負担分も、一緒に合算できますよ(世帯合算)。ただし、70歳未満の方の受診は、1回につき21,000円以上の自己負担額しか合算できません。
(4)いったんは医療費を病院の窓口で支払わなければならないの?
70歳未満の方は“限度額適用認証”を保険証と一緒に窓口に提出すれば、何十万円という大きなお金を支払わなくて済みます。
たとえば、あなたの“高額療養費”の自己負担の上限が57,600円の場合。“限度額適用認証”を利用すれば、窓口で57,600円だけを支払えば良いのです。ただし、他の病院や薬局で同じ月に21,000円以上の支払いをした場合は、“高額療養費”の申請が別に必要になります。
いかがでしたか?
がんの医療費に100万円かかると言われるなど、ときに医療費は高額になります。上限がわからないと本当に不安ですよね。保険診療内の治療費に限られますが、『高額療養費制度』の存在を知って、少しでも安心して治療に専念できることを願っています。
【参考リンク】
・高額療養費制度を利用される皆さまへ | 厚生労働省
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●ライター/ぬかぽん(ママライター)