絶対ダメ! わが子が“いじめの加害者”になるのを防ぐ方法
2015年1月21日 | よみもの絶対ダメ! わが子が“いじめの加害者”になるのを防ぐ方法

【ママからのご相談】
先日、息子が友達を押したり、嫌がるあだ名で呼んでいたので、いじめをしているかもしれないと感じました。その場で注意はしたものの、遊びだったのかもと考えたりもしました。このような感じのいじめをさせないためにどうすればいいか教えてください。
いじめの原因を緩和してあげるために心を育て、教え導くことが必要です。
こんにちは。いじめをなくしたいと本気で考えているメンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。
いじめは、ちょっとしたきっかけから発展し、相手の体型や持ち物や行動など、何でも目に留まった相手にちょっかいを出すことから始まります。ですから、いつどのタイミングでいじめがスタートしてしまうかわかりません。
ご相談者様が、今回気づかれた段階で注意をされたことはとても素晴らしい行動だったと私は思います。自分の子どもにいじめをさせないためには、いじめをしてしまう原因となっているものを緩和させるために心を育て、教え導くことが大切なのです。

最初は小さなきっかけ
どんないじめも最初は小さいことがきっかけで起こりますが、いじめっ子も生活の中で感じるストレスが強くなることで、いじめという行動によって発散してしまうと言われています。
【いじめの原因となる主なストレス3つ】
・1……親に怒られ、たたかれた(自己否定)
・2……両親がケンカしていて家にいるのが嫌(精神不安)
・3……自分が買ってもらえないものをクラスメイトが持っている(嫉妬)
このような心に引っかかってしまう小さなきっかけがストレスとなります。どれも個々で見たら大したことないと大人は感じてしまいますが、感受性の強い子どもは違います。これがたまって、吐き出してしまうときに相手に何かをしてしまうことが“いじめ”になります。からかいから始まり、手が出始めるようになったりもするのです。
いじめっ子になってしまわないために
生活環境の中で何らかのストレスを抱えている子どもは、いじめっ子になってしまうと言われています。だからいじめは、いじめっ子の心のSOSだと言われることが多いのです。教育評論家の尾木直樹氏の著書『いじめっ子 その分析と克服法』に、家庭の特徴が挙げられています。
・放任家庭
・子供に無関心な家庭
・体罰の多い、虐待家庭
・成績に追い立てられる、学歴信仰家庭
・夫婦不和家庭
親がそう感じていなくても、感受性の強い子どもはこういった何かしらを感じ取っていることは確かです。
私が子どものころ、両親がケンカをしている空気を感じ取ることができました。こういった話は、多くの人が同じことを言っています。そう感じた人たちの全てが“いじめに走ってしまう”わけではありません。多くの人が心に感じるんだということです。
親となったからには、子どもに視線を向けることや、虐待を行わないことなど、子どもの心に負担をかけないようにすることが本当に必要です。夫婦の不仲の場合は、どうしようもないことはわかっていますが、悟られないようにパートナーと話し合うなどして対策を講じることが必要になります。
心を育て、教え導く
家庭の特徴が当てはまっても、いじめっ子にならない子どももいます。それは、心身の痛みを知っていたり、人の嫌がることがわかっている子です。
いじめの加害者にしないためには、いじめがどうして“悪いこと”なのかを教えることが大事です。理解してもらうために、命の大切さやいじめがどうしていけないのかということを根気よく教え導くことが必要です。
学校では、道徳の授業があったり、いじめについての授業や全体集会などを行っています。現実問題、いじめが減らないことを考えますと、親がもっと介入して教え導かなくてはいけないのではと考えます。親と学校の先生と、スクールカウンセラーなどの子どもに関わる大人がみんなで、子どもの心を育て教え導くことが必要です。
仕事も家事もあって大変なのは、よくわかります。でも、お子さんをいじめの加害者にさせないことは何よりも大切なことではないでしょうか。
いじめは、親だけでなく学校の先生やスクールカウンセラーなど、多くの大人の力を借りなくてはなりません。いじめは心を奪い、命をも奪ってしまう危険な行為です。
ご相談者様が今、この段階で気づかれたということは素晴らしいことだと思います。今から話し合いや言い聞かせを始めても遅いということはありません。大変な事態を招いてしまう前に、お子さんと話し合ってみましょう。
【参考文献】
・『いじめっ子 その分析と克服法』尾木直樹・著
・『見逃さないで! 子どもの心のSOS 思春期にがんばっている子』明橋大二・著
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)