DNA鑑定で発覚! 浮気してデキた子を産んだ妻へ請求できる損害賠償
2014年12月26日 | よみものDNA鑑定で発覚! 浮気してデキた子を産んだ妻へ請求できる損害賠償

【パパからのご相談】
学生時代から長く付き合った彼女と結婚し、その2年後に生まれた子どもはもうすぐ小学生です。ところが最近、子どもの写真を見た同僚の、「お前と全然似てないな」という言葉が引っかかり、興味半分で子どものDNA鑑定をしてみました。すると、自分と親子関係がないことが判明し、ショックを受けています。
子どもへの愛情がなくなってしまったわけではありませんが、妻とはもう離婚することを考えています。妻に対して慰謝料とこれまでの養育費の返還を請求できないでしょうか? また、子どもと私の関係は今後どうなるのでしょうか?
現行の法律上では困難な要素がいくつかあります。
ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の島田さくらです。
自分の子だと思って育てていたら、他の男性の子どもだった……これはショックですよね。
かつては、子どもが自分の子どもかどうか厳密に知る術はありませんでしたが、今は技術が発達し、DNA鑑定により自分の子どもかどうかを高確率で知ることができます。DNA鑑定の費用も数万円と、一般の方にも手が出しやすい価格帯になってきたので、実は自分の子どもではなかったと、後々わかるケースも出てきています。

慰謝料と養育費の返還は請求できる?
妻が婚姻中に妊娠した子どもがあなたの子どもではなかった場合、妻が不貞行為をしていたことになるので、妻に対して慰謝料請求(民法710条)をすることができます。
では、子育てにかかった費用の分財産的な損害を被ったとして損害賠償請求(民法709条)をした場合、この請求は認められるのでしょうか。
実際の判例では、男性と子の間に血のつながりがなかったとしても、妻が妊娠、出産した子は法律的に家族の一員なので、一家の主として男性が生活費を支出しても損害とはいえないとして、損害賠償を認めませんでした(東京高等裁判所平成18年5月17日判決)。
親子関係はどうなる?
DNA鑑定によって血のつながりがないことが判明しても、当然に法律上の親子関係がなくなるわけではありません。そのままにしておくと、戸籍上は親子のままですし、相続の権利や養育費を請求する権利も発生することになります。
法律上の親子関係をなくすには、親子関係不存在確認の訴え、あるいは、嫡出否認の訴え(民法775条)を起こして子どもとの親子関係がないことを裁判所に認めてもらう必要があります。
相談者さんの場合、嫡出否認の訴えを起こす必要があるのですが、実は嫡出否認の訴えは子の出生を知ってから1年以内に起こさなければならない(民法777条)ので、すでに訴え提起ができないという状況になっています。また、親子関係不存在確認の訴えを起こしたとしても、本来嫡出否認の訴えを起こすべきものなので認められない可能性があります。
血のつながりがなくても、法律上の親子関係を否定するのはなかなか難しいんですね。
子どものことを第一に考えましょう
現行の民法は、DNA鑑定などの技術がない時代に作られたものなので、実情と合わない部分も出てきており、今後、法律や判例が変わっていくことも十分考えられます。
子どもをかわいいと思う気持ちや騙されたという気持ち、複雑な思いがあるでしょうが、子ども自身に責任があるわけではありません。できるだけ子どもを巻き込まず、夫婦の問題として解決してあげてください。
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