お刺身に要注意! 寄生虫『アニサキス』の感染予防と症状
2014年12月17日 | よみものお刺身に要注意! 寄生虫『アニサキス』の感染予防と症状

【女性からのご相談】
最近、魚を生で食べるとアニサキスという寄生虫に感染し、食中毒になると聞きました。私はよく刺身を食べるので怖いです。アニサキスについて教えてください。
アニサキスはイカやサバに潜む寄生虫です。感染するとお腹に激痛が走り、悪心や嘔吐といった症状をもたらします。
ご相談ありがとうございます。こんにちは、スチューデントドクターの“ひでくらてす”です。
アニサキスとはなかなか日本人らしい質問ですね。“刺身”、それは日本人が誇る食文化のひとつですが、サバやイカには要注意。そこには『アニサキス』と呼ばれる寄生虫が潜んでいる可能性があります。
今回はアニサキスに感染した場合の症状やアレルギー、予防法についてお話ししたいと思います。

寄生虫『アニサキス』とは?
アニサキスは主にイルカやクジラなど海洋の哺乳類に寄生する寄生虫です。寄生した哺乳類の糞便と共に放出されたアニサキスの卵が魚介類に捕食され、ヒトへと感染します。
体長は1〜3cm程度で、イカなどをさばいているときに普通に目で見えたりします。アニサキスは主に以下のような魚介類に感染します。
【アニサキスに感染する主な魚介類】
・サケ
・サバ
・アジ
・イカ
・タラ
『アニサキス症』の主な症状など
感染したアニサキスは数時間後には消化管の粘膜(主に胃)に侵入し、激しい腹痛や心窩部痛、悪心・嘔吐といった症状をもたらしますが、下痢症状がないという点で他の食中毒とは異なります。下痢はないけど気持ち悪くて、とにかくお腹が痛い、これがアニサキス症の特徴です。
また、アニサキスはアレルギーをもたらすこともあり、その場合はかゆみや蕁麻疹(じんましん)といった症状が出ます。
『アニサキス』の予防法
アニサキスは魚介の内臓に寄生しますが、鮮度が落ちると筋肉にも侵入してくると言われています。ですから、お刺身なら新鮮なものを食べましょう! 加熱が不十分な魚の内臓は食べない! これがアニサキス予防の基本になります。
また、アニサキスは加熱だけでなく、冷凍でも死滅させることができるので、サバやイカを調理するときに、心配であれば一度冷凍させてもよいでしょう。
つらい症状をもたらすアニサキスですが、幸いにもヒトの体内では成長できず、通常数時間から数日で死滅します。卵を生んで体内で増殖するようなこともありません。ですが、ひどい場合では胃に穴が開いてしまうこともありますし、症状が強いときは医療機関の受診をおすすめします。
医療機関では内視鏡でアニサキスそのものをつまみ出すことですみやかに症状が改善されます。
いかがでしたか?
僕も日本人ですし、やっぱりお刺身はやめられません。ただ、アニサキスのことは知識として知っておいて損はないですね。
【参考リンク】
・アニサキスによる食中毒を予防しましょう | 厚生労働省
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●ライター/ひでくらてす(スチューデントドクター)