セコすぎる! 養育費を払わない元夫へ下すべき法的手段
2014年12月5日 | よみものセコすぎる! 養育費を払わない元夫へ下すべき法的手段

【男性からのご相談】
先日、娘が離婚しました。養育費等の支払いについて、元夫が支払いに応じるとの事で、公正証書を作成することになりました。しかし、公正証書の最終確認前に、“婚姻中に娘が元夫の友人と食事をしたこと”を浮気であると言い、公正証書の作成を引きのばしています。もちろん、娘は元夫の友人に元夫との婚姻生活の悩みを聴いてもらって打開策がないかと考えていただけで、肉体的な関係は一切ありません。
このままでは支払いをせずに娘親子は生活できない状態になります。この様な場合どう対処すればよろしいでしょうか?
養育費請求調停を申し立てましょう。
ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の篠田恵里香です。
養育費はお子さんの成長にとって欠かせない扶養費ですから、しっかり払ってもらえるよう手だてを講じたいところですね。

公正証書の作成は離婚前がベスト
まず、公正証書については本来であれば、離婚届を出す前に作成することがベストでした。いったん離婚した後に公正証書を作成しようとすると今回のように、「離婚前に言っていたことと話が違う」というトラブルが往々にして生じがちだからです。
今回は、離婚届を既に出してしまっているようなので、今後何ができるかを考えることになります。
相手に公正証書の作成を拒否された場合
養育費の取り決め及び公正証書の作成については、とにかく弁護士に相談することをお勧めします。そうすれば、養育費の適正額も、公正証書に盛り込むべき文言も正確に把握することができるでしょう。
ただ、公正証書を作成するには、あくまで、双方当事者の合意が必要です。今回のような場合は弁護士から相手方に対し、「あなたの言っていることに合理性はなく、公正証書を作成すべきだ」と説得を試みることになります。しかし、「どうしても公正証書を作らない」という態度に終始された場合は、さらなる手段を考える必要があります。その場合、家庭裁判所に対して『養育費請求調停』を申し立てましょう。
養育費を支払ってもらうためには
養育費は基本的にお子さんが成人するまで、将来長期にわたって支払ってもらうものです。しかも、日本では養育費の支払い率は20%を切っているというデータもありますので、“支払いが滞った場合に給料(財産)を差し押さえてでも回収できるような書面”を作成しておくべきです。
これを『債務名義』と言いますが、『公正証書』のほか、家庭裁判所で作成される調停・審判等の書面も、同様の効果を有します。
養育費請求調停の申し立てはお早めに
養育費の支払い開始時期は、“調停の申し立て時”からとされますので、公正証書作成が困難と判断した時点で早期に申し立てる必要があります。調停を申し立てさえすれば、合意がまとまらなくても“審判”という形で家庭裁判所が養育費の額を決定してくれますので、いずれにせよ申し立てを急ぐことが大事ですね。
【参考リンク】
・養育費の状況 | 厚生省(PDF)
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