死に至ることも! 揺さぶられっ子症候群になる原因と症状
2014年11月28日 | よみもの死に至ることも! 揺さぶられっ子症候群になる原因と症状

【パパからのご相談】
妻が1月に出産します。産まれてからさまざまなことをしたいと考えているのですが、一番怖いと考えているのが『揺さぶられっ子症候群』です。病院で教えてもらいましたが、もっと具体的に知りたいのです。何かこの件で経験のある方、詳しく教えてください。
ただ単に揺すらなければいいだけではないことを知っておきましょう。
こんにちは。揺さぶられっ子症候群について思い入れのあるメンタルケア心理士の桜井涼です。ご相談ありがとうございます。
揺さぶられっ子症候群は、低月齢の乳児の命を危険にさらすものとして早くから認識していました。私が学習塾の講師をしていたとき、認識が薄いスタッフが危うく揺すってしまうなんて事態が起き、乳幼児クラスのスタッフの指導テーマにして情報を共有したこともあります。
親はなおさら、いえ、そうでなくても大人は全員が知識を持っていて欲しいと考えています。だから、基本的なことから知っておくことが必要でしょう。相談者様は、父親としての自覚を持っていらっしゃって素晴らしいと思います。

揺さぶられっ子症候群とは?
言葉は聞いたことがあるという大人が多いようですが、深く理解はしていない人たちが多いようです。そのため、乳児の虐待や死傷事件につながっていることは否めません。どのようなものなのか、詳しく知っておく必要があります。
揺さぶられっ子症候群は、低月齢(生後6か月くらい)の乳児の体を激しく揺さぶることで起こる内出血のことを言います。
首が据わっていない乳児は脳の発達段階にありますので、頭蓋骨と脳の間にすき間があります。激しく揺すったり、高く何度も上にあげたりすることで脳内出血が起きます。そのせいで、障害が残ったり、死に至ってしまうことがあるのです。
些細なことで脳にダメージが!
虐待目的で揺すったりするだけでなく、日常生活の中でも気をつけないといけません。
中でも、親が、「あやしているつもり」「車に乗せただけ」「ベビーカーに乗せただけ」で起こることもあるという点は、十分に注意が必要です。首が据わっていない段階では、揺すられる・揺れることに対して身構えることができません。
そのため、泣いている赤ちゃんを揺さぶってしまうことやチャイルドシートなしに車に乗せて走ること、首の補助なしにベビーカーに乗せてしまうなどの些細なことで脳にダメージを与えてしまうことになるのです。
状況と発生する症状
どのような状況下で揺さぶられっ子症候群が起こったのかが論文で発表されています。その中で挙げられているのは次のようなものでした。
・2秒間に5~6回揺すった
・十数秒間に5~6回激しく揺すった
・上に投げ上げる行為を数回
・「たかいたかい」と素早く上にあげ、ゆっくりおろすを数回
・揺り籠に寝かせた状態で、持ち上げたり下げたりを繰り返す
日常の中で泣いた赤ちゃんをあやすという動作と似たような動きになることがおわかりでしょうか。激しかったり少し力が入っていたり、首の固定をしていなかったために起こっています。親が、「このくらいなら大丈夫」と思っていても気をつけなくてはいけないことがわかってもらえると思います。
万が一何らかの原因で揺さぶられっ子症候群が起きたときは、下記のような症状が起こりますので、
・母乳やミルクを飲まない
・飲んでも嘔吐してしまう
・けいれんしている
・表情が変化せず笑わない
・とろんとして眠たそうにしていたり、長時間寝ている状態が続く
ちょっとでも、「いつもと違う、おかしい」と感じたら救急病院を受診しましょう。
このような話では、子どもを持つことが怖いと感じるかもしれませんが、首の据わっていない乳児は、親が首をしっかり支えてあげることがとても大切です。それに、大人のような激しい揺すり方をしないことも大切になります。赤ちゃんは、親を選んで産まれてきます。その小さな命を守るために知識として持っているだけでもできることが変わってきます。
今、この段階で揺さぶられっ子症候群について、真剣に向き合おうとしてくださった相談者様は、それができる方だと思いますので、これから産まれてくる赤ちゃんを守ってあげられるでしょう。赤ちゃんが無事に産まれてくることを心より願っております。
【参考リンク】
・乳幼児揺さぶられ症候群の予防と赤ちゃんの“泣き”への対処法の動画『赤ちゃんが泣きやまない』をホームページに掲載しました | 厚生労働省
●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)