イラッとする人も!? 公共の場での子どもの声を“騒音”だと思うか
2014年11月21日 | よみものイラッとする人も!? 公共の場での子どもの声を“騒音”だと思うか

【ママからのご相談】
4歳の息子がいます。先日、息子のお友だちと電車に乗って、動物園に出掛けました。電車の中で、息子たちが騒いだため、私が2人に、「静かにしようね」と注意をしていたところ、近くに座っていた60代くらいのおばさんから、「子どもの声はうるさい。電車に乗らないでほしい」と文句を言われました。確かに、騒いでいる子どもたちが悪いのは分かっていますが、「電車に乗らないで」とまで言われる筋合いはないと思います。親としても、静かにするように言い聞かせるようにしています。
最近、「子どもの声が騒音だ」と主張する大人が増えていると耳にしますが、実際はどうなのでしょうか?
“騒音”と感じるのは親のしつけの悪さから? 大人同士の歩み寄りも必要。
こんにちは。ママライターのKOUです。
ご相談者さんのおっしゃる通り、最近は、「子どもの声がうるさい」と、保育園などで近隣住民とトラブルになる例が増えているそうです。
さらに、全国で2万人余りにのぼる待機児童問題の解消のため、国が保育園の建設を急いでいる現状もあり、今後このようなトラブルが後を立たない可能性があります。

“子どもの声”をめぐるトラブル
新聞などの報道によると、“子どもの声”をめぐっては、東京都練馬区で2012年に、私立保育所の近隣住民が騒音などに対する慰謝料を求めて提訴。兵庫県神戸市でも今年、住民が保育所の運営者を相手に、防音対策などを求める訴訟を起こしたと言います。
一方で、自治体によっては、“子どもの声”が騒音として条例で規制対象になっているところもありますが、東京都では、声の規制が子どもの健全な発達を妨げる恐れもあるなどと指摘する声が上がり、“子どもの声”を規制対象から外す方向で検討を始めているそうです。
そこで、「子どもの声は騒音」だと思うか、思わないか、幅広い年代の男女30人に取材して意見を伺ってきました。
「騒音だと思う」(13人)
『私の自宅前の道路で、大声を出しながら、子どもたちがよくボール投げをしていました。子どもがたくさん集まると必ず騒音になります。第3者の人から見たら、元気があっていいと思うかもしれませんが、自宅で横になりたいときは迷惑です。私が子どもたちに、「うちの前では遊ばないで」とお願いしたら、最近は遊ばなくなって安心しています』(74歳女性/無職)
『新興住宅街に住んでいます。土日に近くのファミレスで、ランチを食べると子連れが多くて、子どもの叫び声があっちこっちで飛び交います。親のしつけが悪いのでしょうか? ほんと、ゆっくり味わって食べるような環境じゃないです。だからファミレスは会社帰りの夜に行くようにしています』(26歳女性/会社員)
『出社が午後になるとき、電車でベビーカーを押す若い女性をたまに見かけます。電車が空いている時間帯だからいいのですが、赤ちゃんが泣き出したりしても携帯をいじりながら、平然としています。近くに座っていたお年寄りの方もうるさそうにして、席を立ったりしていたことがありました。自分の子なんだから、泣いたらあやして周りに迷惑を掛けないようにしてほしいです』(56歳男性/会社経営)
騒音だと感じると答えた人は、“たくさん集まると騒音”との意見が目立ちました。
さらに子育て経験がなく、子どもと接する機会がほとんどない方々が大半を占めました。中には、“子どもの声”に対する嫌悪感よりも、それを放置している親の態度に不快な思いをする方もいらっしゃいました。
「騒音だと思わない」(11人)
『子どもは騒ぐものだと分かっていますから、それほど気になりません。自分の子どもも小さいころは大声を出したりして、周囲に迷惑をかけていたかと思います。親として、子どもに、「(公共の場などでは)静かにしなさい」と言い聞かせてきました。子どもの声が騒音だなんて、ひどいです。子どものいない家庭の方にも理解してほしいものです』(43歳女性/中学生・高校生ママ)
『最近は、静かな住宅街に突然、保育所ができたりして、近所の人も嫌がるのも無理はありません。ただ、大事なお子さんたちの成長を見守る立場から、子どもたちに、「あなたたちの声がうるさいから、静かに遊びなさい」と、決して言えません。子どもは楽しくて大きな声が出たりしますから、それを制限することはできません。まずは、地域の人に子どもたちのことを受け入れてもらう努力をしていくことが先決では?』(33歳女性/保育士)
『小さいお子さんと接することはほとんどないですが、子どもの声を騒音だと思ったことはありません。今の子どもたちは元気がない子が多いですから、かえって、「元気があっていい」と感じます。あまり小さいころから、「静かにしなさい」と押さえつけて育ててしまう方が子どもの成長に悪影響を及ぼすと思います』(43歳男性/中学校教員)
騒音に感じないと答えた人は、子育て経験者や教育関係者などがほとんどでした。
教育関係者の男性によると、“子どもの声”を騒音だと認めてしまえば、幼い子どもの欲求を抑えるような指導にならないかと、警鐘を鳴らす声もありました。子育て中の女性にとっては、周囲への理解を求めていました。
「状況による・分からない」(6人)
『自分の体調によっては、5歳の孫の声がうるさいと感じるときもあります』(65歳男性/無職)
『図書館や病院といった静かにしないといけない場所で、大声を出していたら、騒音と同じだと思います。ただ、保育園内で遊んでいる声を騒音というのはおかしいです』(28歳女性/看護師)
子どもが思いっきり声を出せる環境を作る
最後に、住民とのトラブルを回避できたとして、メディアなどで取り上げられた東京都目黒区の保育園についてご紹介します。この保育園では、遊び場所を屋上の3か所に分散させ、大勢の子どもが1か所に固まって遊ばないようにすることで、声が大きくなるのを防いだそうです。
また園を運営する会社は、「設計段階から地域の住民に説明し、理解を得る努力を続けてきた」と言います。
取材などを通じて感じたのは、子どもたちが楽しいとき、嬉しいときに思いっきり声を出せるような環境を作るのは、私たち大人同士の主張のぶつけ合いではなく、歩み寄りではないでしょうか?
【参考文献】
・『子どもの声=騒音? トラブル増え、都条例改正へ』東京新聞 2014年10月30日 朝刊
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●ライター/KOU(ママライター)